深川エリアのマンションも、10年前と比べると倍近い価格になりました。
「こんなに上がっているのに、本当に今買って大丈夫?」
そんな疑問に、お金のプロであるファイナンシャルプランナーの吉野さんが答えてくれました。
この記事は、深川くらしチャンネルの対談動画「教えて吉野さん vol.3」の内容をまとめたものです。動画を見なくても、話の内容がすべて分かるように書いています。
住宅ローンを使って家を買うなら、物価が上がっている今は「買った方がいい」。
インフレの時代は、不動産の価格が上がりやすい一方で、お金の価値は下がっていきます。つまり、借りたお金の負担は実質的に軽くなっていくのです。ただし、数年以内に売る予定がある方など、急がなくていいケースもあります。詳しく見ていきましょう。
▶ 動画でご覧になりたい方はこちら(約22分)
- インフレの時代に、ローンで家を買うのが有利な理由
- 「頭金を貯めてから」より「組めるうちに組む」方がいい理由
- 急いで買わなくていい人、社宅でも買った方がいい人
- 変動金利の「5年ルール」「125%ルール」の仕組み
牛丼の値段で見る、物価の上昇
今回の対談にあたって、身近な物価の例として、大手牛丼チェーンの並盛の価格をたどってみました。
- 1960年代:120円
- 1970年代:300〜350円
- 2001年:400円から280円へ大幅値下げ
- 2013年:再び280円に
- 現在:500円近く
昔はワンコインに10円玉を何枚か足せば2杯食べられた牛丼が、今は500円玉1枚で買えるかどうか。日本は約30年もデフレが続いたため、「物の値段は上がらないもの」という感覚が、多くの人の頭に染みついています。だからこそ、今の急激な値上がりに戸惑ってしまうのです。
インフレは、不動産の価格を押し上げる
インフレとは、物の値段が上がっていくことです。そして不動産も、例外ではありません。
理由はシンプルで、建物をつくるための原価が上がるからです。鉄筋やコンクリートといった資材の価格も、それを組み立てる職人さんの人件費も上がっていきます。そのため、物価が上がる局面では、不動産も値上がりしやすい資産になります。
吉野さんは、こうも指摘します。「株価が上がっている、不動産が上がっている、金や銀が上がっている。数字で見るとそう見えますが、本質的には円の価値(購買力)が下がっていると見る方が正しいかもしれません」
インフレの時代、借金は「目減り」していく
物の値段が上がるということは、裏を返せば、お金の価値が下がるということです。牛丼が300円だった時代の100万円と、500円する今の100万円では、同じ100万円でも買えるものの量が違います。
これは借金も同じです。借りたお金の額は変わらなくても、お金の価値が下がれば、返済の実質的な負担は軽くなっていきます。だからこそ、インフレが続く局面で、30年や50年といった長いローンを使って家を買うことは、実は先行きの明るい選択なのです。
たとえば、物価や不動産の価格が年3%ずつ上がっていくとします。そのとき住宅ローンの金利が1%なら、差し引き2%分は、借りて買った方が有利という計算になります。さらに物価が上がると賃金も上がりやすいため、収入が増えていく方にとっては、なおさら返済は楽になっていきます。
親世代の「借金はするな」は、その時代の正解だった
家を買おうとすると、ご両親から「頭金も入れずに借金して大丈夫なのか」「借金はできるだけするな」と言われ、迷ってしまう方も少なくありません。
実はこの意見、ご両親が家を買った時代には正解でした。バブル期前後の住宅ローン金利は7〜8%もめずらしくなく、住宅金融公庫の固定金利でも5%前後。金利が物価の上昇を大きく上回っていたため、借りすぎると本当に大変だったのです。
一方、今の金利は上がってきたとはいえ1%前後。当時と比べれば圧倒的に低い水準です。時代が変われば、借金との付き合い方の正解も変わるのです。
頭金を貯めるより、「ローンを組めるうちに組む」
「頭金を貯めてから家を買う」というのが、昔の常識でした。でも今は、物件価格の100%に、数%の諸費用まで含めてローンを組めるケースも多くあります。昔なら、頭金がなければ銀行に「お引き取りください」と言われていた時代です。
吉野さんは、早めに買った方がいい理由をこう話します。
- 頭金を貯めている間に、物件価格が上がってしまうかもしれない
- いつか「頭金を1〜2割入れないと貸せない」と、融資の条件が厳しくなるかもしれない
- 若いうちに買えば、返済にあてられる時間も体力もたっぷり使える
もちろん、最低限の生活予備資金は手元に残しておくことが前提です。そのうえで、頭金を貯めるのを待つより、ローンを上手に使って早めに買う方が有利だと考えられます。
余談ですが、うちの妻はドラえもんの大きな陶器の貯金箱に、何年もかけて500円玉を貯めていました。ずっしり重くなって「もう入らない」と喜んでいたのですが、私は思わず「これを貯めている間に、お金の価値の方が目減りしているんじゃないか」と考えてしまいました。笑い話のようですが、お金を貯めて待つことが、必ずしも得とは限らない時代になったことを実感した出来事です。
急いで買わなくてもいい人、それでも買った方がいい人
ここまで「買った方がいい」というお話をしてきましたが、もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。吉野さんに、あえて「急がなくていい人」を挙げてもらいました。
急がなくていい①:数年以内に売る予定がある人
たとえば地方から東京に来ていて、3〜5年後には地元に戻る予定がある方。不動産は、売り買いにかかるコストが大きいからです。
- 買うとき:諸費用などで物件価格の約8%
- 売るとき:仲介手数料などで約4%
