コロナ禍によって自宅で過ごす時間が以前に比べて増加したことで、これまで気にならなかった住まいの不満が気になり始め、そのことをきっかけに住み替えを検討するという方が増えています。在宅勤務の際に隣近所の騒音が気になる、ウイルスや菌を室内に持ち込みたくないといったケースが散見されるようになりました。
この記事では、(株)LIXILが実施した「家族時間の変化と住まいに関する調査」(2020年12月調査)の結果から、コロナ禍で発生した住まいの不満をリフォームによってどのように改善していけるかをまとめました。住み替えを検討中の方には、住まい探しのヒントとしていただける内容となっていますので、ぜひご参考になさってください。
目次
①コロナ禍によって生じた住まいの不満とは?
(株)LIXILが行った調査によると、コロナ禍で現住居に「満足していない」と回答した人は24.2%となり、4人に1人が不満を持っているという結果となりました。その理由として、「家事の動線がイマイチ」、「1人になれるスペースがない」などの間取りや設備に関する回答が散見されます。
このような住まいの不満に対して、「リフォーム」によって改善させたいと回答した人が44%で最も多くなっています。家具の配置換えなどの一時的な処置ではない「リフォーム」による対応が多いことから、コロナ如何に関わらず、長期的視点で住まいの改善を考えていることが分かる結果と言えそうです。
②コロナで顕在化した「防音」「衛生」への課題
【1】防音意識の高まり
コロナによって自宅での仕事や余暇の時間が増加したことで、周囲の音を気にする人が増加しており、防音に関するニーズが高まっています。今回の調査でも、「防音機能がついた部屋が欲しい」と回答した人は45.9%となっており、在宅勤務をしている人に限ると過半数の52.3%まで上昇します。
住み替えを検討する在宅勤務の方は、住まいの防音についても検討し、静かな環境をどのように作っていくかを考えていく必要があると言えそうです。
・防音効果を高めるためのポイント
リフォームで室内に仕切りや戸を設置することで防音効果が得られ、さらに空間を仕切ることで集中しやすい環境になりますので、テレワークなどを行うスペースを手軽に確保するためには有効な手段と言えるでしょう。
また、戸外の騒音を遮断するという意味では、内窓を設置することも有効です。こちらも騒音を完全に遮断できるわけではありませんが、断熱効果もありますのでおすすめです。
【2】衛生意識の高まり
コロナ禍によって菌やウイルスへの意識がこれまでになく高まっています。同社の調査によると、自宅に帰って最初にすることを「食事」と回答した割合が減少し、「入浴」と回答した割合が増加していることからも明らかです。
ウイルスや菌は、室内から完全に締め出すことは難しいものの、間取りや設備・仕様を工夫することで、できるだけ玄関にとどめておくような対策を打つことが可能です。
・室内の衛生環境を向上させるためのポイント
比較的簡易なリフォームで実現可能なこととして、タッチレス水栓の設置が挙げられます。手洗い・うがいを徹底しているご家庭は多いと思いますが、タッチレス水栓によってその効果をさらに高めることができます。
また、室内にウイルスや菌を持ち込ませないためには以下のような対策も有効です。
①玄関から洗面所までのスムーズな動線の確保
②玄関に手洗い場を設置する
③玄関にクロークを設置し、コートなどはその場で着脱する
①〜③については、住まいの構造や間取りによってはリフォームで対応できる・できないがありますので、不動産会社や施工業者への確認が必要となります。
③まとめ
ここまで、コロナ禍で顕在化した住まいの不満を改善するためのリフォームについて考えてきました。
コロナ禍によって生活者のライフスタイルに変化が生じたことで、新たな住まいのトレンド・ニーズが発生していることが分かりました。中古物件への住み替えを検討される際は、リフォームによって今日のトレンドに合った物件にバージョンアップさせていくことが、「アフターコロナの快適住まい」のポイントと言えるでしょう。
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【書いた人】柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio 代表|深川くらし相談所 所長
宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、公認 不動産コンサルティングマスター
不動産業界歴35年以上。一部上場不動産会社在籍中に執行役員として売買事業を統括し、主に不動産流通に関わる。
50代で今の会社を立ち上げ、地域密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。自らも築20年の自宅マンションをリノベーションした経験を持つ。
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