代表・柴田のnoteに掲載したコラムを、深川くらし向けに再編集しました
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この記事のポイント
- 家の価値は、建物よりも「まち」が決める。だから、まちの価値をつくることは不動産会社の本業です
- 住みたい人が住めなくなりつつある東京・深川と、住む人が減っていく北海道深川市。正反対の課題だからこそ補い合えます
- トラストリーが考える豊かさは、お金だけでは測れない「心の豊かさ」です
- 地域価値創造とは、まちとまちが交流を楽しみながら、お互いの価値を高め合うことです
「東京の不動産屋さんが、どうして北海道の深川市と?」
こう聞かれることがあります。
正直に申し上げて、最初は好奇心からでした。同じ「深川」という名前のまちが北海道にある。メディア「深川くらし」を運営していて、「深川」の情報を探していると、検索結果に北海道の深川市の情報がたびたび出てくる。それが気になっていた。きっかけはそれだけです。
ところが調べていくうちに、東京の深川とは真逆とも言える状況が見えてきました。
人口が増え続け、住みたい人が住めなくなりつつある、東京の深川。
人口が減り、住む人を必要としている、北海道の深川。
いてもたってもいられず、市役所に一本の電話をかけてから2年。市長をお迎えし、社員や街の人たちと一緒に北海道を訪ね、先日はまちおこしイベントのトークセッションのステージにも立ちました。続けるうちに、「なぜやっているのか」が少しずつ言葉になってきた気がします。
私たちトラストリーは、豊かな暮らしをデザインする「地域価値創造企業」でありたいと思っています。
では、その「地域価値創造」とは何なのか。なぜ東京の不動産会社が、地方のまちとつながるのか。
自分の頭を整理するつもりで、書いてみます。
実は今、つながりは北海道だけではなくなりつつあります。そのことも、最後に少し書きたいと思います。
家の価値は、建物ではなく「まち」が決める
不動産の仕事に40年以上携わってきて、確信していることがあります。
同じ広さ、同じ築年数のマンションでも、建っているまちによって価値はまったく違う。その差をつくっているのは、建物そのものよりも「まち」です。
駅までの道に好きなお店があるか。顔見知りがいるか。祭りやイベントがあって、外から来た人を迎え入れる空気があるか。
住み心地のいいまちの家は、住んでいる間の満足度が高いだけでなく、いざ売るときにも強い。暮らしの価値と資産の価値は、対立するものではありません。
だとすれば、私たちの本業は、家を売ることと同じくらい「まちの価値をつくること」なのだと思います。
地域メディア「深川くらし」を続けてきたのも、街歩きイベントや祭りに関わってきたのも、根っこは同じです。
東京の中だけでは、豊かな暮らしは完結しなくなった
ところが今、東京・深川では、まちの価値が上がるほど、住みたい人が住めなくなっています。
この10年で地価や家賃は大きく跳ね上がり、気軽に暮らし、気軽に商売を始められた下町らしさが、少しずつ失われつつあります。
不動産会社として、「深川に住めないなら、ほかのエリアで探しましょう」と言うのは簡単です。
でも、それでは「暮らしをデザインする」会社とは言えません。
暮らしの選択肢は、「東京か、地方か」の二択ではありません。
仕事をする場所がある。週末に通う場所がある。季節ごとに行き来するまちがある。住んではいないけれど、ふるさとのように関わり続けるまちがある。
そういう暮らし方を含めて、豊かさを一緒に考えることも、これからの私たちの仕事だと考えています。
実は私自身、千葉・外房の自宅と江東区深川の事務所近くの住まいを行き来する二拠点生活を送っています。ひとつのまちに縛られない暮らしが、どれだけ心に余白をくれるか。それを身をもって知っているからこそ、なおさらそう思うのです。
地方には、東京が失いかけているものがある
東京は、なんでも揃っていて恵まれているはずでした。でも、北海道深川市を訪ねて感じたのは、東京の暮らしに足りないものの多さでした。
どこまでも広い空。土の匂い。とれたてのお米や果物と、それをつくった人の顔。
