価格や広さ、間取り、立地……。希望条件を全て満たした「100点の家」をみつけるのは至難の業です。一般的には、できるだけ100点に近い物件をみつけるためにも、条件の優先順位を決めることが重要とされています。ところが、今回お話をうかがったのは、最後まで優先順位を決められなかったお客様。
一体どのようにして物件を探したのでしょう?
「リフォーム不動産 深川studio」で深川エリアに物件を購入・リノベーションされた方の連載インタビュー。今回お話をうかがったのは、リフォーム不動産で、中古物件の購入を決めたDさんです。
「長く深川エリアに住んでいるので、このあたりから離れることは考えられませんでした」と語るDさん。特に愛着のある木場公園周辺で、物件を探していました。
2021年3月にリフォーム不動産に訪れ、同年7月、最終的に購入を決めた物件は、3LDKのリノベーション済み中古マンション。「もともと住んでいた賃貸よりも広い部屋で、3500万円程度の予算を考えていた」というDさんですが、内見を進める中で、希望条件が揺れてしまったんだとか。
どのように検討を進め、どんな点が購入の決め手となったのでしょう? Dさんのお住まいで、リフォーム不動産を選んだ理由から物件購入に至った経緯など、詳しくお話をうかがいます。
目次
リモートワークがきっかけで、住まいを見直すことに
−− Dさんは、長くこの辺りにお住まいなんですか?
20年ほど前、転職を機に職場から近い深川エリアに住み始めました。都内でも調布市や江戸川区を転々としてきましたが、このあたりの川沿いの緑だったり、お寺から漂ってくる線香の匂いだったり、のどかな空気がすごく気に入ったんです。深川のゆったりとした空気が、自分に合っているというか。
−− これまでは、ずっと賃貸にお住まいだったんですか?
そうですね。もともと海外旅行が好きで、そっちにお金をかけたくて。1R 25㎡の部屋に10年間住んでいました。狭い部屋ですけど、家の前に大きな木があって、常に緑が見えて気持ちよかったんです。当時は「家と会社の往復だし、部屋は寝られるくらいの広さがあればいいや」なんて思っていました。
ところが、ここ2年ほど新型コロナウイルスで旅行もできず、リモートワークが増えて、部屋にいる時間が長くなってしまいました。さすがに気が滅入りはじめて、さらに定年退職まであと10年……。住宅ローンを組めるのも今のうちだと焦りが出てきました。
リフォーム不動産は、緊張をほぐしてくれるパートナー
−− それで、賃貸ではなく物件購入を本格的に検討するようになったんですね。
はい。最初の1年間は大手の不動産屋で新築を中心に物件を探していたんです。ただ、このあたりで新築物件となると、5000万円以上が当たり前で……。そこまでの予算を考えていなかったので、どうしようかと悩んでしまいました。
−− リフォーム不動産は、どんなきっかけで訪れたんですか?
物件探しに疲れているとき、たまたまリフォーム不動産のチラシがポストに入っていたんです。お店が面している通りは、よく歩いていたんですが、不動産屋だとは気づかなくて「あぁ、あそこか!」と。
不動産屋のチラシといえば、物件や金額がドーンと書かれている営業色の強いものがメジャーですが、リフォーム不動産のチラシは、そういった情報が全く書かれていなくて、親しみやすい雰囲気が伝わってきました。「地元の不動産屋なら安心かも」と、思い切って問い合わせをしてみたんです。
−− リフォーム不動産に問い合わせをしてみて「ここがよかった!」という点は?
まず機械的ではない、温かい対応にホッとしました。これまで相談してきた不動産屋では、希望条件をお話ししても、なかなか伝わらなくてもどかしかったんです。「売り手」と「買い手」という割り切った関係性では、いくら悩みを伝えても、正しいかどうかの判断をひとりでしなくてはならなくて、常に心細さがありました。
その点、リフォーム不動産は、私と同じ方向を向いて、一緒に悩んだり考えたりしてくれたのが心強かったです。「なんか違う…」みたいな、言語化できない感覚を共有できたのが、他の不動産屋との大きな違いでした。
−− 担当者の印象は?
ずっと横にいて、私の緊張をほぐしてくれるパートナーのようでした。担当の浅野さんは、「私に合う部屋なんてないかも……」と挫折しかかっていた時も、ずっと支えてくれました。
物件探しの過程では「今日はこれをしますよ」「これを用意してくださいね」と事前にきっちりナビゲーションしてくれたので、安心できましたね。あとは、契約の終盤に一人で銀行へ行かなくちゃならない時、不安がっていたら「一緒に行きましょうか?」なんて声かけてくれたり。きめ細かな心遣いが、嬉しかったです。
−− ファイナンシャルプランナー(以下、FP)の相談はいかがでしたか?
FPの吉野さんには、ローンだったり、購入可能な物件の上限額だったり、予算面でのアドバイスを多くいただきました。ひとりでローンを組むことに不安があって「賃貸の方が気楽だな」という思いが、心のどこかにずっとあったんです。購入を決断できたのは、吉野さんのアドバイスのおかげだと思います。
−− リフォーム不動産に今後期待したいことは?
やっぱり一番の持ち味は、お客さんと伴走してくれるところですよね。これからも変わらずに、希望がかたまり切っていない曖昧模糊な状態でも、一緒に正解を探ってくれる存在であってほしいです。
たいていの人にとって、初めて物件を購入するときは、緊張の連続だと思うんです。希望条件がはっきりしている人ならともかく、私のようにモヤモヤを抱えながら物件を探している人にとっては、ゴールへと導いてくれる「パートナー」の存在は不可欠でした。
最終的にグッときたのは「80点の家」
−− 物件はいくつ内見したんですか?
