マンションの専有部分と共用部分について、正確に線引することはできますか?
エントランスや階段は共用部分として理解しやすいと思いますが、例えば、ベランダ・バルコニーがどちらになるのかを明確に説明できる方は少ないと思います。
共用部は文字通り住人みんなで共用する場所のため、他の住人に迷惑にならないように使用する必要があります。
専有・共用部の線引を正確に理解しておけば、住み替えの計画や実際に居住した際のトラブルを回避することができるでしょう。
今回の記事では、子育て環境と住まい探しのポイント第四話として、マンションの専有・共用部分でチェックしておくべきポイントについて解説したいと思います。
このシリーズは第一話から順を追って解説していますので、ぜひ一話から読み進めていただき、子育てに適した住まい選びのポイントについて理解を深めていただければと思います。
目次
【1】マンションの専有部と共用部
専有・共用部の線引は、各マンションの規定によって異なりますが、大まかに言うと住戸の内側にあたる部分が専有部、それ以外が共用部となります。
専有部は購入者の所有となりますので、壁紙や間取り変更などを行うことができます。
共用部は、廊下や階段、エレベーターといった住戸の外側を指します。
これらはマンションの全住民が共有するため、個人が専有したり、勝手に変更を加えることはできません。
【2】子育て世帯が知っておきたい専有部と共用部の線引き
お客さまが専有部と共用部を誤認されるケースで最も多いのは、ベランダ・バルコニーです。
マンションの全住民が利用するスペースではないため誤解されやすいのですが、これらは共用部となります。
ベランダ・バルコニーは、場合によっては住民が避難路として利用することがあるため、所有者の一存でリフォームなどを行うことはできません。
特に子育て世帯の場合、共用部分の廊下にベビーカーや外遊び用の遊具を置いているのを見かけますが、場合によっては注意を受ける可能性がありますので、ご留意ください。
・ベランダでのプール遊びはOK?NG?
夏場はベランダにビニールプールを広げて、お子さまを水遊びさせたいとお考えの方もいらっしゃることと思います。
マンションによっては管理規約や使用細則で禁止されているケースもありますのでご注意ください。
禁止されていない場合でも、下階の洗濯物や通行人を濡らしてしまうといった可能性があり、トラブルに発展する可能性がありますので、迷惑行為になっていないかをよく考えて行動することが求められます。
【3】マンションリフォームと専有・共用部
ベランダは共用部のためリフォームできないというのは上で述べた通りです。
リフォーム可能なマンションの専有部分とは、玄関の内側からサッシの内側までの居住部分を指します。
言い換えると、窓やサッシ、玄関ドアなども共用部分に該当しますので、リフォーム不可となります。
また、マンションを支える構造部分(コンクリートで作られた壁・床・天井・柱など)も共用部分となりますので、個人の判断でリフォームすることはできません。
・マンションの構造とリノベーション
子育てに適した間取りにリフォーム・リノベーションする場合、間仕切り壁の移動ができない構造の住戸は間取り変更が難しくなります。
間仕切り壁が移動できるかどうかはマンションの構造によるため、中古マンションを購入してリフォーム・リノベーションを行う際には特に注意が必要です。
マンションの構造で代表的なものとして、ラーメン構造・壁式構造があります。
前者は比較的容易かつ自由に間取りの変更ができ、後者は一部の間仕切り壁が構造壁と呼ばれる撤去できない壁のため、間取り変更に制約がかかるケースがあります。
・管理規約の確認と管理組合への届出
管理規約や使用細則でリフォーム範囲に制限がある場合、専有部であってもリフォームが不可となるケースがあります。
規約・規則に反してリフォーム工事を行った場合、工事の中止や原状回復を求められるといったこともありますので注意が必要です。
マンションのリフォームでは、ほぼすべてのケースで管理事務所や管理組合への届出が必要となります。
承認までに時間を要するケースもありますので、リフォームの計画を立てる際には、早めに準備を開始するようにしましょう。
なお届出は、施主がリフォーム会社などから書類を集めて提出しますが、リフォーム会社によっては届出を代行しているところもありますので、併せて確認してみてください。
【4】まとめ
ここまで、マンションの専有・共用部分でチェックしておくべきポイントについて解説しました。
マンションの専有・共用部の線引は、判断が難しいケースが多いので、ご自身だけで確認・判断するのではなく、プロに相談しながら進めることをおすすめします。
当社では、お客様の住み替えをお手伝いさせていただくのにあたって、まずはお客様のご要望を十分にお伺いしております。
その上で、中古マンション選びのポイントなどについてご説明させていただいた上で、ご要望があれば条件を満たす物件のご紹介をいたします。
コロナ禍の昨今、おうち時間の楽しみ方は多様化しており、住み替えによって実現したいライフスタイルは十人十色だと改めて実感しています。
中古マンションを購入してから管理規約に抵触して”住まいの夢”が実現できなかった・・・そんなことを防ぐためにも、まずはお客さまが実現したいライフスタイルから当社にご相談してみませんか?
【著者プロフィール】柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio|深川くらし相談所 代表
宅地建物取引士、2級FP技能士
不動産業界歴35年。大手不動産会社在籍中に執行役員として主に売買事業を統括し不動産流通に関わる。その後複数の会社役員を経て株式会社トラストリーを立ち上げ、地元密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。
https://note.com/k_shibata