「収穫が終わればそのまま片付け。実際に食べる人と話す機会はほとんどない」と話してくれた農家さんの言葉は、作り手と暮らし手の距離が、東京ではどれほど遠いかを教えてくれました。
私の父の実家は、山形・東根の農家です。子どもの頃、夏になるとさくらんぼ、冬になるとりんごが届き、足りなくなると送ってもらうお米を当たり前のように食べていました。あの当たり前の向こうに、どれだけの手間と想いがあったのか。深川市の生産者の方たちと話をして、ようやく実感できた気がします。
東京から、渡せるものもある
一方で、東京・深川から渡せるものもあります。
人の流れ。発信する力。外から来た人を「ようこそ」と迎え入れる祭りの文化。そして、行政に頼らずとも、民間や住人どうしでまちを動かしてきた経験です。
先日、門前仲町の富岡八幡宮で開催された「深川十五夜まつり」で、北海道深川産の新米で炊いた深川めしが好評でした。清澄白河の商店街の方々から、深川市のお米を数百キロ単位で注文する声も上がっています。
名前が同じというだけで、東京の深川の人たちは、北海道の深川市を応援したくなる。
これは、どちらか一方が助けるという関係ではありません。住みたい人が住めなくなりつつあるまちと、住む人が減っていくまち。正反対の課題を持つふたつのまちが、お互いの足りない部分を補い合う関係です。
不動産会社が、メディアを持っている意味
ここで効いてくるのが、私たちが「深川くらし」というメディアを持っていることです。
もともとは、まちの空気や魅力を伝えたくて始めたメディアでした。でも今は、まちとまちをつなぐ「窓口」の役割も果たせるようになってきました。
行政どうしの連携には、どうしても時間がかかります。
民間の、それもまちに根ざした小さな会社だからこそ、フットワーク軽く会いに行き、発信し、人と人をつなぐことができる。それが私たちの強みだと思っています。
私たちが考える「豊かさ」とは
ここで、私たちが大切にしている「豊かさ」について、書いておきたいと思います。
豊かさとは、何でしょうか。
お金や資産価値も、もちろん大切かもしれません。でも、それだけでは測れないのが本当の豊かさ。私たちが大切にしたいのは、心の豊かさです。
私たちが大切にしたい、6つの豊かさ
- 楽しく暮らせること
- 自分のまちを、誇りを持って「好き」と言えること
- 人と人との交流を、楽しめること
- 子どもからお年寄りまで、老若男女が一緒に楽しめること
- お互いの”ない”を、”ある”で補い合えること
- 次の世代へ、つないでいけること
東京・深川のお祭りには、それらが全部あります。神輿を担ぐ若い人、沿道で声をかける子どもたち、それを見守るお年寄り。世代も、住んでいる年数も関係なく、みんなが同じ時間を楽しんでいる。
北海道深川市のまちおこしイベント「nouon」が目指しているのも、三世代で楽しめる一日です。
高額な家に住むことでも、便利なまちに住むことでもない。
そういう時間が、暮らしの中にどれだけあるか。それが、私たちの考える豊かさです。
「地域価値創造」とは、まちとまちが価値を高め合うこと
ここまで書いてきて、自分なりの答えが見えてきました。
私たちの考える「地域価値創造」とは、 自分たちのまちを、もっと楽しく暮らせる場所にすること。
そして、ほかのまちとの交流を楽しみながら、ないものを補い合い、お互いの価値を高め合うこと。
東京の人が北海道を訪ねれば、北海道のまちにファンが生まれる。北海道の人が東京の深川を訪ねれば、深川のまちにファンが生まれる。
行き来が増えるほど、両方のまちの価値は上がっていく。
まちの価値は、地価だけでは測れません。
そこで楽しく暮らす人の笑顔の数と、人と人とのつながりの深さで決まるのだと思います。
そして、まちが楽しくなれば、そこで暮らしたいと思う人が増える。深川で住まいを探すお客様に、「このまちで暮らすと楽しいですよ」と胸を張って言えるようになる。
まちの豊かさと、私たちの仕事は、同じ方向を向いています。だからこそ、無理なく、楽しく続けられるのだと思います。
ふたつの深川から、その先へ
そして今、私のもうひとつの拠点である千葉県の大網白里市とも、連携のかたちを模索しはじめています。
