東京メトロ東西線・都営大江戸線が交わる門前仲町駅。富岡八幡宮と深川不動堂の門前町として400年の歴史を持ち、下町情緒あふれる商店街と新しいカフェ文化が共存するこの街が、今、大きな転換期を迎えています。
2025年から2034年にかけて、門前仲町・越中島エリアでは3つの大規模開発プロジェクトが進行中。合計1,000戸を超えるマンション、商業施設、そして新しいコミュニティ空間が誕生します。
この記事では、各プロジェクトの今現在の詳細情報と、エリアの将来性について詳しく解説します。
なぜ今、門前仲町・越中島が熱いのか
都心至近の希少な立地
門前仲町・越中島エリアの最大の魅力は、都心へのアクセスの良さです。
東京メトロ東西線で:
- 日本橋駅まで約4分
- 大手町駅まで約6分
- 飯田橋駅まで約13分
都営大江戸線で:
- 汐留駅まで約9分
- 六本木駅まで約19分
JR京葉線(越中島駅)で:
- 東京駅まで約4分
- 舞浜駅(ディズニーリゾート)まで約20分
東京駅からは直線距離でわずか2.1km。永代橋を渡れば、すぐに中央区日本橋・八重洲エリアです。東京駅周辺では「東京ミッドタウン八重洲」(2023年竣工)、「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」(2026年竣工予定)、日本一の高さとなる「TOKYO TORCH(Torch Tower)」(2028年竣工予定)など、大規模再開発が次々と完成・進行中で、門前仲町は、その恩恵を最も間近で受けられる「都心最前列」の居住エリアといえます
東京都・江東区が後押しする開発エリア
門前仲町・越中島エリアは、行政からも開発が推進されるエリアとして位置づけられています。
- 東京都「都市再開発の方針」:誘導地区に指定(2021年3月)
- 東京都「都市開発諸制度活用方針」:活力とにぎわいの拠点地区に指定
- 江東区「都市計画マスタープラン2022」:門前仲町・越中島都市核として、商業・業務・交流機能の集積を誘導
プロジェクト1:野村不動産「(仮称)門前仲町開発計画」
最も早く動き出す大規模マンション開発
野村不動産は東京都江東区の東京医科歯科大学職員宿舎跡地に、総戸数667戸の共同住宅などを新築します。2025年3月に着工し、2028年3月の完成を目指しています。

建設中の現場(2025年11月撮影)
プロジェクト概要
所在地: 江東区越中島1丁目3番31、6番2(東京医科歯科大学職員宿舎跡地)
規模:
- 地上19階、高さ約60m
- 総戸数:共同住宅667戸+サービス付き高齢者向け住宅113戸
- 敷地面積:約17,967㎡
- 延床面積:約71,392㎡
- 商業施設を低層部に併設
アクセス:
- 越中島駅(JR京葉線):徒歩3分
- 門前仲町駅(東京メトロ東西線・都営大江戸線):徒歩7分
スケジュール:
- 解体工事:2024年4月~2025年3月(完了済み)
- 着工:2025年3月上旬
- 竣工:2028年3月下旬予定
設計・施工: 前田建設工業

プロジェクトの特徴
1. 晴海運河に面した水辺の立地
西側は晴海運河に面した立地で、部屋によっては豊洲、晴海、月島駅周辺の湾岸エリアの景観が広がります。
2. 「いる(住む・来る)だけで健康になる街づくり」
事業コンセプトは「TOTAL Healthcare for All Generations」。東京医科歯科大学との産学連携により、全世代の健康維持・増進に取り組む先進的なプロジェクトです。
公式情報:
プロジェクト2:門前仲町駅前再開発計画
駅直結タワーマンション構想が本格始動
門前仲町駅の目の前で、駅直結型の再開発計画が進行中です。三菱地所レジデンスが参画し、地権者の84.6%が加入(2025年7月時点)する市街地再開発準備組合により、地域の期待を集めるプロジェクトです。

