投資から暮らしへ。2026年・深川で中古マンションを賢く買うための新・方程式|第3話【選び方編】
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相談に来られる方に「一番気になることは何ですか?」と聞くと、圧倒的に多い答えがあります。
「築年数が古くて、大丈夫でしょうか」
その気持ちはよくわかります。でも40年この仕事をしていて、私が確信していることがあります。
築年数で物件の良し悪しは決まりません。管理の歴史が、建物の未来を決めるのです。
今回は、私が現場で実際に見ていることをそのままお伝えします。不動産会社の担当者と内覧に行く前に、ぜひ読んでおいてください。
プロが物件を見るとき、最初に何を見るか
物件を見に行くとき、私が最初に見るのは部屋の中ではありません。
エントランスです。
人を第一印象で判断するように、マンションもエントランスを見れば大体わかります。
清潔感があるか、明るいか。掲示板にどんな内容が貼られているか。自転車置き場は整然としているか、ゴミ置き場は清潔に保たれているか。これらを見れば、そのマンションの管理レベルが大体わかります。5秒で感じ取れることが、実は一番大切な情報です。
なぜか。管理組合が機能しているマンションは、共用部が丁寧に保たれています。住民が建物に関心を持ち、お互いに気を配っている。その空気感が、エントランスに出るのです。
逆に、エントランスが薄汚れて、掲示板に何年も前のお知らせが貼りっぱなしのマンションは、管理が止まっているサインです。部屋がどれだけきれいにリノベーションされていても、私はそういう物件を積極的にはすすめません。
人を第一印象で判断するように、マンションもエントランスを見れば大体わかる。部屋の中だけ見て決めないでください。
「買っていい中古」の条件①——修繕積立金を必ず確認する
修繕積立金は、マンション全体の「健康保険」です。将来の大規模修繕に備えて、毎月住民が積み立てるお金です。
ここを見ると、そのマンションの「管理に対する本気度」がわかります。
ただし、金額だけで判断するのは禁物です。修繕積立金の適正額は、総戸数・建物の規模・機械式駐車場(立体駐車場)の有無などによって大きく変わります。戸数が少ない小規模マンションや、維持コストの高い機械式駐車場を持つマンションは、必然的に一戸あたりの負担が高くなります。逆に大規模マンションは割安に見えることもある。
大切なのは「金額の絶対値」ではなく、その建物の規模や設備に対して積立金が適切に設定されているかどうかです。判断が難しい場合は、専門家に確認することをおすすめします。
ただし、どんな規模・設備であっても共通して確認すべきことがあります。それは改定の履歴です。
設立当初からずっと同じ金額のまま、というマンションは要注意です。建材コストは年々上がっています。それに対応して積立金を段階的に引き上げてきたマンションは、管理組合がきちんと機能している証拠です。
- 建物の規模・設備に見合った金額が設定されているか
- 過去に段階的な改定がされているか
- 滞納率が高くないか(高い場合は積立計画が崩れているリスクあり)
安いからいい物件、高いからダメな物件——そんな単純な話ではありません。表面の数字だけで判断せず、なぜその金額なのか、将来の計画に無理はないか。そこまで深く見て、初めて「この物件は大丈夫」と言えます。
ひとつ、厳しいことを言わせてください。
修繕積立金の金額だけを見て「安くて負担が少ないですよ」としか説明しない担当者、あるいはそもそも説明すらしない担当者には、注意が必要です。この部分をきちんと説明できる担当者かどうかが、信頼できるかどうかの大きな判断基準になります。
正直、この判断は慣れていないと難しい。気になる物件が見つかったら、一度プロの目で一緒に確認することをおすすめします。
「買っていい中古」の条件②——長期修繕計画の中身を見る
長期修繕計画とは、向こう30年程度の修繕スケジュールと費用を見通した計画書です。
ひとつ、前提として知っておいてほしいことがあります。
修繕にかかる費用は、今後上がり続ける方向にあります。建材コストの上昇、職人不足による人件費の高騰——これらは一時的なものではなく、構造的な変化です。つまり今の長期修繕計画が想定している費用では、将来足りなくなる可能性がある。
中古マンションを長期的に見ると、さまざまなリスクが潜んでいます。外壁・屋上防水・給排水管の更新、エレベーターの交換、機械式駐車場のメンテナンス——これらがいつ・いくらかかるのか。積立金はそれをカバーできるのか。
私がお客様に伝えているのは、「あらゆる仮説を立てて、納得した上で購入してください」ということです。
「このマンションは10年後に大規模修繕が来る。その費用は積立金で賄えるか。一時金が発生するとしたらいくらか。それでも買う価値があるか」。こういった問いを、購入前に自分の中で丁寧に答えておく。それが、長く気持ちよく住み続けるための前提です。
