深川くらし 編集長コラム 全3回連載 第3話(最終回)
潮目が変わった不動産市場で ~これからの住まい選びと、生き残る不動産会社の条件~
この記事のポイント
- 相場はAIで調べられ、取引の仕組みは透明になり、大きな看板も安心の証明ではなくなりました。誤魔化しが効かない時代です
- 淘汰されるのは、規模でも価格でも、信頼でも選ばれない「特徴のない会社」です
- 中小が選ぶ道は、信頼をコツコツと積み重ね、地域とお客様に寄り添い続けることです
- これから選ばれるのは、「情報の仲介」から「人生の意思決定の伴走」へ軸足を移せる会社です
- 住まいを探す方へ、信頼できる不動産会社を見分ける五つの視点をまとめました
- 最後に、深川で10年続けてきたトラストリーの考え方が、これらの条件に近いことをお伝えします
この連載で見てきたことを、ひとことでまとめるなら「誤魔化しが効かない時代になった」ということです。
- お客様が情報を持つようになった。相場も成約事例も、AIに聞けば数秒でわかります。不動産会社だけが情報を握っていた時代は終わりました。
- 仕組みが透明になった。2025年1月から、売り出し中の物件の取引状況をレインズに登録することが義務になりました。見えないところで情報を操作する余地は、狭まり続けています。
- 看板では守れなくなった。大手生命保険会社でも、信頼されていた担当者による不正が相次いで明らかになりました。会社の大きさは、もはや安心の証明にはなりません。
最終回となる第3話では、この時代にどんな不動産会社が選ばれ、どんな会社が淘汰されていくのか。そして、住まいを探す方がどうやって信頼できる会社を見分ければよいのかを考えます。
大手にも、特徴のない会社にもならないという選択
これからの不動産市場は、二つに分かれていくと考えています。
ひとつは、情報量と価格で選ばれる道です。知名度と物件情報を持つ大手や、手数料の安さを打ち出す会社が、この道を進むでしょう。もうひとつは、判断と安心で選ばれる道です。「この人に相談したい」と名前を思い出してもらえる会社が、こちらに残ります。
手数料が安いことは、それ自体はお客様にとって良いことです。けれど、初めて家を買う方の不安は、手数料の安さだけでは拭えません。この価格は妥当なのか。住宅ローンは本当に返していけるのか。物件に見えないデメリットはないか。契約や手続きで見落としはないか。不安の正体は、数十万円の手数料の差ではなく、数千万円の判断を一人で下さなければならないことにあります。その判断を一緒に背負ってくれる相手がいるかどうか。初めての方ほど、そこに価値を感じるはずです。
そして淘汰されるのは、そのどちらにもなれない会社です。規模でも価格でも勝てず、かといって選ばれる理由もない。追い風の時代に物件を流すことで成り立っていた、特徴のない会社です。
中小の不動産会社が大手と同じ土俵で戦っても、勝ち目はありません。中小の会社にできるのは、信頼をコツコツと積み重ねること。地域とお客様に寄り添い続けること。そしてその姿勢を、外から見てもはっきりわかる「特徴」にまで育てることです。
誤魔化しが効かない時代は、
誤魔化す必要のない会社にとっては、追い風の時代でもある。
情報の仲介から、人生の意思決定の伴走へ
物件情報を探して示す。定型の書類をつくる。こうした仕事の価値は、AIの進化とともに小さくなっていきます。これから選ばれる仲介会社は、「情報の仲介」から「人生の意思決定の伴走」へと、軸足を移せる会社です。そのために問われる強みは、四つあると考えています。
1. ネットに乗らない一次情報と、地域とのつながり
AIは、過去の取引データやポータルサイトの情報を分析するのは得意です。けれど、マンションの管理組合が実際にどんな雰囲気か、夜の通学路がどんな様子か、といったネットに乗らない生きた情報は持っていません。地元のオーナーさんや住民の方から、直接ご相談をいただける関係もそうです。地域に長く根ざし、街の人と日常的につながっている会社ほど、こうした情報を持っています。
2. 条件の裏にある、本当の願いを引き出す対話力
お客様自身も、本当に求めている住まいを言葉にできていないことはよくあります。「駅徒歩5分、築浅」という条件で探していた方と話すうちに、実は通勤時間の短さよりも、週末に静かに過ごせる環境を求めていたとわかる。そうした本当の願いに気づき、人生設計にまで踏み込んで一緒に考えることは、人にしかできない仕事です。
