前回、前々回の記事で「不動産売買契約の「専属専任」「専任」「一般」の違いとメリット・デメリット」、「不動産売却における「囲い込み」が売主に与える不利益とは?」について取り上げ、不動産会社において、両手取引を実現するために囲い込みが行われており、そのために専任媒介契約が利用されている実態についてご説明しました。
今回は、売主であるあなたがもし「囲い込み」に遭ったらどうするか、そして、「囲い込み」に遭わないためにはどうするべきかについて解説していきたいと思います。
目次
【1】レインズに物件が公開されていることを確認する
まず、あなたの物件がレインズ(不動産会社のみが利用できる物件情報のネットワークシステム)に適切に公開されているかどうかを確認するために、レインズの「登録証明書」を不動産会社に請求しましょう。
専属専任媒介契約・専任媒介契約を締結した場合、不動産会社は売主に対してレインズに物件を公開したことを証明する「登録証明書」を発行する義務が課せられています。
しかし、証明書を発行し、発行後即時物件を削除するというケースもあるようなので、同じく「登録証明書」に記載されている「売却依頼主用物件確認」ページのURLにアクセスし、物件の状況(公開中・購入申し込みあり・媒介停止中)を適宜ご自身で確認するようにしましょう。
「売却依頼主用物件確認」ページでは、「登録証明書」に記載されているID・パスワードでのログインが必要となりますのでご注意ください。
【2】他の不動産会社に相談する(セカンドオピニオンを求める)
レインズに公開されていることが確認できても、他の不動産会社からの問い合わせに対して「売主の都合を確認中」「立会いが必要」「鍵が手元に来ていない」などといったさまざまな理由で案内を先延ばしにして囲い込みを行うケースもあります。
前回の記事でご紹介したように、内覧件数が著しく少ない、他社からの内覧が入らない、不動産会社がしきりに値下げを要求してくるといった場合には、他の不動産会社に相談し、セカンドオピニオンを仰いでみましょう。相談した不動産会社から媒介契約を結んでいる不動産会社に問い合わせを入れてもらえば、囲い込みが行われているか否かがはっきりします。
なお、不動産業界におけるセカンドオピニオンについては、以前の記事で詳しく解説しましたので、そちらも併せてご覧ください。
【3】専任ではなく一般媒介に切り替える
専任・専属専任で契約し、①・②の疑念が晴れない場合は、一般媒介に切り替えるというのも一つの方法です。一般媒介であれば、利益相反につながる両手取引が行われにくくなります。
当社では、まず一般媒介で売却活動を進めていただくことをおすすめしています。その理由として、売却活動を進めながら不動産会社の絞り込みも同時並行で行うことができ、仮に買主がみつからなかった場合でも、売主さまの意向に合った対応・提案ができる不動産会社と新たに専任媒介に切り替えることで、納得して売却活動を行うことができる点にメリットがあるからです。
ただし、一般媒介にもデメリットが無いわけではありませんので、どの媒介契約を選ぶかは、売主さまのご都合、物件の質、不動産会社の姿勢などを見極めることが重要となります。
なお、それぞれの契約形態に関するメリット・デメリットは以下の記事で解説していますので、そちらも併せて参考にしてください。
不動産売買契約の「専属専任」「専任」「一般」の違いとメリット・デメリット
【4】まとめ
ここまで、不動産売却における「囲い込み」対策と予防法について解説しましたが、残念ながら囲い込みに対する100%の対策・予防法はありません。
しかし何かおかしいと感じたら、まずは売却を委任している不動産会社に確認し、それでも疑念が晴れない場合は、別の第三者の不動産会社に相談し、直接確認してもらうことなどが有効です。
そのためにも売主さま自身が不動産取引に関する基礎的な知識を把握していただき、両手取引や囲い込みがなぜ行われるかといった仕組みを理解していただくことで、不動産会社に対して「何か変だ」と感じる嗅覚を養っていただくことが最も重要だと考えます。また、そういった知識を持っていることが不動産会社に伝われば、一定の抑止効果も期待できるでしょう。
なお、「囲い込み」やその他不動産売却に関するお悩みについて、当社にご相談いただければ、セカンドオピニオンをご提供することも、当該不動産会社に当社から直接問い合わせることも可能ですので、「何か変だ」と感じたらページ下部の「ご相談はこちらから」からご相談ください。
【書いた人】柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio 代表|深川くらし相談所 所長
宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、公認 不動産コンサルティングマスター
一般社団法人不動産エージェント協会 既存住宅流通活性化副委員長
不動産業界歴35年以上。一部上場不動産会社在籍中に執行役員として売買事業を統括し、主に不動産流通に関わる。
50代で今の会社を立ち上げ、地域密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。自らも築20年の自宅マンションをリノベーションした経験を持つ。
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