修繕積立金については、最初から5年ごとに段階的に値上げする計画を立てているマンションもあります。そういうマンションは長期的な視点で管理組合が運営されている証拠です。大切なのは「今いくらか」だけでなく、「将来に向けてどんな計画があるか」まで確認することです。
確認すべきポイントはこちらです。
- 直近5年以内に計画が更新されているか(古い計画書のままでは現在のコストに対応できていない)
- 過去の大規模修繕の実施歴。一般的に12〜15年サイクル(今後は伸びる可能性も)
- 外壁・屋上防水・給排水管の更新状況
- 次回大規模修繕の予定時期と積立金の充足状況
これらの書類は、購入申込み前に不動産会社を通じて取り寄せることができます。「見せてもらえますか」と一言言えばいい。それを嫌がる売主・業者には注意が必要です。
現地でできる「目と鼻のチェック」
書類の確認は大切ですが、実は現地に行けば目と鼻でわかることも多い。内覧のとき、部屋の中だけでなく必ずこれを確認してください。
目で見る
- エントランスの清潔感と明るさ
- 掲示板の内容。定期的に更新されているか、住民への丁寧なお知らせがあるか
- 自転車置き場が整然としているか
- ゴミ置き場が清潔に保たれているか
- 共用廊下・エレベーターの清潔感
- 外壁のひび割れ・タイルの浮きが放置されていないか
- 植栽が枯れたまま放置されていないか
鼻で感じる
- 廊下や階段にカビ・湿気のにおいがないか
- 排水口まわりの異臭がないか
小さなことに見えますが、これらは管理の蓄積が出る場所です。10年・20年のメンテナンスの差が、においや汚れとして現れます。
「ダメな中古」のサイン——これが出たら慎重に
逆に、こういうサインが出たら立ち止まって考えてほしいことがあります。
- 修繕積立金が極端に安い——戸数が少ないのに、月数千円という物件は、将来の一時金リスクが高い
- 長期修繕計画が存在しない、または10年以上更新されていない——管理組合が機能していない可能性がある
- 大規模修繕の履歴がない築30年超——なぜ実施されていないのか、必ず理由を確認する
- 管理費・修繕積立金の滞納が多い——住民の管理意識が低く、将来のトラブルリスクが高い
- 書類の開示を渋る——見せられない理由が何かある可能性がある
- ワンルームが多く混在している——投資目的のオーナーが多いと居住者の管理意識が薄れ、管理組合が機能しづらくなる。総会の参加率が低く、修繕の意思決定が進まないケースも多い
念のため申し上げると、これらはあくまで「立ち止まって確認するサイン」であり、即座にNG判定ではありません。理由がわかれば問題ないケースもある。大切なのは、疑問をそのままにしないことです。
築古でも安心して買える、その理由
私がお客様に伝えていることがあります。
「管理の良い築40年は、管理の悪い築10年より、ずっと安心して住めます。」
鉄筋コンクリート造のマンションの物理的な寿命は、適切に管理されれば100年を超えるとも言われています。問題は築年数ではなく、その100年をかけて誰がどう管理してきたか、です。
深川エリアには、管理状態の良い築古マンションが数多くあります。新築プレミアムを払わずに、好立地・好管理の物件を手に入れる。それが今の深川での、賢い中古マンションの選び方です。
築年数に関するより詳しいデータや国際比較については、「築年数より大切なこと。管理・立地・修繕で見る中古マンション選びの実践ガイド」をあわせてご覧ください。
次回・第4話では「金利上昇時代の住宅ローン戦略」をお話しします。固定か変動か——その答えより大切な「自分たちに合った考え方」をお伝えします。
▼ このシリーズのロードマップ
第1話【市況編】
「うまみ」が落ち着いた今、何を基準に選ぶべきか
第2話【エリア編】
なぜ深川は、価格が落ち着いても価値が揺らがないのか
第3話【選び方編】← 今ここ
プロが現場で見ていること。「買っていい中古」と「ダメな中古」の分かれ目
第4話【資金計画編】
金利上昇時代の「守り」の住宅ローン戦略
第5話【総括編】
「いつ買うか」ではなく「どう暮らしたいか」を主役にしよう
「この物件の管理状態、一緒に確認してほしい」という方はお気軽にご相談ください。
書類の読み解きから現地確認まで、購入前の不安をまとめてサポートします。売り込みは一切しません。
著者:柴田 光治(深川くらし 編集長 / 株式会社トラストリー 代表)
宅地建物取引士・2級FP技能士。不動産・建設業界歴40年超。深川・江東区エリアを拠点に、住まいと暮らしの専門家として活動。「深川たてもの相談所」を運営し、管理組合運営・大規模修繕工事へのアドバイスも手掛ける。



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