深川 エリア密着型の暮らし情報サイト

NEW POST
コラム

映画『正直不動産』はスクリーンの中だけ?深川の現場で見た「令和のFAX大作戦」と、売主様が知らない驚きの機会損失|問題提起編

大手仲介の物件に案内を入れる時ほど、いやな気持になることはありません。

深川で家を探すお客様に寄り添い続けてきた、ある不動産担当者の言葉です。取材中にぽろっと出てきたこの一言が、今回の記事を書くきっかけになりました。

公開された映画『正直不動産』を見て「現実の業界もこうなってほしい」とスカッとした方も多いでしょう。でも現実は、もう少しだけコミカルで、もう少しだけ切ない。

その「現実」を、今日は正直にお伝えします。

深川くらし編集部では、地域の住まい事情を伝えるため、買主様の物件探しに同行させていただくことがあります。今回はその取材中に実際に起きた出来事をもとに書いています。

令和8年・深川の現場で起きた、
「FAXと担当者不在」の48時間。

木曜日・午後——すべてはFAX1枚から始まった

江東区内のある中古マンションに「どうしても内覧したい」という買主様がいました。その物件をお預かりしていたのは、CMでおなじみの誰もが知る超大手仲介会社。同行していた地元の不動産担当者が「週末に内覧をさせてください」と電話を入れると、受話器の向こうから担当の女性スタッフのこんな返事が来ました。木曜日の午後のことです。

「では、案内依頼書にお名刺を添えて、FAXでお送りください

…FAX。

令和8年、2026年。AIがとてつもないスピードで進化し、物件をVRで内覧できる時代に。

未だFAX。

(編集部の心の声:取材メモに「FAX」と書きながら、手が止まりました)

🎬 もし映画の「正直な営業マン」がこの場にいたら

「お客さん、正直に言います。うちの会社、まだFAX使ってるんです。令和ですけど。
社内ルールが昭和のままで……ほんと、すみません」

※あくまでフィクションです。現実の担当者はこうは言いません。

郷に入れば郷に従え。丁寧な文面を添えてFAXを送ります。

木曜日・夜——書類の山から現れた、1日熟成のFAX

木曜日の夜、FAX送信完了。あとは先方からの連絡を待つだけ——

翌日、待てど暮らせど、来ません。連絡が、来ません。

しびれを切らして、夜にこちらから電話を入れました。

「昨夜、案内依頼のFAXをお送りしたんですが、届いていますでしょうか」

「あ、ちょっと待ってくださいね……(保留音♪)……あー、ありました。」

届いていました。書類の山の、たぶん中段あたりに。

(編集部の心の声:1日熟成されたFAX、よっぽどお忙しいのですね)

週末の案内日程を確認すると、こう返ってきました。

「土日はですね……私、契約が2件入ってまして、案内も多く立ち会えないんです。来週末なら空いてるんで、またご連絡いただければ」

「空室のようなので、鍵を取りにお伺いしますが。もしくは他の担当の方でも・・」

「担当者の私が立ち会うように売主様から言われているんです」

来週末。今は金曜の夜です。「来週末」まで、まだ8日あります。

買主様は「平日の夜でもいいから、今週中に見たい」とまで言ってくださっていました。その旨を改めてFAXで送りました。

2通目のFAX、送信完了。

翌朝——二段落ちの、静かな絶望

翌朝も先方からの返事はありません。また電話します。

「担当の○○は、本日お休みをいただいておりまして」

——ああ、お休み。仕方ないので明日にでも。

「明日は出社されますか?」

「あの……病欠なので、いつ出社できるか、ちょっと分からない状況で」

——では、他にご対応いただける方は。

「それは担当者じゃないと、ちょっと」

ガッチャン。

木曜から、まだ中2日も経っていませんでした。

病欠だし、担当は忙しいし、一見すると私たちには「仕方ない」ようにも見えます。
でも同行していた不動産会社のスタッフは、こともなげにこう言いました。

「こういうこと、日常茶飯事なんですよ」

なぜこうなるのか。一言で言えば、こうです。

両手主義の大手にとっては、
他社仲介は招かざる客なのです。

1社が売主・買主の両方から手数料をもらう「両手取引」は、片方だけの「片手取引」の2倍の収益になります。だから大手にとって、自社以外の業者が連れてくる買主様は、利益を半分に割る存在です。ルールの範囲内で、できれば来てほしくない。

FAXが埋もれていたのも、折り返しが来なかったのも、担当者が病欠で情報が止まったのも——それぞれは「仕方のない理由」に見えます。でも積み重なった結果は同じです。招かざる客は、帰っていく。

🎬 映画なら、こうなるはずでした

「正直に申し上げます。他社さんから問い合わせが来ても、積極的には動きません。うちで買主さんを見つけた方が、手数料が2倍になるので。売主さん、ごめんなさい」

※現実では、誰もこう言いません。だから、この記事があります。

売主様は、知りません。

この48時間に何が起きたか

「どうしても買いたい」と言ってくれた人が現れたことを

「平日の夜でもいい」と言ってくれたことを

その人が、招かざる客として静かに帰っていったことを

売主様は今ごろ、「そろそろ内覧の話が来るかな」とスマホを見ているかもしれません。CMの「全国ネットワークで、高く早く売ります」という言葉を信じながら。

もし、この間に買主様の熱が冷めたら。「やっぱり他の物件にします」となったら。その損失は、数百万円では済まないこともあります。そして売主様は、そのチャンスが存在したことすら、知る由もないのです。

映画はフィクションです。でもこの話は、令和8年の東京で、実際に起きたことです。

📖 第2話・仕組みと対策編へ続く(完結)
囲い込みの巧妙化、「手数料タダ」の罠、
そして本当に信頼できる業者の選び方

「私の物件、ちゃんと動いてる?」と不安になった方は、ぜひ次の記事もご覧ください。

この記事を書いた人
深川くらし編集部
江東区・深川エリアの暮らしと住まいの情報を発信するローカルメディア

地域に根ざした視点から、住まいに関わるリアルな情報をお届けしています。華やかな広告や数字の裏側にある「現場のリアル」を、できるだけ正直にお伝えすることが、私たちの役割だと考えています。

    お問い合わせ

    お問い合わせいただくには、お客さまのお名前、連絡先などの情報をお答えいただく必要があります。 お手数ですが、当社の「プライバシーポリシー」をお読みいただき、ご同意いただきましたうえで、お問い合わせフォームにお進み下さい。

    お電話でいただく場合はこちら
    03-5875-8997

    コメント

    この記事へのコメントはありません。

    RANKING
    DAILY
    WEEKLY
    MONTHLY
    1. 1
    2. 2
    3. 3
    1. 1
    2. 2
    3. 3
    1. 1
    2. 2
    3. 3
    RECOMMEND

    RELATED

    PAGE TOP