『人生100年時代』に一生賃貸暮らしは本当に気楽なのか

年々伸びている日本の平均寿命。
厚生労働省が公表した簡易生命表によると、2019年の日本人男性の平均寿命は81.41歳、女性が87.45歳だそうで、ともに過去最高を更新しました。

平均寿命を知るための調査は明治時代から始まったとされ、その時期の調査結果は、日本人の男女ともに40歳台前半から半ば程度、昭和30年当時も60歳台だったことを考えると、急速に長生きになったことがわかります。

国際的にみても日本はトップクラスで、この先も医療技術の進化によりますます寿命は延びていくのかも知れません。

現在60歳の人の約4分の1が95歳まで生きるという試算もあるそうです。
まさに「人生100年時代」ですね。

長生きしても手放しで喜べない理由

長寿になることは喜ばしいことなのですが、やはりこの先の老後についてはいろいろと不安がよぎります。

そんな中、令和になって間もなく金融庁から発表された報告書「高齢社会における資産形成・管理」が話題になりました。

報告書の内容を簡単に説明すると、「少子高齢化の避けられない現代、この先年金だけでは老後資金が賄えないので、各々の状況に応じて、保有する資産を活用した資産形成や運用といった自助努力が必要である」といったところでしょうか。

この先、年金なんてあてにならないと頭ではわかっていても、国の機関からこのようなレポートが出されると、老後の不安はますます強まるばかりです。

背景としては、「日本に根付いてきた賃金制度として退職給付制度があるわけですが、かつては退職金と年金給付の二つをベースに老後生活を営むことが一般的でした。しかしながら、長寿化による影響はもちろんのこと、公的年金の水準が当面低下することが見込まれていることに加えて、企業の退職金給付額の減少により、かつてのモデルは成り立たなくなってきている。 」というのが金融庁の見解です。

確かに日本の年功序列の賃金制度は考え方の見直しがなされており、特に民間企業の退職金も今やあてになるものではありません。

ましてや少子高齢化で若い人たちが高齢者を支えていくのは限界が来ているのは周知の事実ですので、年金の受給年齢の引き上げや減額など、老後に対しての不安は募る一方です。

そして報告書の中身を見ると具体的に、家計調査の結果を基に「年金生活者世帯では毎月の生活費が年金だけでは足りず、5万円の赤字となっており、これを今までの貯蓄の取り崩しで補填している」というような記述があります。

これが30年間続いていくと、約2,000万円不足してしまうという試算になります。

低金利の時代の資産形成

20代や30代から老後のことを考えて準備を進めている方はまだまだ少ないかもしれませんが、確かにいろんな面での自助努力を若いうちから行っていくことは、この先最低限必要なことなんだと思います。

今回の発表は生活者の不安をあおり、金融商品を勧めるための戦略だなんて考える見方もありますが、曖昧なデータで示されるよりも、具体的にどのくらい足りなくなる可能性があることをはっきりと示してくれたことは、ある意味重要なことかも知れません。

低金利が長く続いている時代に、残念ながら単なる貯蓄だけでは資産を殖やしてはいけません。

高いリスクを伴う運用はひとつの“賭け”でしかありませし、美味しい儲け話には必ず裏があるものです。
ただし、株にしても不動産にしても多少のリスクを負う覚悟が無いと、なかなか資産は増やしていけないものです。

今まではよく「賃貸暮らしは気軽だ」なんて言われることがありますが、「人生100年時代」の現在、この先の老後のことを踏まえると、一生賃貸暮らしでいることは本当に気楽といえるのでしょうか?

確かに住み替えのしやすさは賃貸が勝るかもしれませんが、高齢になってからの住み替えはパワーも必要ですし、実際にはそう簡単なものではありません。

結局は賃貸に住み続けることも、気楽でノーリスクの選択ではなく、購入することと同様に多少のリスクは背負うものなのです。

住宅は賃貸より購入した方がリスクが高いのか?

賃貸と比べると、圧倒的に購入する方がリスクが大きいと敬遠しがちな方も多いのですが、賃貸には無い住宅ローンに付随する団体生命保険や税制面の控除などで、意外とリスクを軽減できることが多いのです。

賃貸との最大の違いは、住宅を購入するということは資産を持つということ。資産は次の世代にも残すことが可能ですし、年金の不足分をリバースモーゲージやリースバックを活用して補うことも出来るのです。

そのためにも大事な資産の価値が目減りしにくい場所や物件の選び方が今後も大事な要素となるのと同時に、老後に負債を残さない返済計画が重要です。

「賃貸VS購入」は常に雑誌やメディアでも取りざたされていて、いつの時代でも永遠のテーマになりそうですが、皆さんはどうお考えになりますか?

まとめ

もはや年金には頼れない時代です。「まだ若いから老後のことなんて考えられない」なんて先延ばしをせずに、今回の金融庁の発表を機に今後の人生設計をプロや家族の意見を踏まえて、一度真剣に考えることも必要かもしれませんね。
結論を先延ばしすることこそが最大のリスクかもしれません。

弊社ではファイナンシャルプランナーによる無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

【著者プロフィール】柴田光治
株式会社トラストリー 代表取締役、リフォーム不動産深川studio、深川くらし相談所 代表
宅地建物取引士、2級FP技能士、公認 不動産コンサルティングマスター
不動産業界歴35年。大手不動産会社在籍中に執行役員として、主に売買事業を統括し不動産流通に関わる。その後数社の会社役員を経て株式会社トラストリーを立ち上げ、地域密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。

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