フリーランスの方が住宅ローンを組んで住まい探しされる際のポイントについて考える「個人事業主・フリーランスの住宅購入プロセス」の第三弾は「住宅ローン審査」について取り上げます。
個人事業主・フリーランスの住宅購入プロセス①「購入時の課題」
個人事業主・フリーランスの住宅購入プロセス②「物件選びのポイント」
個人事業主やフリーランスは住宅ローン審査に通ることができないと考えている方も多いと思います。
サラリーマンなどと比較すると審査が通りにくいのは確かにその通りですが、住宅ローン審査の要件をしっかりと理解し、適切に対応することでその可能性を引き上げることは可能です。
この記事では、なぜフリーランサーが住宅ローンを組みにくいのかについて解説し、それらを踏まえた上で審査時のポイントと対策について考えてみたいと思います。
目次
【1】フリーランサーが住宅ローンを組みにくい理由
フリーランサーが住宅ローンを申し込む場合も、年齢(申込みが可能な年齢・完済時の年齢)などの条件はサラリーマンと変わりません。
その一方で、収入面などの条件は異なるケースが大半で、特にフリーランスの場合はサラリーマンよりも高い条件が課されることが基本です。
例えば、サラリーマンであれば「前年度の年収が税込みで300万円以上」などが一般的な条件となりますが、フリーランスの場合は「経費控除後の所得が300万円以上」などとなります。
所得は年収から経費を引いた額となるため、フリーランスのほうがサラリーマンよりも高い年収であることが求められるのです。
加えて、フリーランサーは会社員のように定期的に安定した収入が無い点も住宅ローンを組むことを難しくさせる要因の一つです。
例えば、業務委託契約で大きなプロジェクトに参画した場合、報酬の支払いは数ヶ月先というケースがあるかと思います。
その際、運転資金を賄うために複数の金融機関から借り入れる、もしくは口座の残高不足によるクレジットカードの支払い滞納などが続いたといった場合に、住宅ローンの審査で引っかかってしまうといったケースがしばしば見受けられます。
金融機関は、貸付を返済できるかどうかを見ていますので、審査を通過するポイントは収入がどのくらいあるか、それがどの程度安定しているかが重要になるため、総じてフリーランスは住宅ローンが組みにくいということになるわけです。
【2】住宅ローン審査時のチェックポイント
金融機関が返済能力を測る上で重視しているのは、上述した年収に加えて展開している事業の売上額などにも着目しています。
収入で重視されるのは金額と年度ごとの安定性で、それらが安定しているかどうかを確認するために確定申告書などの書類を数年分用意する必要があります。
その際、場合によっては税務署の受付印が必要なケースなどもありますので、事前に書類を準備・確認しておくほか、顧問税理士がいる場合はアドバイスを受けることをおすすめします。
安定性という意味では、開業届を出してからの年数(事業継続年数)も重視されており、3年以上が一つの目安とされています。
他にも自己資金の有無や金額、個人信用情報(クレジットカードの過去の支払い状況やローンの利用残高など)、連帯保証人を用意できるかなども審査時のチェックポイントです。
ただしこれらは、フリーランスでも会社員でも大きく異なるわけではありませんので、やはりフリーランサーとして留意すべきは収入額とその安定性をいかにして証明するかにあると言えるでしょう。
【3】住宅ローンを申し込む際のポイント
・借入金額
借入金額は、返済負担率を考慮しながら適切な金額に設定することが重要です。
返済負担率とは、支払いできる住宅ローンの金額を算出するもので年収に占める年間返済額の割合のことを指します。
例えば、後で触れるフラット35の場合は返済負担率を35%以下(年収400万円以上の場合)としています(返済負担率は金融機関によって設定が異なります)。
フリーランサーに限ったことではないですが、借入額が大きければ大きいほど審査に通る確率は下がります。
その際、物件価格や頭金とのバランスが重要になりますので、ファイナンシャルプランナーなどに相談し、適切な借入金額(返済負担額)を設定するようにしましょう。
・ローンの契約先
住宅ローンは多くの金融機関が取り扱っていますが、借入金額が大きいだけに金融機関ごとの小さな金利の差異が総支払額を大きく上下させますので、慎重に選定する必要があります。
有名なところでは、住宅金融支援機構のフラット35などはご存知の方も多いことと思いますが、実際にフリーランサーの利用も多いことで知られています。
その理由として、審査時に提示する所得が1期分のみで、先程述べた開業から「3年」に達していなくても審査を受けることができる点にあります。
また、他の金融機関では保証料を設定しているところも多いですが、フラット35は保証料が不要なこともフリーランサーにとってメリットとなるでしょう。
その一方で、購入する住宅が住宅金支援機構が定める基準を満たしていることなどの一定の条件をクリアする必要がありますので、それらの諸条件は事前に確認しておくようにしましょう。
【4】まとめ
ここまで、フリーランサーが住宅ローンを組みにくい理由を踏まえた住宅ローン審査時のポイントと対策について考えてきました。
重要なのは、何を審査されるのかを把握し、審査にあたっての課題点をしっかりと理解した上で最善の準備をしておくことにあります。
当社では、パートナーのファイナンシャルプランナーと連携し、お客様の収入に合った無理のない返済をプランニングすることから始め、物件価格や頭金との最適なバランスの良い住まいをご提案いたします。
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【著者プロフィール】柴田光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio|深川くらし相談所 代表
宅地建物取引士、2級FP技能士
不動産業界歴35年。大手不動産会社在籍中に執行役員として主に売買事業を統括し不動産流通に関わる。その後複数の会社役員を経て株式会社トラストリーを立ち上げ、地元密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。