前回の記事「ウッドショックとは?住み替えへの影響は?詳しく解説します!①」で、ウッドショックの定義、発生した背景・経緯・影響などについて解説しました。
今回はウッドショックの今後の見通し、中古マンション+リノベーション時の注意点について考えてみたいと思います。
目次
【1】ウッドショック今後の見通し
ウッドショックによる木材価格の高騰、供給される木材の不足は、今後当面続くと予想されます。
林野庁が主催する木材需給会議(2021年3月開催)では、2021年7月〜9月期の輸入構造用集成材は前年同期比で−25%程度になるとしています。
また、2021年4月に行われた「国産材の安定供給体制の構築に向けた需給情報連絡協議会」(林野庁開催)の中で、日本木材輸入協会は「アメリカの住宅市場は低金利を背景に好況が続くとみられ、2021年中は輸入材の供給不足が続く可能性がある」としています。
【2】震源地アメリカの動向
ウッドショックが発生した要因の一つとしてアメリカの住宅需要の拡大があるというのは、前回の記事でもご紹介した通りです。
では、現在(2021年7月時点)のアメリカの状況はどのようになっているのでしょうか?
アメリカにおける木材価格は、2021年の6月にこれまで高騰していた状況から一転し、木材の先物価格は前月比40%強の値下がりとなるなど、市況の風向きに変化が見られます。
その背景には、住宅価格やリフォーム価格があまりにも高騰したことで住み替えを控える動きが出てきていることがあります。
加えて、ワクチン接種が進んだことによる経済活動の再開で、お金を旅行などに使う割合が増加したこともその一因としてあるようです。
【3】ウッドショックはいつまで続くのか?
日本国内のウッドショックによる価格の高騰は、しばらく続くというのが大方の見方と言えそうです。
ただし、アメリカの木材価格が今後安定的に推移していけば早期に沈静化する可能性もありますので、引き続き注視していく必要があります。
現状(2021年7月時点)、日本国内では輸入材を調達できないという状況は脱却しつつありますが、国内の輸入材製品価格は上昇傾向にあり、しばらくは価格高騰の余波が続くものと思われます。
【4】中古マンション+リノベーションへの影響は?
ここでは、ウッドショックによる木材価格の高騰が、住み替えを検討されている生活者の皆さんにどのような影響を与えるのかについて考えてみたいと思います。
・「建築費の値上がり」と「納期の遅延」に注意!
生活者の皆さんへの直接的な影響として考えられるのは、「建築費の値上がり」と「納期の遅延」です。
前回の記事でもお伝えしたように、ハウスメーカー各社も少しづつ値上げに踏み切ってきており、今後の木材価格の動向次第ではさらなる値上げも予想されます。
また、施工会社の木材調達の動き次第では、納期の遅延や最悪の場合中止といったことも起こり得るでしょう。
ウッドショックに十分な対策をしていない業者に発注した場合、工事価格の値上げ、納期の遅延・中止などによるトラブルが発生するかもしれませんので注意が必要です。
リノベーションの場合、新築の木造住宅などに比べると木材の使用量は限られますので、影響は比較的小さいと言えます。
実際私どもの会社でも、リノベーションにおいて工期や費用面などにおいて、さほど影響は受けておりません。
とはいえ、当初の見積額よりも費用が増加する、工期が延長・中止されるなどの可能性はありますので、リノベーションの場合でも業者の選定は慎重に行う必要があります。
【5】まとめ
ここまで、ウッドショックの今後の見通し、中古マンション+リノベーション時の注意点について解説しました。
ポイントは以下の通りです。
・日本国内のウッドショックによる価格の高騰は、しばらく続くというのが大方の見方。ただし、アメリカの動向次第では早期に沈静化に向かう可能性もある
・ウッドショックに十分な対策がされていない業者に発注した場合、工事価格の値上げ、納期の遅延・中止などによるトラブルになる可能性がある
ウッドショックについては、世界情勢によって左右されることですので、木材供給の不足と価格の高騰については静観するしかありません。
しかし、適切な業者選定や無駄に時間をかけ過ぎないなど、消費者側も対策を講じていけば、生活者に与えるウッドショックのダメージを最低限にとどめることはできると考えます。
施工業者に問い合わせを行う際には、ウッドショックの見通し、想定されるリスクとその対策などについて確認し、しっかりと説明ができるかどうかを見極めることが重要です。
そのためにも、よりアンテナを高くしていただき、不動産・住まいに関する最新かつ多様な情報に幅広く触れていただくことが重要になります。
当社では、お客さまに対して最新かつ幅広い情報をご提供し、リノベーション業者の適切な選び方だけでなく、中古マンションの選定、最適なリノベーションプランニングに至る「中古マンション+リノベーション」に関するさまざまなセミナー・相談会を随時開催しておりますので、ぜひお気軽にご活用ください!
【著者プロフィール】柴田光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio|深川くらし相談所 代表
宅地建物取引士、2級FP技能士
不動産業界歴35年。大手不動産会社在籍中に執行役員として主に売買事業を統括し不動産流通に関わる。その後複数の会社役員を経て株式会社トラストリーを立ち上げ、地元密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。
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