他の不動産屋で内見した物件も含めると、全部で15件です。リフォーム不動産に相談した後は、8件を内見しました。
−− たくさん内見されたんですね!
人生に一度の大きな買い物ですし「これからの生活に大きな影響があるから…」と慎重になっていたんです。FPの吉野さんは、20代でこれまでに2回物件購入をされていて「最近は若い人でも、何回も物件購入をすることがある」なんて教えてくれたんですね。たしかに、肩肘張らずに考えたらいいんでしょうけど、結局最後まで慎重な姿勢を崩せなかったというか……物件購入の優先順位を決められなかったんです。
−− 最初に希望されていた条件は?
40〜50㎡くらいの広さで、築年数10年以内を考えていました。築浅の物件に住んでる友人が多かったので。ところが、その条件で深川エリアで探してみると、どうしても想定予算を超えてしまうんです。
それで、築年数の古い物件や、少し狭い部屋も見てみたり、希望条件を広げて内見してみることにしました。見ていくうちに、優先順位も定まるかな? と思いきや、結局どんどん選択肢が増えて決められず。そんな状態で、最後に見たのが、今住んでいる物件でした。
−− 決め手は何だったんですか?
飛び抜けて良いところはないんですが、築年数も金額も広さも、バランスのよい物件だったんです。100点ではないけれども、80点の家といいますか。たくさん物件を見てきたからこそ、迷わず、内見してすぐにいいなと思ったんです。
−− お部屋で気に入っているところがあれば教えてください。
ひとつ挙げるとしたら、リビングに面した南向きの窓から、たっぷり日差しが注ぐところでしょうか。最近は、朝カーテンを開けるのが何よりも楽しみなんです。
家の前には建物があるんですけど、距離があるのでそこまで気になりません。眺望の点では、できれば緑が見える家を希望していたんですが、室内が広いので「部屋に緑を置けばいいか」と発想が逆転しました(笑)。
細かいところだと、洗面所ののベージュの壁紙や四角いライトも、ちょっと変わっていて気に入ってます。
ゆるく繋がるきっかけが、あちこちで待っている街
−− 長く深川エリアに住んでいらっしゃいますが、最近の街の変化についてどう感じていますか。
そうですね。古くからある飲食店などももちろん好きですし、ここ数年で増えた新しいカフェなんかも好きです。新しくできたお店の人に「なぜこの街に来たの?」と聞くと「清澄白河で、新しく挑戦してみたかった」なんてこぼれ話を聞けることもあります。お店の人とちょっとした交流をするのが、楽しいですね。
−− お気に入りの場所はありますか?
一番好きな場所は、木場公園です。木場公園でヨガしたり、ハードワークで疲れた時も、早朝に散歩してリフレッシュしたりしています。木場公園が好きすぎて、どの物件を内見しているときも「木場公園はどっち側にあるんだろう?」と気になってしまいました(笑)。
−−深川エリアで物件購入を検討されている方に、おすすめしたい「街の魅力」は?
街のあちこちで、いろんな人がいろんな活動を展開していて、そこに気軽に加われるのが大きな魅力だと思います。自分が中心となってイベントを主催しなくても、ボランティアなどいろんな関わり方で、コミュニティに参加できるのが、おもしろいです。
私自身も、2021年11月28日まで開催しているイベント「本と川と街 https://www.honkawamachi.com/ 」にボランティアとして関わってます。大きな絵本を通じて木場公園の歴史を伝えるプロジェクトだったり、木場の木材を使った茶室の設営だったり、大好きな木場公園に関わる企画のお手伝いをしています。イベントの主旨に賛同して、気になったらすぐに参加できるのがいいところですよね。
深川エリアには古くからのお祭り文化が根付いていて、町内会のイベントもたくさんあります。一方で、私が参加しているような最近始まったイベントもあるんです。自分の気になったイベントに、ゆるく関われるのが深川エリアの一番の魅力だと最近感じています。
参加したイベントで新しい人との繋がりが生まれて、また別のコミュニティが生まれる…そんなゆったりとした流れがありますよね。これから深川エリアに住む人にも、気軽な気持ちで、街のそうした動きに加わってみてほしいです。
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あとがき
物件探しの優先順位、難しいですよね。私は中古物件購入時に「予算」の面で諦めた部分が多々ありました。優先順位については、条件を広げて内見の数を増やしてみるほか、事例をたくさん見ると方向性が定まりやすそうです。
今回のインタビューの終盤、深川の街のよさを考えたとき、私もDさんと同じく、人と人との(ゆるい)繋がりが思い浮かびました。近所を散歩すると、誰かしらに会って挨拶するのが当たり前……街の周りを流れる川と同じように、人と人の間にもゆったりとした流れがあるような気がします。深川エリアで物件購入を検討される際は、内見だけでなく、ぜひ街を歩いて「ゆるい繋がり」を感じてみてほしいです。
白方はるか(鳩)
フリーランスの編集・ライター。清澄白河で猫とともに暮らしている。あだ名は「鳩」 好きな食べ物はカツオのたたき
https://note.com/tyorehato
ライターの鳩さんが、清澄白河で中古マンション購入からリノベーション、実際に暮らすまでを綴った「リアル体験記」は、以下のリンクからご覧ください。
◆ リアル体験記【中古マンション購入編】
◆ リアル体験記【リノベーション編】