1億円の物件なら、同じ価格で売れたとしても、売り買いだけで約1,200万円のコストがかかります。3年で売るなら、3年間の住居費が1,200万円という計算です。さすがに割高ですよね。ここ数年は価格が上がり続けたため、短期で売っても利益が出たケースもありましたが、この先も同じとは限りません。
急がなくていい②:住み替えの時期に余裕がある人
たとえば、都内に持ち家があり、子育てが終わったら地元に戻ろうか考えている方。住み替えの時期を後ろにずらせたり、しばらく賃貸で様子を見たりできる、時間に余裕のある方は、慌てて買う必要はないかもしれません。
意外にも「買った方がいい」:社宅に安く住んでいる人
大手企業の社宅に、安い家賃で住んでいる方はどうでしょうか。吉野さんの答えは「社宅の方でも、いずれ買うつもりなら、先に買った方がいい」でした。
ローンを組めば、月々の住居費はおそらく社宅より上がります。でも、ローンの返済は「資産の分割払い」です。インフレが続くなら、たとえ家の価格が上がらなくても、借りたお金の実質的な負担は軽くなっていきます。そしていずれ買うなら、価格が上がってから買う方が不利になり、そのときの金利や融資の条件も分かりません。目先の家賃の安さだけで判断しないことが大切です。
大前提は、「どこを、どんな物件を買うか」
インフレで不動産が値上がりしやすいといっても、全国どこでも当てはまるわけではありません。前提になるのは、やはり資産性です。
その点、私たちのいる江東区は、まだ開発の余地が残るエリアです。豊洲〜住吉間では東京メトロ有楽町線の延伸工事が始まり、2030年代半ばの開業が予定されています。駅前の再開発計画もあり、長く住む場所としても、資産としても、理にかなった選択がしやすいエリアだと考えています。
ただし、エリアが良ければそれで十分というわけではありません。マンションは、住む人全員で長く運営していくものです。私たちが物件をご紹介するときは、管理状況や耐震性にも必ず目を向けてお話ししています。「駅に近いから、他は問題ない」という買い方は、おすすめしません。
変動金利の「5年ルール」「125%ルール」とは?
対談の最後に、トラストリーのスタッフから吉野さんに質問しました。「変動金利が上がったら、来月からいきなり返済額が増えて困ることはないんですか?」
変動金利は、国の政策金利に連動する「短期プライムレート」をもとに決まります。銀行が独自に「来月から上げます」と決めるものではありません。それでも金利が上がれば家計に直結するため、多くの銀行には次の2つのルールがあります。
では、金利が上がると何が変わるのか。変わるのは、毎月の返済の「中身」です。
※イメージをつかむための概算です。
口座から引き落とされる額は同じでも、利息の割合が増え、元本の減り方がゆっくりになります。つまり、5年ルールは返済の「先送り」であって、負担が軽くなるわけではありません。金利が大きく上がった場合には、毎月の返済で利息を払いきれない「未払利息」が発生することもあります。
吉野さんがよく勧めるのは、この5年間を「準備期間」として考える方法です。5年の間に昇給や昇格はどれくらい見込めるか。返済額が上がっても、収入も上がっていれば問題ないか。支払いと収入の両方を見て、見通しを立てておきます。
なお、一部のネット銀行などでは、このルールがない場合もあります。ルールがないことが必ずしもデメリットとは限りませんが、銀行選びも、物件選びと同じくらい大切です。細かく調べると、意外と違いがあるものです。
まとめ:買うつもりがあるなら、まずは早めに相談を
物価が上がり、金利の上昇も心配される今。それでも経済的な合理性で考えれば、家は早めに買った方がいい、というのが吉野さんの答えでした。数年以内に売る予定がある方などを除けば、購入を後ろ倒しにする理由はあまりありません。
最近はYouTubeなどで、皆さん本当によく勉強されています。ただ、表面的には分かっていても、深く理解している方は意外と少ないものです。お金のプロと不動産のプロの両方からアドバイスを受け、その知識をもとに、良い物件に出会ったときにすぐ手を挙げられるよう準備しておく。それが、この時代の賢い家の買い方だと思います。
よくある質問
A. 住宅ローンを使って買うなら、買った方がいいと考えられます。インフレの局面では不動産の価格が上がりやすい一方、お金の価値は下がるため、借りたお金の負担は実質的に軽くなっていくからです。
A. 生活予備資金を確保したうえで、ローンを組めるうちに組む方が有利な場合が多いと考えられます。頭金を貯めている間に、物件価格が上がったり、融資の条件が厳しくなったりするリスクもあるためです。
A. 数年以内に売る予定がある方です。購入時に約8%、売却時に約4%の費用がかかるため、短期間の保有ではコストが大きくなります。住み替えの時期に余裕がある方も、急ぐ必要はないかもしれません。
A. 金利が上がっても5年間は返済額が変わらず、見直し時も1.25倍までしか上がらないというルールです。ただし返済の先送りであり、総額が減るわけではありません。ルールがない銀行もあります。
A. いずれ買うつもりなら、早めに買った方がいいと考えられます。ローン返済は資産の分割払いであり、インフレが続くなら、後から買うほど不利になる可能性があるためです。
すぐ手を挙げられる準備を
メガバンク・ネット銀行・地方銀行まで、幅広い選択肢からご提案できます。
購入を急かすようなことはいたしません。
本コラムは住宅購入を検討されている方への情報提供を目的としております。記事中の金額・金利・物価上昇率は説明のための一例であり、将来の不動産価格や金利を保証するものではありません。住宅ローンのルールは金融機関によって異なります。個別の資金計画やローンの組み方については、専門家へのご相談をお勧めします。



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