投資から暮らしへ。2026年・深川で中古マンションを賢く買うための新・方程式|第1話【市況編】
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「今って、買い時なんですか?」
深川エリアで中古マンションをお探しの方から、最近多くいただく言葉です。
価格が勢いよく上がり続けていたこの数年は、この質問はありませんでした。「早く買わないと」という焦りが決断を後押しし、迷う間もなく動いていた。
でも今は違います。
「もう少し待てば下がるかもしれない」「買って損したらどうしよう」。そう思うと、なかなか動けない。
その気持ち、とてもよくわかります。
私は不動産業界に40年以上携わり、深川・江東区エリアで創業して10年。これまで数多くの購入相談に向き合ってきました。バブル崩壊も、リーマンショックも、東日本大震災による影響やコロナ禍の急騰も、現場で見てきた。だからこそ、今の市場について、正直にお伝えできることがあります。
「怖さ」の正体は、上昇期も今も、実は同じだった
少し立ち止まって考えてみてください。
価格が上がっていた時代、あなたは本当に怖くなかったでしょうか。「乗り遅れたら損」「来年はもっと高くなりそう」。その焦りも、ある種の恐怖だったはずです。
- 上昇期の恐怖 → 「買わないと損する」→ 焦って動く
- 今の恐怖 → 「買ったら損するかも」→ 動けない
向きは真逆でも、根っこの感情は同じです。「損したくない」。
ただ、それだけ。
行動経済学では「損失回避バイアス」と呼びます。人間は利益の喜びより、損失の痛みを2倍以上強く感じる。あなたが今動けないのは、意志が弱いのでも判断力がないのでもない。人間として、きわめて正常な反応なのです。
「損したくない」という気持ちが、一番損な選択をさせてしまうことがある。
深川で起きていたこと。「半投半住」という時代のうまみ
深川のような都心近接エリアには、「半投半住」という考え方が根付いています。
住むためでもあり、資産としても価値がある。
それは投資と暮らしが半々に混ざった購買動機のことです。
地方や田舎では成立しない感覚で、門前仲町・清澄白河・住吉といった都心近接エリアや再開発エリア特有のものです。
ここ数年は、その「半投半住」に異常なうまみが加わっていました。
買えば確実に上がる。その期待が、多少背伸びした購入を後押しし、決断を加速させてきました。私が見てきた中でも、あれほど熱狂的な市場は久しぶりでした。
今は、そのうまみが落ち着きつつあり、爆発的な値上がりを期待するのは難しい局面になってきました。
それが現状の正直なところです。
ただし、誤解してほしくないのはここです。
深川の本質的な価値は、何も変わっていません。異常だった部分が、正常に戻りつつあるだけです。
都心への近さ、門前仲町や清澄白河の文化的な蓄積、生活利便性の高さ。これらは価格が上がっていようと落ち着いていようと、この街が持ち続けている価値です。
うまみが消えたのではなく、過熱していた市場が適正な水準に戻ってきた。そう捉えてください。
「待てば下がる」は、本当に正解か。数字で見てみよう
「もう少し待てば下がるかもしれない」。その気持ちはよくわかります。
でも、「待つ」という選択にも、見えにくいコストが確実にかかっています。実際に数字で見てみましょう。
「2年間、下がるのを待った場合」のシミュレーション
→ 6,650万円
| 価格下落による節約 | ▲ 350万円 |
| 家賃コスト(18万円 × 24ヶ月) | + 432万円 |
| 金利0.5%上昇による総返済増(35年) | + 約695万円 |
| 2年待ったことによる追加コスト | 約777万円の損 |
※借入額6,650万円・35年ローン・金利0.5%上昇(例:1.5%→2.0%)を前提とした試算。管理費・修繕積立金等は含みません。実際の返済額は借入条件により異なります。個別の資金計画は専門家にご相談ください。
それでも、今買うことにはインフレ時代ならではの意味がある
「うまみが落ち着いたなら、買う意味はあるの?」
あります。むしろ今の時代だからこそ大きい。キーワードはインフレです。
- 固定金利であれば、家賃が上がり続けても返済額は変わらない
- 変動金利は金利上昇で返済額が増えるリスクはあるが、借入残高の実質価値は目減りし、物件という実物資産の名目価値は維持されやすい
- 現金のまま持ち続けるより、実物資産のほうがインフレに強い
値上がり益を狙う必要はありません。
深川で「住みたいから買う」という判断が、結果としてインフレから家族の暮らしを守ることにもつながる。それが今のこの街の選び方です。
「固定か変動か」という問いは、第4話【資金計画編】で改めて詳しくお話しします。インフレ時代の金利選びには、正解よりも「自分たちに合った戦略」があります。
住みたい街で買う。それが今、一番強い動機になる
今この瞬間、私がお伝えしたいのは「今が買い時です」という煽りではありません。
過熱した市場が落ち着きを取り戻した今、初めて購入を考えるあなたが、冷静に、自分たちの暮らしを基準に選べるタイミングがきています。
深川はもともと、住みたい人が住むべき街です。うまみがあろうとなかろうと、その本質は変わらない。だからこそ「住みたいから買う」という、シンプルな動機が今一番強い。
このコラムは全5回のシリーズです。市況・エリア・物件選び・資金計画・まとめと、初めての購入で知っておくべきことを順番にお伝えします。ひとつひとつ読んでいただくことで、深川での住まい探しに自信を持っていただけると思っています。
▼ このシリーズのロードマップ
第1話【市況編】← 今ここ
「うまみ」が落ち着いた今、何を基準に選ぶべきか
第2話【エリア編】
なぜ深川は、価格が落ち着いても価値が揺らがないのか
第3話【選び方編】
プロが教える「買っていい中古」と「ダメな中古」
第4話【資金計画編】
金利上昇時代の「守り」の住宅ローン戦略
第5話【総括編】
「いつ買うか」ではなく「どう暮らしたいか」を主役にしよう
次回・第2話では「なぜ深川という土地は、価格が落ち着いても価値が揺らがないのか」をお話しします。門前仲町・清澄白河・木場・森下・住吉。それぞれの街が持つ、数字では測れない底力についてです。
「もう少し具体的に話を聞いてみたい」という方は、お気軽にご相談ください。
売り込みは一切しません。あなたの状況を聞かせていただき、一緒に考えます。
著者:柴田 光治(深川くらし 編集長 / 株式会社トラストリー 代表)
宅地建物取引士・2級FP技能士。不動産・建設業界歴40年超。深川・江東区エリアを拠点に、住まいと暮らしの専門家として活動。「深川たてもの相談所」を運営し、管理組合運営・大規模修繕工事へのアドバイスも手掛ける。



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