3. AIを恐れずに使い、浮いた時間を人に注ぐ
相場データの整理や査定の下調べ、契約書のひな形づくり、内見の日程調整。こうした定型の仕事は、テクノロジーに任せて効率を上げていきます。そして浮いた時間を、お客様との対話や、複雑な権利関係の調査といった、本当に人が必要な仕事に注ぎ込む。AIを避けるのではなく、使いこなしてこそ、寄り添う時間は増やせます。
4. 感情が絡む調整と、「最後の信頼」
不動産の売買は、人生でいちばん大きな取引です。売主と買主それぞれの不安、相続をめぐる家族の事情、言葉にしにくい感情のもつれ。そうした中で「この人が間に入ってくれたから決断できた」と思っていただける誠実さと、何かあったときに逃げずに責任を持つ姿勢は、AIには代わりにくい価値です。
淘汰されるのは、ポータルサイトの情報を転載し、事務手続きをこなすだけの会社でしょう。反対に、テクノロジーを味方につけ、人にしか提供できない安心と洞察を磨き続ける会社にとっては、競合が減っていく時代でもあります。
住まいを探す方へ:信頼できる不動産会社の見分け方
では、住まいを探す側は、どうやって信頼できる会社を見分ければよいのでしょうか。会社の大きさや手数料の安さだけでは、判断できません。次のような点を、相談の場で確かめてみてください。
どれも、特別な知識がなくても確かめられることです。そしてこの五つは、そのまま「誤魔化しが効かない時代に選ばれる会社」の条件でもあります。
最後に、私たちトラストリーのこと
ここまで、これからの時代に選ばれる不動産会社の条件を考えてきました。最後に少しだけ、私たちトラストリーのことをお話しさせてください。深川で10年かけて大切にしてきたことは、ここまで書いてきた条件と、とても近いところにあると考えています。
社名に込めたTRUST・STORY・TRY
トラストリー(TRUSTORY)という社名は、二つの言葉を組み合わせた造語です。
TRUST(信頼)
不動産は、多くの方にとって人生でいちばん高い買い物です。その取引を任せていただく仕事は、信頼なしには成り立ちません。
STORY(物語)
お客様一人ひとりの人生の物語と、深川という街の物語。その両方に、少しだけ関わらせていただきたいという想いです。
TRY(挑戦)
二つを縮めるとTRYになります。守りに入らず、挑戦を続ける姿勢です。
第2話でお話しした「友達や親族に勧められるか」という基準は、この社名の最初の言葉、TRUSTそのものです。良いことも悪いこともお伝えし、ときには「お勧めできません」と申し上げる。それは信頼を一度の取引で使い切らず、次の物語へつないでいくためです。
2016年の設立から10年。社名に込めたこの三つの言葉は、今も私たちの判断の拠りどころです。
深川で10年、「検索」ではなく「相談」を
私たちは10年前から、深川の路面に店を構えてきました。この街に店を出し続けていること自体が、「ここから逃げない」という意思表示だと考えています。
地域の不動産会社は、売って終わりにはできません。お客様とは、商店街で、祭りで、ご近所で、これからも顔を合わせ続けます。だからこそ、誤魔化しようがないのです。物件のデメリットを伏せて売れば、その事実はいつか必ず街のどこかで自分に返ってきます。
私たちがお客様にお願いしているのは、物件を「検索」する前に、暮らしを「相談」することです。
- どの街で、誰と、どんな毎日を送りたいか
- 毎月いくらまでなら、金利が上がっても無理なく返せるか
- 平日の通勤や通学、週末の過ごし方、将来の家族の形
そこから一緒に考えると、「駅に近い物件がいい」と思っていたご家族が、本当はお子さんの通学のしやすさのほうが大切だったと気づくこともあります。「いい物件」は、お客様の暮らしによって変わるのです。
深川で家を探す方の多くは、物件より先に、この街そのものに惹かれています。古い町並みと新しいお店が自然に混ざり合い、空が広く、水辺と緑が近い。祭りをきっかけに、自然と挨拶が生まれる。そんな街の暮らしを、仕事としてだけでなく、自ら生活者として知っていること。それが私たちの強みです。スタッフの中には、自分自身でこの街に中古マンションを買った者もいます。
「点」から「面」へ:変わらないために、変わる
コツコツと寄り添うことは、昔ながらのやり方にしがみつくことではありません。むしろ、変わらない姿勢を守るためにこそ、変わり続ける必要があります。
