昨今は、働き方の多様化により個人事業主やフリーランスなど自営業として働く方が増えてきています.
始められて間もない方にとっては、事業が不安定なため住宅の購入に踏み切れなかったり、そもそも諦めている方も多いのではないでしょうか。
しかし、個人事業主やフリーランスの方々は、転勤や定年がないため住宅購入に向いていると言えるだけでなく、住宅を購入するメリットはたくさんあります。
今回は、個人事業主・フリーランスの方が住宅を購入するメリットについて詳しく解説していきます。
1. 住宅購入はキャッシュフローを最適化できる
・住宅ローン vs. 家賃の支払い
賃貸住宅に住む場合、毎月支払う家賃は戻ってきません。
しかし、住宅ローンを組んで住宅を購入する場合、毎月の支払いは住宅ローンの返済となり、その一部は元本の返済に充当されます。
つまり、住宅ローンを支払うたびに、自分の資産が増えていくことになります。また、住宅ローンは完済というゴールが決まっており、支払いに余裕があるときに繰り上げ返済をすることも可能です。
・住宅ローン vs. 事業ローンの金利
事業資金の融資を受けている方もいるかと思いますが、一般的に事業融資の金利は住宅ローンの金利よりも高くなります。
住宅ローンは不動産を担保に借り入れができるため、金利が安く抑えられるだけでなく、諸経費やリフォーム代も住宅ローンの金利で借り入れできるメリットがあります。
・家賃は経費で落とせるから賃貸の方が得?
個人事業主の方の中には、自宅兼事務所として家賃の一部を経費で落とせることから、住宅購入にそこまで積極的になれない方もいるかもしれません。
しかし、それでも減税効果を除けば、支払った家賃は「消えていくお金」です。
一方、住宅ローンで購入した場合は、住宅ローン控除などの税制優遇制度が受けられる可能性があり、所得税や住民税が軽減されることもあります。
2. デフォルトへの備えになる
団体信用生命保険
住宅ローンを借り入れると、団体信用生命保険に加入することができます。
団体信用生命保険は、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、残りの住宅ローン残高が保険金で支払われるというものです。
これにより、現在加入している生命保険を見直して、毎月の支払いを減らせる可能性もあります。
支払い不能になった場合
賃貸住宅の場合、家賃を滞納すると、督促、明け渡し請求、強制退去という流れになります。
一方、住宅ローンで購入した住宅の場合、支払いが滞納しても、すぐに強制退去になるわけではありません。
場合によっては、金融機関と交渉して金利の減免や利息だけの支払いなど、聴視してもらえるケースも。
また、任意売却やリースバックなど、いくつかの選択肢があります。
3. 不動産という資産を手にすることができる
与信枠が広がる
不動産を所有することで、事業資金調達時の与信枠が広がる可能性があります。
所有する不動産に2番抵当を設定することで、事業資金の借り入れがスムーズになる場合もあります。
自分年金として
個人事業主やフリーランスの方は、厚生年金ではなく国民年金のみのため、老後の年金額が会社員よりも少ないケースが一般的です。そのため、年金だけで家賃を払い続けるのは経済的に厳しくなりがちです。
住宅ローンが完済すれば、住居費の負担が減り、老後の生活も安定しやすくなります。また、物件を賃貸に出して家賃収入を得ることで、自分年金として活用することも可能です。
選択肢がひろがる
所有している不動産は、賃貸に出したり、売却したり、リースバックやリバースモーゲージを利用したりすることができます。
- リースバック:自宅を売却し、その後も賃貸として住み続けることができる制度です。資金調達と住み続けることの両立ができるというメリットがありますが、売却価格が相場より低くなる場合がある、家賃を払い続ける必要があるなどのデメリットもあります。
- リバースモーゲージ:自宅を担保にお金を借り、自分が亡くなった後に自宅を売却して借入金を返済する制度です。老後の生活資金を確保できるというメリットがありますが、金利が高い、担保となる住宅の価値が下落するリスクがあるなどのデメリットもあります。
また、相続が発生した際には、不動産で相続することで相続税の軽減につながる可能性があります。
このように、賃貸暮らしでは得られない資産価値の柔軟な活用が可能になります。
自分好みにカスタマイズできる
フリーランスや個人事業主の方は自宅を仕事場にするケースも多く、環境づくりが重要です。
持ち家であれば、
- ワークスペースの確保
- 防音設備の導入
- 好みのデザインへのリノベーション
など、自由にカスタマイズでき、働きやすい環境を整えられます。
4. 住宅ローンの審査について
個人事業主やフリーランスの方が住宅ローン審査を受ける場合、会社員に比べて審査が厳しくなる傾向があります。これは、収入が不安定とみなされるためです。
しかし、以下の点に注意することで、審査に通る可能性を高めることができます。
-
確定申告書をしっかり作成する:確定申告書は、収入を証明する重要な書類です。
税理士に相談するなどして、正確に作成しましょう。
-
収入の安定性をアピールする:過去数年分の確定申告書や、今後の事業計画書などを提出し、収入が安定していることをアピールしましょう。
-
自己資金を増やす:自己資金が多いほど、金融機関からの信用を得やすくなります。
頭金を多く用意しましょう。
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借入額を減らす:借入額が少ないほど、返済負担が軽減されます。
無理のない返済計画を立てましょう。
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5. 金融機関の選び方について
住宅ローンは、銀行だけでなく、信用金庫や労働金庫など、様々な金融機関で取り扱っています。
それぞれの金融機関の特徴を比較し、自分に合った金融機関を選ぶことが重要です。
一般的に、個人事業主やフリーランスの方は,大手銀行やネット銀行よりも地方銀行や信用金庫の方が審査に通りやすい傾向があります。
日頃からお付き合いのある金融機関があれば、担当の方に相談してみましょう。
6. 専門家への相談について
住宅購入は、人生における大きな決断の一つです。そのため、専門家への相談もおすすめします。
- ファイナンシャルプランナー:住宅ローンや資金計画について相談できます。
- 税理士:税金や確定申告について相談できます。
- 不動産会社:地域の相場や購入の仕方について相談できます。
これらの専門家に相談することで、より安心して住宅購入を進めることができます
7. 最後に
住宅購入には様々なメリットがありますが、安易に考えるべきものではありません。
特に個人事業主やフリーランスの方々は、住宅ローン借入時の審査のハードルが高く、優遇金利も受けにくいのが現状です。
しかし、超低金利の現在、自営業の方でも借りやすいフラット35などもありますし、住宅取得に対する税制優遇などの制度もあります。ただし、低金利や税制優遇は、将来にわたって保証されるものではありません。
住宅購入をお考えであれば、早めの準備が大切です。
現在、会社勤めで将来的にフリーランスで働こうと考えている方は、今のうちに一度、購入を検討されてみてください。
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(2025.2.21 加筆修正)
【著者】柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio 代表|深川くらし相談所 所長
宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴38年以上。一部上場不動産会社在籍中に役員として売買事業を統括し、主に法人営業や不動産流通に関わる。50代で今の会社を立ち上げ、地域密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。自らも築20年の自宅マンションをリノベーションした経験を持つ。
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