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コラム

【Vol.3】広い空、美味しい空気、人の温かさ。五感でふれたもうひとつの深川訪問記

北海道・深川市を実際に訪れて感じた、人と風景と暮らしの豊かさ

「深川」という同じ地名のご縁からはじまった、東京・深川と北海道・深川市とのつながり。

前回までのコラムでは、同じ名前を持つふたつの“深川”が出会い、 その背景や魅力、そしてこれからの関係についてご紹介してきました。

👉 Vol.1「ふたつの深川、ひとつの想い」
👉 Vol.2「まだ知らない“深川”に、会いに行く」

そして迎えた、2025年7月22日。私たちは実際に北海道・深川市を訪れました。今回のVol.3では、その一日半を、感じたままに綴ってみたいと思います。


「ようこそ深川へ」から始まった一日

この日の朝に隣の旭川市から車で向かい、最初に訪れたのは深川市役所。市職員の野中さん、番水さんをはじめ、 多くの方が笑顔で迎えてくださいました。

市庁舎には深川産のシラカバの木が使用されていて、温かみのある空間に仕上がっていました。

東京・深川のオーナー仲間家族もそれぞれの地から合流し、代表者数人で市長室へ。

市長室では田中市長と40分ほど歓談。

少子高齢化や人口減少への課題、移住定住促進に向けての取り組みから地元の主な産業のお話など、 さまざまなテーマについても柔らかな口調で丁寧にお話しいただきました。

タイミングよく「今月末には江東区長にお会いする予定があり」とのことでしたので、「合間にお時間があれば深川案内をしますのでぜひ」 と再会を約束させていただきました。

遠く離れた地域同士のつながりが、少しずつ“本物”になっていくことを実感するひとときでした。

その間、子どもたちは車で妹背牛町の遊水公園「うらら」で水遊び。大きなウォータースライダーのある公園に歓声が響き、 子供たちもすっかり“北海道の夏”を満喫しています。


人とまち、そして味わいに出会うまちあるき

市役所を後にして車で最初に訪れたのは、洋菓子工房北いち輪さん。 バームクーヘンやバターもちが名物のお店です。

店主の佐藤さんは、もともと大阪でSEとして働いていたそう。 奥様の祖母が住んでいた深川市へ13年前に移住され、現在はご夫婦で洋菓子店を営んでいます。

続いて立ち寄ったのは、近くのパン屋「ノンノ」さん。やさしい焼きたての香りが立ち込めるお店で、 近くでバーも経営しているとのことで、みんなで店内を見学させていただきました。店内は広くムーディーな雰囲気。今回同行した森下のバーオーナーの小林さんともバー談議で盛り上がります。

昼食は、レストラン「空音(そらね)」さんにて。地元の食材をふんだんに使った美味しい料理をいただきながら、しばし歓談。

ここで合流したのが、地域おこし協力隊として活躍する石田さん。 実は昨年10月に、浅草で開催された北海道移住セミナーの折、 東京の「リフォーム不動産深川studio」にも立ち寄ってくださっていたというご縁がありました。


農と食の“真ん中”で感じたこと

午後は、たかしま農園の代表・上島さんを訪ねました。 ご夫婦ともに理学療法士の資格を持ちながら、“美味しいお米を作る”ことに人生をかけて挑戦中。

深川市は北海道の中でも有数のコメどころ。無農薬・無化学肥料という難しい道をあえて選び、 三代目としてブランディングにも取り組まれています。柔らかな口調の中に、農業への強い誇りと情熱を感じました。 最後に田んぼのあぜ道で集合写真をパチリ。いい写真です笑

次に向かったのは、空知平野を一望できるイルムの丘にあるギリシャヨーグルト専門店「F(エフ)」さん。駐車場に入ると、 本田社長が笑顔で出迎えてくださりました。

本田社長は、昭和24年創業の北海道空知地方に複数店舗のお菓子店を構える「お菓子のほんだ」のオーナー。地元のリンゴを使ったお菓子が人気で、自社のアップルパイ作りに欠かせないヨーグルトを追求し、誕生したお店だそうです。F(エフ)に秘められた想いは、ぜひホームページをチェックしてみてください。