2026年9月、私たちは10年間親しまれてきた店名「リフォーム不動産深川studio」を卒業し、「TRUSTORY fukagawa studio」として新しいスタートを切りました。店舗の外観を一新し、ロゴも新しくしました。デザイナーである娘が考えてくれたロゴは、TとRが一本の線でつながり、糸を紡ぐような形をしています。
店名を変えたのは、事業が創業時の「不動産売買とリフォーム」という器に収まらなくなったからです。
- 地域メディア「深川くらし」で、街の人とお店と暮らしを発信する
- 中古マンションのフルリノベーションまで一貫して手がける
- 地元の商店会に加わり、地域のイベントにも参加する
- これからは、まちづくりやデザインにも取り組んでいく
一件一件の取引という「点」から、街全体の暮らしに関わる「面」へ。それが、このリブランディングに込めた意味です。
一方で、変わらないものもあります。運営会社も、場所も、スタッフも、相談の窓口もそのまま。気軽に立ち寄れる、開かれたまちの相談所であり続けることも変わりません。
新しくなったのは、看板と道具です。お客様に寄り添う姿勢は、何も変わっていません。
私たちのこれから:まだ積み重ねたいこと
この連載では、良いことも悪いことも正直に書くとお約束しました。ですから最後に、私たち自身がこれからさらに積み重ねていきたいことも書いておきます。
誠実さを、言葉ではなく体験で知っていただくこと。「お客様に寄り添う」「正直に伝える」は、ほとんどの不動産会社が掲げている言葉です。言葉だけでは、違いは伝わりません。だからこそ、売り込みをしない相談会や、他社でご検討中の方へのセカンドオピニオンといった場で、私たちの話し方を実際に確かめていただきたいと考えています。
社長だけではない、スタッフ一人ひとりの顔を知っていただくこと。トラストリーには、お客様に寄り添える信頼できるスタッフがいます。26歳で自ら中古マンションを購入したチーフエージェント、江東区で生まれ育ったエージェント。それぞれが自分の経験と言葉で、お客様の判断を支えています。社長の顔だけでなく、「あの人に相談したい」とスタッフの名前で思い出していただける会社へ。その顔を、これからもっと発信していきます。
「住みたい人が住めない深川」に、答えを持つこと。深川の地価はこの10年で大きく上がり、この街に住みたいと思ってくれる人が住めなくなりつつあります。新築に手が届かなくても、中古マンションを選び、リノベーションで自分らしい住まいに整える。その道を示し続けることが、この街で商売をさせていただいている私たちの役割だと考えています。
連載を終えて
3回にわたり、潮目が変わった不動産市場について書いてきました。
第1話では、価格の高止まりと取引の細り、金利の上昇という市場の現実を数字で確かめました。第2話では、メリットだけを語る営業が生まれる仕組みと、友達や親族に勧めるときと同じ気持ちでお客様に向き合うことの大切さをお話ししました。そして第3話では、誤魔化しが効かない時代に、中小の不動産会社がどう生き残るのかを考えました。
私の答えは、最初から変わりません。信頼を、コツコツと積み重ねること。地域とお客様に、寄り添い続けること。派手に儲かる道ではありません。けれど、追い風が止んだあとにも残るのは、きっとこの道です。
同じ業界で働く皆さんへ。潮目が変わった今こそ、正直であることが、いちばん確かな差別化になると私は信じています。業界全体が「誤魔化さない」方向へ進めば、それはお客様にとっても、私たちにとっても、良い市場になるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
住まいのことで迷っている、すべての方へ
まだ何も決まっていなくても、大丈夫です。売り込みは一切しません。
物件のことも、お金のことも、この街の暮らしのことも。良いことも悪いことも含めて、一緒に考えさせてください。
深川の「不動産に詳しい近所の顔なじみ」として、いつでもお待ちしています。
TRUSTORY fukagawa studio に、相談してみませんか
購入・売却・リノベーションの無料個別相談会を、月に数回開いています。来店・お電話・オンラインのいずれでも承ります。他社でご検討中の方のセカンドオピニオンもお気軽にどうぞ。