九十九里浜に面した、海と田園のまちです。この夏の記録的な大雨では、冠水の被害にも見舞われ、連日ニュースで取り上げられました。
遠く離れたまちどうしが、ふだんから顔の見える関係でいること。それは、いざというときに支え合える関係でもあるのだと、あらためて感じています。
東京・深川から見れば、北海道よりずっと近い。週末に家族で出かけられる距離に、また違う暮らしと、また違う「ないもの」と「あるもの」がある。
ふたつの深川で見えてきた「補い合う関係」を、ほかのまちとも少しずつ広げていけたらと思っています。
どんな形になるかは、まだこれからです。
でも、名前が同じという偶然がなくても、まちを想う人どうしは、きっとつながれる。ふたつの深川が、それを教えてくれました。
まだ、途中です
TRUSTORY という社名は、TRUST(信頼)とSTORY(物語)を重ねたもの。短くすると「TRY」になります。
正直に言うと、まだ答えは途中です。
東京から農業体験に行く妄想も、まだ実現できていません。市民や区民のみなさんが気軽に行き来できる仕組みも、まだこれからです。
それでも、挑戦をやめるつもりはありません。
自分の住むまちを愛し、なんとかしたいと思う人どうしが、距離を越えて出会い、交流を楽しむ。そのきっかけをつくり、支える存在でありたい。
何より、私たち自身がいちばん楽しみながら。
あなたのまちと、どこかのまちが出会ったら、どんな価値が生まれるでしょうか。
もし思い浮かぶことがあれば、ぜひコメントで聞かせてください。
よくある質問
Q. 「地域価値創造企業」とはどういう意味ですか?
A. 株式会社トラストリーが掲げる会社のあり方です。自分たちのまちをもっと楽しく暮らせる場所にし、ほかのまちとの交流を通じて、ないものを補い合い、お互いの価値を高め合うことを目指しています。
Q. なぜ東京の不動産会社が、地方都市と連携しているのですか?
A. 家の価値は建物よりも、その家が建つまちによって決まると考えているからです。まちの価値をつくることは不動産会社の本業そのものであり、地方都市との交流は、東京・深川の暮らしの選択肢と豊かさを広げることにもつながります。
Q. トラストリーが考える「豊かさ」とは何ですか?
A. お金や資産価値だけでは測れない、心の豊かさです。楽しく暮らせること、自分のまちを誇りを持って好きと言えること、人との交流を楽しめること、老若男女が一緒に楽しめること、お互いの「ない」を「ある」で補い合えること、次の世代へつないでいけることを大切にしています。
Q. 東京・深川と北海道深川市は、どのような関係ですか?
A. 同じ「深川」という名前をきっかけに、2024年から民間主導で交流が続いています。相互訪問やイベントへの参加を重ね、住みたい人が住めなくなりつつあるまちと、住む人が減っていくまちが、お互いを補い合う関係を目指しています。
Q. ほかの地域との連携はありますか?
A. 千葉県の大網白里市とも、連携のかたちを模索しはじめています。ふたつの深川で見えてきた「補い合う関係」を、ほかのまちとも少しずつ広げていきたいと考えています。
Q. 深川エリアの住まい探しについて相談できますか?
A. はい。TRUSTORY fukagawa studioでは、深川・清澄白河・門前仲町エリアを中心に、中古マンションの購入・売却とリノベーションのご相談をお受けしています。まだ検討段階の方も、LINEからお気軽にご相談ください。
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このコラムを書いた人
柴田 光治 株式会社トラストリー 代表取締役
豊かな暮らしをデザインする「地域価値創造企業」株式会社トラストリーの代表。東京・江東区深川で「TRUSTORY fukagawa studio」と地域メディア「深川くらし」を運営。不動産業界での経験は40年以上。千葉・外房と深川の二拠点生活を送りながら、北海道深川市や千葉県大網白里市など、まちとまちをつなぐ活動に取り組んでいる。宅地建物取引士。



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