店内には子どもが遊べるスペースもあり、飲むヨーグルトが500円で飲み放題という太っ腹なサービスも。 私もお土産用にヨーグルトの発送手続きをしながら、景色の広さに心まで開放されていくようでした。

その後は、藤谷果樹園さんでさくらんぼ狩り。 代表の田川さんに案内され、一つの枝にたくさん実った真っ赤なもぎたての果実をほおばります。

実は、私の父の実家はさくらんぼで有名な山形県東根市の農家。子供のころから、お中元の時期と言えば「さくらんぼ」。お歳暮の時期は「りんご」が毎年贈られてきます。しかし今年は猛暑の影響でさくらんぼは不作とのこと。 一方で深川は豊作。温暖化の影響で、同じ果物でも地域ごとの気候変動の影響が大きいことを、改めて実感しました。

フルーツ王国としても知られる深川市は、多くのフルーツ農園があって、まちのシンボルであるリンゴだけでなく、さくらんぼ、ブルーベリー、プルーン、洋ナシやブドウなど種類も豊富に栽培されています。

そして最後の訪問先は、深川産のりんごを使ったお酒、「ふかがわシードル」

の製造工場を見学。 私たちが定期的に清澄白河で開催する「深川くらしのBAR」でも人気のお酒ですが、 こうして初めて製造過程を見ることで、より愛着が深まります。こちらの工場では、地域おこし協力隊として深川市へ移住してきたスタッフの方も働いていらっしゃいました。

さまざまなバリエーションのシードルがあります🍎

シードルの製造工場見学


食卓を囲むと、まちはもっと近くなる

夕方、市内にある道の駅「ライスランドふかがわ」で地元産の食材を買い出し、 宿泊先の「アグリ工房まあぶ」へ。こちらは、コテージやレストラン、温泉大浴場などが併設された施設で、地元の方がサウナもある本格的な入浴施設に来場していました。

アグリ工房まあぶBBQ場からの風景

陽も落ち始めて、こちらでのBBQ会場がこの日のクライマックス。すでに若い職員の方たちが準備を進めていてくれていて、お楽しみのW深川同士でのBBQ懇親会が始まりました。

地元のふかがわポークウィンナー、ジンギスカン、美味しいお米のおにぎり…… 深川市の職員の方々の手際が良く、炭火の前で汗をかきながら準備してくれたごちそうに、心から感謝です。

BBQ会場には、本日お邪魔した先のお菓子店店主の佐藤さん、たかしま農園の上島さん、 そして、文中の最後にご案内する、深川市初の音楽フェス「農道音楽祭」の運営メンバーでもある、せがわ農園の瀬川さんものちに合流し、深川同士の交流はさらに深まっていきます。

BBQ施設での懇親会

おなかを満たした子どもたちは水辺でアマガエルを追いかけ、私たちはビール片手に語り合う。

深川という名前だけでつながった、東京と北海道。 でも、地元を愛し、次の世代にも良いまちを残したいという想いはまったく同じでした。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、中締めの時間。 ここは東京深川らしく、江東区平野一丁目町会の総代でもある「グラスラボ」椎名代表による“深川一本締め”。 北海道深川市の皆さんにもレクチャーしながら、掛け声とともにビシッと締めていただきました。

その頃、江東区高橋のバー「NICO」のオーナー・小林さんが、持参したスパイスと深川市の方が用意してくれたエゾシカ入りのスパイスカレーを仕込んでおり、 二次会ではその絶品カレーを深川市の皆さんに振る舞い、語らいの時間が続きます。

初対面の方も多かったはずなのに、なぜか昔からの友人のように自然と会話が弾む。そんな心地よい距離感が、そこにはありました。


二日目の朝、ふたたび深川の風景へ

翌朝は、快晴の中でのスタート。 年配組の私たちは早起きし、外でパソコン仕事をしたり、散歩を楽しんだりと、それぞれに気持ちのいい時間を過ごしました。

仕事等で朝早めに札幌や阿寒湖へ向かうメンバーもいましたが、残った私たちは、 市職員・野中さんの奥さまが焼いてくれた美味しいパンと、前日に道の駅で買った地元野菜、そして、ギリシャヨーグルトFで買った飲むヨーグルトで、贅沢な朝食を楽しみました。