よくある質問
Q. 信頼できる不動産会社は、どう見分ければよいですか?
A. デメリットを自分から話してくれるか、物件より先に暮らしとお金の話を聞いてくれるか、地域のことを自分の言葉で語れるか、決断を急かさないか、契約後も付き合いが続きそうか、の五つが目安になります。会社の大きさや手数料の安さだけでは判断できません。
Q. トラストリー(TRUSTORY)という社名には、どんな意味がありますか?
A. TRUST(信頼)とSTORY(物語)を組み合わせた造語です。不動産の仕事は信頼が前提にあること、お客様の人生と深川の街の物語に関わりたいという想いを込めています。二つを縮めるとTRY(挑戦)になり、挑戦を続ける姿勢も表しています。
Q. 「リフォーム不動産深川studio」はどうなったのですか?
A. 2026年9月に店名を「TRUSTORY fukagawa studio」に変更しました。運営会社、場所、スタッフ、相談窓口は変わりません。事業がメディア運営やフルリノベーション、地域活動へと広がったことに合わせた変更です。
Q. まだ購入や売却を決めていなくても、相談できますか?
A. はい、できます。物件を探す前に、暮らし方や資金計画から一緒に考えることをおすすめしています。売り込みは一切いたしません。
Q. 他社で検討中の物件についても相談できますか?
A. はい。他社でご検討中の物件や査定について、セカンドオピニオンとして率直な意見をお伝えしています。メリットだけでなくデメリットも含めてご説明します。
Q. 中小の不動産会社に相談するメリットは何ですか?
A. 担当者が変わりにくく、地域の暮らしを生活者として知っている担当者に、長く相談できることです。地域に根ざした会社は売って終わりにできないため、購入後の暮らしまで見据えた提案を受けやすい点も特徴です。
Q. 深川で住宅を買いたいが、価格が高くて手が届くか不安です。
A. 新築マンションに比べて手が届きやすい中古マンションを選び、リノベーションで自分らしい住まいに整える方法があります。毎月無理なく返せる金額から逆算して、エリアや物件の条件を一緒に考えることができます。
Q. AIの時代に、選ばれる不動産仲介会社の条件は何ですか?
A. 物件情報の提示や定型書類の作成はAIで効率化が進むため、「情報の仲介」から「人生の意思決定の伴走」へ軸足を移せるかどうかが分かれ目になると考えています。具体的には、ネットに乗らない地域の一次情報、お客様の本当の願いを引き出す対話力、AIで浮いた時間を人との対話に注ぐ姿勢、感情が絡む調整を担う誠実さと責任感の四つです。
Q. トラストリーと「深川くらし」はどんな会社・メディアですか?
A. 株式会社トラストリーは、東京・江東区深川を拠点に、中古マンションの仲介とリノベーションを手がける、豊かな暮らしをデザインする「地域価値創造企業」です。「深川くらし」は同社が運営する地域メディアで、深川の暮らし、まち、人の魅力を発信しています。
連載「潮目が変わった不動産市場で」
- 第1話 宴のあと:都内不動産市場で、いま何が起きているのか
- 第2話 潮目が変わった今、本当に必要な不動産会社とは
- 第3話 誤魔化しが効かない時代に、選ばれる不動産会社とは(この記事)
トラストリーの考え方をもっと知る
- 不動産会社らしくない不動産会社が、深川にあります。
- 深川・江東区周辺で中古マンションを買うなら。物件探しの前に「相談」をすすめる理由
- 「リフォーム不動産深川studio」10年目の卒業。「TRUSTORY fukagawa studio」へ
- 好きな街で、好きな暮らしを。
- 株式会社トラストリー
このコラムを書いた人
柴田 光治 深川くらし 編集長/株式会社トラストリー 代表取締役
地域メディア「深川くらし」編集長。豊かな暮らしをデザインする「地域価値創造企業」株式会社トラストリーの代表。東京・江東区深川で「TRUSTORY fukagawa studio」と地域メディア「深川くらし」を運営。中古マンションの仲介とリノベーションを通じて、”豊かな暮らし”を提案しています。



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