門前仲町駅前交差点
プロジェクト概要
対象エリア: 門前仲町二丁目、約0.7ヘクタール
事業主体:
- 門前仲町駅前地区市街地再開発準備組合
- 三菱地所レジデンス参画
想定施設:
- 駅直結のタワーマンション
- 商業施設
- 業務施設(オフィス)
- 駅前広場(交流拠点・防災拠点)
- 歩行者専用貫通通路
スケジュール:
- 2015年~:地権者による勉強会、協議会活動
- 2019年5月:市街地再開発準備組合設立
- 2025年7月:事業エリア別まちづくり方針を提案
- 2025年内:江東区が「まちづくり方針(素案)」公表
- 2026年3月:正式な方針策定目標
- その後:具体的な設計・事業計画策定へ
プロジェクトの4つの整備方針
整備方針①:駅前拠点としての機能の拡充
- 地域の核となる交流機能
- 商業・業務機能の集積
- 多様な世帯が住み続けられる質の高い住宅
整備方針②:誰もが快適な歩行者ネットワークの形成
- 交流拠点となる駅前広場の整備
- 地下鉄出入口のバリアフリー化
- 歩行者専用貫通通路で回遊性向上
- 周辺道路の拡幅
整備方針③:防災性の強化
- 防災拠点となる駅前広場
- 水害時の垂直避難場所(店舗屋上テラス等)
- 地域の防災備蓄倉庫
- 避難者・帰宅困難者の受け入れ施設
整備方針④:持続可能なまちづくり
- エリアマネジメント組織の運営
- 広場を活用した新規イベント開催
- 深川八幡祭りなど伝統イベントとの連携

イメージパース(門前仲町駅前地区市街地再開発準備組合の資料より)
プロジェクトの特徴
1. 「門前仲町らしさ」を残す開発 この再開発の大きな特徴は、下町の風情を残すという方針です。低層部に昔ながらの商店や路地空間の雰囲気を取り入れ、富岡八幡宮や深川不動堂への参道の景観を大切にすることが明記されています。
2. 地下鉄乗換の利便性向上(バリアフリー化) 現在の門前仲町駅は、東西線と大江戸線の乗り換えに地上を経由する必要があります。この再開発により、B2階で地下鉄駅をつなぐバリアフリールートを整備。駅員の補助なしで車椅子でも乗り換えが可能になります。
3. 地域の合意形成が進む 2015年から10年をかけて地権者との勉強会、協議会活動を重ね、地権者の84.6%が準備組合に加入。地域の8団体からも要望書が提出されるなど、住民主導の開発として注目されています。
公式情報:
プロジェクト3:ヤマタネ「越中島開発グランドビジョン」
門前仲町エリア最大の超大規模複合開発
2025年5月に公表された、最も規模の大きい開発プロジェクトです。倉庫業準大手のヤマタネは、東京都江東区に所有する約3万㎡(約9,000坪)の土地の再開発に向けた「越中島開発グランドビジョン」を明らかにしました。

大横川沿いの開発予定地
プロジェクト概要
所在地: 江東区越中島1-1-1(ヤマタネ本社所在地)
規模:
- 敷地面積:約3万㎡(約9,000坪)
- 容積率:500%超を目指す(現状300%から大幅緩和)
想定施設:
- 商業施設
- 複合住宅
- ホテル
- 公園・緑地
- 観光拠点
- オフィス
アクセス:
- 越中島駅(JR京葉線):徒歩8分
- 門前仲町駅(東京メトロ東西線・都営大江戸線):徒歩15分
スケジュール:
- 2026年3月:開発パートナー事業者選定
- 2026-2027年度:基本計画策定
- 2028-2029年度:基本設計
- 2029-2030年度:実施設計
- 2031年度:許認可取得、解体工事開始
- 2031年度~:新築工事着工
- 2034年度以降:一部供用開始予定
プロジェクトの特徴
1. 「まち、人、食文化と農業」の3つのゾーニング 都心至近の希少な大規模土地で、水辺に囲まれた良好な景観を活かした複合開発です。単なる住宅開発ではなく、商業・観光・居住が融合した新しい街づくりを目指します。
2. 歴史的背景 この土地は江戸時代初期の1650年代に埋め立てられ、明治期以降は陸軍練兵場として利用されてきました。1956年にヤマタネが取得してから約70年、ついに大規模開発が動き出します。