その後、宿泊地近くにあって、市内を一望できる「戸外炉(トトロ)峠」へ。 ここには映画「となりのトトロ」にちなんで、“ネコバス”も設置されていて、訪れる人たちに人気のフォトスポットになっています。

この日は天気にも恵まれて、緑色が広がる豆畑や黄金色に輝く小麦畑が空の青さとも相まって綺麗に輝いてました。

最後に、深川市議の宮澤さんと、深川物産振興会の渡邊常務を訪ね、 これまでの深川同士の交流の経緯や、今後の可能性について貴重なお話を伺いました。

お二人は定期的に江東区にも来られているようで、宮澤市議は昨年秋の江東区民まつりの際に、私が深川市のブースに訪問した際に、少し言葉を交わさせていただきました。

今までも毎年「江東区民まつり」の物産展に参加されたり、商店街の重鎮と交流があったりされていたようですが、なかなかその先に繋がっていかないようでした。今回の訪問で、深川同士の交流が一気に深まるきっかけになるように私たちも動いていければと思っています。

宮澤市議(中央)と深川物産館の渡邊常務(左隣)とみんなで記念撮影

楽しかった深川訪問の全日程が終了し、JR深川駅前で、お世話になった野中さん、石田さんと再会を誓ってお別れし、東京深川チームはそれぞれの目的地へ向かいました。


あらためて思う、「豊かさ」のかたち

深川市は「何にもないところですよ笑」と、訪問前に地元の皆さんから何度かそう言われていました。

確かに、大きな商業施設や有名チェーン店など、東京には当たり前にあるものは、ここにはありません。

でもその代わりに、恵まれた自然、心のこもった食べ物、広い空、美味しい空気、そして人の温かさ。 ここには“東京にないもの”が、たくさんありました。

みなさんその土地で豊かに暮らし、まちを大切にし、未来を考えている。

今回の訪問で、その素晴らしさを五感で感じることが出来ました。

「深川くらし」というメディアを通して、日々人々の暮らしに携わっている私たちにとっても、 たくさんの気づきと刺激に満ちた時間となりました。

今でもその余韻にひたっています。

若い世代が、まちの課題を自分ごととして捉え、地元を盛り上げようと行動におこして挑戦を続けている姿に、心から感銘を受けました。 その熱量は、人と人のつながりを動かし、まちの空気を変えていく。 そんな希望を感じさせてくれた、忘れられない時間でした。

このまちの未来は、きっと明るい。そう確信しています。


🔗今回の訪問先リンク一覧


🎵未来へ向けた深川市、若い世代の新たな挑戦 ──「農道音楽祭」

そして最後に、今回登場した方々や多くの若い世代が中心となって、いま深川市では新たな挑戦が進んでいます。

地元の人々が“ジブンゴト”として立ち上がり、まちを全国に発信すべく開催されるのが、深川市初の大型音楽フェス-nouon(のうおん)-です!
食と音楽が融合する野外フェスで、豪華アーティストによる音楽と深川産の食材を使ったグルメやマルシェから子供向けのアクティビティまで。
「現代社会を生きるすべてのみなさんと、ひたむきに想いをつむぐ農のまち深川から、大地へ感謝する、実りの一大秋祭り」です。

農道音楽祭 -nouon- 公式サイト

2025年10月4日(土)、北海道深川市 拓殖大学北海道短期大学 特設会場にて、本気の“まちおこし”が鳴り響きます。

深川市のことを五感で知った今だからこそ、応援したくなる熱い想いと挑戦。

この夏の出会いが、そんな未来への一歩と重なった気がします。

次回、Vol.4へとつづきます。

✍ このコラムを書いた人

柴田 光治
株式会社トラストリー 代表/「リフォーム不動産深川studio」運営、「深川くらし」編集統括。
東京・深川を拠点に、中古マンションの仲介とリノベーションを通じて“豊かな暮らし”を提案している。
昨年から北海道・深川市とのご縁が始まり、地元を愛する人との交流をライフワークのひとつとして取り組み中。

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