「リースバック」という言葉をご存知でしょうか?
これは、自宅を売却して現金を得ながらも、そのまま住み続けられるという画期的なサービスです。
近年、様々なライフステージで注目を集めており、資金調達や住み替えの選択肢として幅広く活用されています。
リースバックは、簡単に言うと以下の3ステップで進みます。
- 自宅を売却: 不動産会社に自宅を売却します。
- 賃貸借契約を締結: 売却した不動産会社と賃貸借契約を結び、そのまま住み続けます。
- 賃料を支払う: 毎月、不動産会社に賃料を支払います。
つまり、所有権は不動産会社に移りますが、あなたは今まで通り住み慣れた家に住み続けることができるのです。
1. リースバックのメリット
メリット1. 住み慣れた家に住み続けることができます。
引っ越しや環境の変化を避けたい方にとって大きなメリットです。
メリット2. 業者が買い取りますので即現金化も可能です。
資金の使途は問いませんので、原則自由です。
しかも直接買い取るので、ご近所の方に知られずに売却することが可能です。
メリット3. 固定資産税などが必要なくなります。
所有ではなくなりますので、今まで支払い続けてきた住宅ローンや固定資産税なども一切必要ありません。
メリット4. 引っ越し代や無駄な諸費用などは必要ありません。
新たな転居先を探す心配や引っ越し費用などの無駄な諸費用を抑えられます。
メリット5. 将来的に買い戻すことも可能なケースも。
売却したご自宅を、資金が出来た際に買い戻すことも可能です。
※買い戻しオプションについては、取り扱いをしていない会社もありますのでご確認ください。
2. リースバックのデメリット
デメリット1. 毎月の賃料が発生します。
所有ではなくなりますので、新たな所有者と賃貸借契約を締結していただきます。
毎月の賃料につきましては、売却代金によっても変わってきます。
デメリット2. 住宅ローンの残債に注意が必要。
リースバックは買取の為、通常の売却相場よりも安く売却せざるを得ないのが一般的です。
住宅ローンの残債が多く残っている場合には売却自体が出来ないケースもあります。
デメリット3. 賃貸契約期間は永遠ではありません。
リースバックを行う会社にもよりますが、賃貸借契約期間に期限を設けるケースが一般的です。
契約期間が満了すると、更新できない、または条件が変更される可能性があります。
デメリット4. 売却代金は割安。賃料は割高。
リースバックの場合は、通常の仲介で売却するよりも買取価格が割安になってしまいます。
また、買い戻す際には売却した価格よりも高くなるケースも考えられます。
これはリースバックを取り扱う業者のリスクと利益を考えると、そうならざるを得ないようです。
デメリット5. 買取業者の選択肢が少ない。
リースバックを取り扱っている会社は少しづつ増えていますが、まだまだ積極的に行っている業者は少ないです。
比較検討できるほどの選択肢は多くありません。
3. リースバックが選ばれる理由
事例1. 事業資金を調達したい。
事業が行き詰ってしまい、早期に現金化が必要な場合に利用されるケースです。
自宅に限らず、所有する倉庫や工場、事業所などの事業資産のリースバックも取り扱っている会社もあります。
売却の後でもそのまま利用できますが、どれも賃貸借契約を締結しますので賃料が発生します。
事例2. 老後の資金に利用したい。
年金生活だけでは不安で、老後に余裕のある暮らしをしたい方や、まとまった資金を手にすることで安心して暮らしたい方など、老後の資金用途は様々です。
事例3. 相続資産整理の為
相続時の争いごとを起こさせないために、前もって自宅を売却してしまうケースです。
同居していた名義人が亡くなり、同居人はそのまま住み続けたい場合でも、兄弟がいたりすると遺産分割協議でもめるケースも考えられます。そんな時にリースバックにより売却代金を分配して争いごとを回避して住み続けることが可能となります。
事例4. ローン返済の為
住宅ローン以外にもカードローンや事業での借り入れの返済が苦しくなり、早期返済のためにリースバックを利用するケースです。
事例5. 急な出費への対応
その他にも、病気やケガで休業しなくてはならず、収入が激減するのにも関わらず高額な治療費を捻出しなくてはいけなくなったケースや、離婚による慰謝料を捻出したいが、お子様の学校の関係でそのまま住み続けるためにリースバックを利用するケース。
などなど。
さまざまな用途に利用することが可能なため、昨今利用者はもちろんのこと参入するリースバック業者も増えてきています。
4. リースバックを検討する際のポイント
- 信頼できるリースバック会社を選ぶ
リースバックを取り扱う会社はまだまだ少ないのが現状ですが、信頼できる会社を選ぶことが重要です。複数の会社から見積もりを取り、比較検討しましょう。 - 契約内容をしっかり確認する
契約期間、賃料、買い戻し条件など、契約内容をしっかりと事前に確認しましょう。 - 資金計画を立てる
リースバック後の生活費や賃料などを考慮し、老後の資金計画を立てましょう。 - 専門家に相談する
不安な点や疑問点があれば、ファイナンシャルプランナーや不動産コンサルタントなどの専門家に相談しましょう。
5. まとめ
リースバックを利用するケースは様々ですが、最大のメリットは何といっても売却した後でも「そのまま住み続けられる」こと。逆を言えば、転居しても問題ない方にとっては、あまりメリットはありません。
住み慣れた家に住み続けながら、まとまった資金を得ることができる便利なサービスです。 しかし、メリットだけでなくデメリットも存在するため、リースバックを検討する際は、ご自身の状況をよく理解し、慎重に判断することが大切です。
弊社では、リースバックに関するご相談を承っております。 お気軽にお問い合わせください。
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(2025.2.21 加筆修正)
【著者】柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio 代表|深川くらし相談所 所長
宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士
不動産業界歴38年以上。一部上場不動産会社在籍中に執行役員として売買事業を統括し、主に不動産流通に関わる。50代で今の会社を立ち上げ、地域密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。自らも築20年の自宅マンションをリノベーションした経験を持つ。
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