地下鉄8号線(住吉〜豊洲間)の事業化に向けた動きが活発化してきています。
国土交通省の交通政策審議会は「早期の事業化を図るべき」との答申を2021年7月15日に発表し、答申に合わせて江東区長が都知事に事業化に向けた動きを加速させるよう申し入れを行いました。
新線の開発は周辺エリアの人の流れや不動産動向に大きな影響を与えます。地下鉄8号線は、江東区並びに周辺エリアで住まい探しをされている方にとっては今後要注目のトピックと言えるでしょう。
この記事では、地下鉄8号線の計画概要や今後のスケジュールなどを紹介し、沿線に居住する場合の住まい探しのポイントなどについて解説します。
何かと話題の多い東京2020オリンピック・パラリンピック。 当社が所在する東京都江東区にはオリンピック会場10ヶ所が整備され、オリンピック12競技、パラリンピック8競技が実施される予定です。(2021年6月末現在) ここ数年は、オリンピック・パラリンピックの開催に向けて街の様子も変わり、江東...
【1】「早期の事業化を図る」答申の概要
そもそも地下鉄8号線の事業化は、初めて審議会で豊洲〜亀有間の整備計画が答申された1972年にまでさかのぼります。
その後、経済情勢の変化といった紆余曲折がありましたが、江東区はその間も建設資金の積立を進め、現在はその規模が90億円に達しているところからもその本気度が分かります。
以下、今回発表された国土交通省交通政策審議会の答申のポイントをまとめます。
・地下鉄8号線の延伸は東京メトロに事業主体の役割を求める
・新路線を建設しない方針を持つ東京メトロに対して、公的支援による方針変換を求める
・新路線の整備中は、国と東京都が東京メトロ株の1/2を保有することが適切
課題となっていた事業主体や費用負担についての具体的な方向性が明記されたことで、整備計画の実現に向けた大きな推進力ともなりうる答申と言えそうです。
【2】地下鉄8号線の整備計画と現状
地下鉄8号線は、有楽町線豊洲駅と半蔵門線住吉駅の間5.2kmをつなぐ路線で、その間に新たに中間駅が設置される予定となっています。
中間駅は、東西線との乗り継ぎを可能とする東陽町駅のほか、周辺駅まで徒歩10分圏外のエリアを中心に豊洲と東陽町間、東陽町と住吉間の中間地点に各1駅の新設が想定されています。
開通時期は現段階では未定ではありますが、建設期間は10年程度が見込まれているため、答申の「早期の事業化」による早期の着工が期待されるところです。
【3】新線/新駅開業が住まい探しに与える影響とは?
・交通利便性の向上
江東区は元々、東西の交通網は発達していましたが、南北の鉄道路線網は比較的脆弱なため、整備計画の実現を長年訴えてた経緯があります。
新線/新駅の開業によって交通利便性は当然向上しますので、区内の移動はもとより、東京駅・大手町駅・新宿駅といった都心ターミナル駅へのアクセスがどれだけ良くなるかが重要です。
現状、豊洲-住吉間は電車の場合最短ルートでも20分強の所要時間がかかり、2回の乗り換えが必要となります。
バスであれば乗り換えはありませんが、30分強の所要時間がかかります。
新ルートが実現すれば、電車で9分(乗り換えなし)でアクセスが可能となり、湾岸エリアと深川を含めた江東区北部エリアの交通利便性が格段に向上します。
南北に移動する鉄道網の利便性が向上することで、交通渋滞の緩和や、区内を東西に走る都営新宿線や東西線の混雑緩和など副次的な効果も期待できます。
「初めての中古マンション購入・リノベを失敗しないためのポイント」シリーズ連載の第三回目は「物件選び」について考えてみましょう。 物件選びのポイントは、立地・設備・間取り・価格・新築/中古・・・などお客様のライフスタイル・ライフステージに沿って住まう人の数だけあるといっても過言ではありません。 ...
・エリアブランディングの促進
新線/新駅開通を住まい探しという観点で考えると、利便性が高まることによって周辺地価が上昇し、資産性の向上による価値の向上が期待できます。
具体的には、駅周辺の施設・環境の整備によるエリア・街のブランドが顕在化することで、居住ニーズが高まり、地価や不動産価格に好影響を与えることが考えられます。
当社商圏である江東区深川エリア、中でも門前仲町・清澄白河はその好例と言えるでしょう。
【4】清澄白河の変貌
今や頻繁にメディアでも取り上げられ、人気も知名度も増した「清澄白河」ですが、元々あった地名ではなく、駅の開業と共に誕生した名前です。(※清澄と白河の町名はあります)
2000年に都営大江戸線の開通と同時に清澄白河駅が開業し、2003年には東京メトロ半蔵門線の押上駅までの延伸によりターミナル駅となりました。
同エリアは、都心に至近な立地でありながら最寄りの駅の門前仲町駅や森下駅から少し離れていて、地価がそこまで高くないエリアだったため、そのリーズナブルさと将来性でマンションの建設が近年進み、居住環境の整備が進みました。
それにより、魅力的なお店の出店など、人が集まるエリアへと変貌し、門前仲町の下町風情、コーヒーの街としての清澄白河がより注目され、広く発信されるようになり、深川エリアのブランドとして定着しています。
【5】まとめ
ここまで、地下鉄8号線の計画概要や今後のスケジュール、沿線で住まい探しを行う場合のポイントについて解説してきました。
新線/新駅開通によって街の魅力が一気に顕在化し、多くの人が「住んでみたい」と感じる街への変貌が地域の発展、ひいてはお客様の住まいの資産性に大きな影響を与えることがお分かりいただけたかと思います。
その一方で、新線/新駅開業があっても地価にほとんど反映されないケースもあります。
不動産を購入する際は、その街・エリアの過去・現在を知り、未来をいかに見通せるかがポイントとなります。
4月15日に公益財団法人の東日本不動産流通機構が発表した「2021年3月度の首都圏不動産流通市場動向」によると、同月の首都圏における既存の中古マンション成約数は4,228件と前年同月を16.1%も上回りました。 これは1990年の東日本不動産流通機構発足以降、過去最高となっています。 3月度...
当社では、住まい探しを通じてお客様が実現したい夢の実現をお手伝いさせていただいております。
まずはお客様の実現したい暮らし・住まいについてじっくりと伺った上で、お客様のご要望やご予算に最適な物件とリノベーションをご提案する方法を採用しています。
まずは、5年後・10年後・20年後のお客様の住まいと街の未来について、当社に相談してみませんか?
【著者プロフィール】柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio|深川くらし相談所 代表
宅地建物取引士、2級FP技能士
不動産業界歴35年。大手不動産会社在籍中に執行役員として主に売買事業を統括し不動産流通に関わる。その後複数の会社役員を経て株式会社トラストリーを立ち上げ、地元密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。
https://note.com/k_shibata