不動産業界でセカンドオピニオンの考え方が広がらない理由

セカンドオピニオンとは、当事者以外の専門的な知識を持った第三者に、よりよい決断のために意見を求めることで、医療分野を中心に用いられている手法です。その際、ファーストオピニオンとセカンドオピニオンは敵対するのではなく、情報の選択肢を増やしていくことで診断・治療の妥当性や、より適切な方策を目指すことにつなげていきます。

命にかかわる医療ならではの考え方・アプローチだと思いますが、異業種、とりわけ不動産業界においても同様の取り組みがもっと広がっても良いのではないかと常々考えています。そこで、この記事ではセカンドオピニオンが不動産業界で浸透しない理由について解説したいと思います。

1.セカンドオピニオンのメリット

医療界におけるセカンドオピニオンは、主治医以外のセカンドオピニオンを聞くことで、主治医の誤診を防ぐことを目的としています。他の医師の客観的な意見を聞き、主治医の診断の妥当性を第三者の専門家に確認することで誤診を防ぐ可能性を高めることができます。

また、主治医がすべての治療法を把握しているわけではありませんので、より効果的な治療を模索することにもつながります。その際、ファーストオピニオンとセカンドオピニオンが一致すれば納得して治療を受けることができますし、相違した場合でも、セカンドオピニオンに対する主治医の所見を聞いた上で判断ができますので、患者自身の納得感を高める効果もあります。

セカンドオピニオンが広がってきた背景には、医師にすべてを委ねるのではなく、患者自身も治療の決定にかかわる「インフォームド・コンセント(説明と同意)」という考え方が広がってきたことが背景にあります。

2.不動産業界でセカンドオピニオンサービスが浸透しない理由

セカンドオピニオンは、不動産業界にこそ必要なサービスだと考えます。しかし現状は不動産の購入・売却いずれにおいても、その不動産会社がどういった会社なのか、公開している物件情報の正確性はどの程度なのかなどの意思決定をする上での判断材料が乏しいのが実情です。

では、なぜ不動産業界でセカンドオピニオンサービスが浸透しないのでしょうか?

①不動産会社が物件紹介とその良し悪ししか言ってくれない

不動産仲介会社は、買主の購入を仲介することで手数料収入を得ていますので、物件を紹介し、それぞれの物件の良し悪しを伝えることで、買主の購入意欲が高まるように促すというのが基本です。そのため、買主のライフプランに合った物件は何か、そもそも購入が最適解なのかといった話をすることは、購入意欲を削ぐことにもなりかねないため、積極的にそのような話をしないというのが実情といえます。
これは未だに両手取引が横行し、物件の囲い込みが行われるようなクローズドな日本の不動産流通業界にも大きな問題があると言えるでしょう。

②買主が不動産会社の規模や実績、物件にとらわれすぎる

生活者の方にとっても不動産会社は物件情報を紹介する場所という認識が強く、問い合わせ、内見・内覧、契約のサポート役と捉えている方も多いのではないでしょうか。また、テレビや交通広告などを大規模に展開している不動産会社なら安心と考えている方が多いこともセカンドオピニオンの浸透を阻害する一因となっています。

大手になればなるほど一人の担当者が複数の案件を抱えており、目の前の業績を追いかけざるを得ない傾向にあることから、決まりやすい物件からできるだけ効率よく成約させていく必要がありますので、①で述べた傾向は強まる傾向にあります。

「大手なら安心」という考え方は、「インフォームド・コンセント」とは逆行する考え方であり、生活者ご自身が不動産売買に関心を持ち、意思決定にかかわるという積極的な姿勢を持っていただくことで、セカンドオピニオンは実現されると考えます。

③不動産購入は一生に一度ととらえる風潮が強い

日本では不動産購入を一生に一度と考える方が多く、不動産仲介会社も売ったら終わりの風潮がまだまだ強いように感じます。
日本より数十年は進化の進んでいるアメリカの住宅流通市場はというと、ライフスタイルに合わせて買い替えを行い、その頻度は車の買い替えと同じくらい(笑)

アメリカの不動産流通市場や不動産エージェントについては別の機会で書こうと思いますが、日本とは仕組みや考え方が大きく異なります。不動産会社(ブローカー)よりも担当者(エージェント)との付き合いを大事にし、生涯において大きな信頼を寄せています。
また、エスクローやホームインスペクター、ローンオフィサーなどのそれぞれの専門家に役割分担が明確に分かれているので、会社の大小を問わず安心の取引が可能なのです。

3.まとめ

ここまで、セカンドオピニオンサービスについて、不動産業界で浸透しない背景について解説しました。

ポイントは以下の通りです。

・セカンドオピニオンとは、第三者の客観的な意見を聞くという医療界の手法で、専門家に治療を任せっきりにするのではなく、患者自身も治療に関わっていくという考え方

・セカンドオピニオンを得ることで、誤診を防ぐ、よりよい治療法の模索、納得感を高めるといった効果が得られる

・不動産業界でセカンドオピニオンが浸透しない理由は、そもそも日本の不動産業界にそういった商慣習がないため生活者に意識付けされていない、・・・・・・・・、などが挙げられる

不動産業界は今後、お客さまの悩み・課題に寄り添い、最適だと思うアドバイスをそれぞれの不動産会社が行うことで、お客さまの満足度を引き上げ、信頼の得られるビジネスへの転換が必要です。その一方で、お客さまご自身が意思決定も含めた取引過程に積極的に関与する「自分事」化の促進が、業界の変化を促し、不動産取引の満足度・納得感を高めるための重要なポイントにもなります。

当社では、お客さまの豊かな暮らしの実現のため、ライフプラン・マネープランなどに寄り添ったご提案を心がけており、随時個別相談会やセミナーも開催しております。ファイナンシャルプランナーや司法書士による相談なども実施しており、第三者によるアドバイスもご好評いただいておりますので、お住まいの悩み・課題などなんなりとご相談ください。

【著者プロフィール】柴田光治
株式会社トラストリー 代表取締役、リフォーム不動産深川studio|深川くらし相談所 代表
宅地建物取引士、2級FP技能士、公認 不動産コンサルティングマスター
不動産業界歴35年。大手不動産会社在籍中に執行役員として、主に売買事業を統括し不動産流通に関わる。その後数社の会社役員を経て株式会社トラストリーを立ち上げ、地域密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。

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