公式情報:
3つの開発がもたらす変化
資産価値への影響
門前仲町駅周辺の地価は、既に顕著な上昇傾向を示しており、これは近年の不動産市場において特に注目すべき動向となっています。
このエリアの地価が高い水準で推移している背景には、交通の利便性の高さ(東京メトロ東西線と都営大江戸線の利用可)や、都心主要部へのアクセス性の良さ、そして良好な住環境が複合的に作用しています。具体的には、2025年の公示地価や基準地価の変動率を見ても、江東区内でも特に勢いのある地域の一つです。
📈 門前仲町駅周辺の地価上昇率(直近のデータ)
全体として、門前仲町駅周辺の地価は高い水準で上昇傾向にあります。特に基準地価の変動率は10%を超えており、江東区内でも上位に入る上昇率です。
| 地価の種類 | 基準年 | 変動率(前年比) |
| 公示地価(平均) | 2025年 | +10.76% |
| 基準地価(平均) | 2025年 | +13.99% |
| 住宅地地価(平均) | 2025年 | +8.7% |
※国土交通省発表の公示地価および基準地価のデータより
🏢 門前仲町駅周辺の中古マンション価格上昇率
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直近3年間の上昇率:
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門前仲町駅周辺の標準的な物件価格は、直近3年間で約1割程度の上昇が見られます。
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過去10年間の上昇率:
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価格は過去10年で2倍近くになる物件もあり、高い資産性を示していると評価されています。
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長期的な動向:
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エリアの立地の良さから、築年数が経過しても一定の資産価値を維持する傾向が強いとされています。
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【参考:江東区全体】
江東区全体の中古マンション平均売買㎡単価は、直近9年間で68.2%の上昇を記録しており、東京23区中でも高い上昇率です。門前仲町駅周辺もこの傾向に沿っていると言えます。
大規模開発により、以下のような効果が期待できます:
- インフラの充実による生活利便性の向上
- 新しい住民の流入による地域活性化
- 「注目の開発エリア」としてのブランド価値向上
- 歩行者空間、公園、景観の改善
物件購入のタイミング
「今」中古マンションを購入するメリット
1. 開発前の価格で購入できる
大規模プロジェクトによる分譲マンションが販売される前の方が、比較的手が届く価格帯で購入できる最後のチャンスかもしれません。
2. 開発の恩恵を最大限受けられる
商業施設の増加、駅前の整備、新しいコミュニティの形成など、大規模開発による生活利便性の向上と資産価値の上昇が期待できます。
3. リノベーション前提なら選択肢が豊富
新築マンションの大量供給前の今は、中古物件の選択肢が豊富です。築古物件をリノベーションすることで、理想の住まいを割安に手に入れることができます。
「待つ」選択肢
1. 新築マンションを購入
- 野村不動産の667戸定期借地マンション(2028年竣工予定)
- 駅前再開発のタワーマンション(2030年代前半か)
- ヤマタネの複合開発(2034年度以降か)
ただし、価格は現在より高くなる可能性が高いことは考慮すべきポイントです。
購入時の注意点
1. ハザードマップの確認
江東区は海抜が低いエリアが多いため、浸水リスクや液状化の確認は必須です。
2. マンションの管理状態
修繕積立金の積立状況、管理組合の活動状況、大規模修繕の履歴を必ず確認しましょう。
3. 開発の影響
眺望の変化、日照・風通し、工事期間中の騒音などを考慮する必要があります。今後も複数の工事が進行します。
まとめ|開発とともに考えたい、街の未来
門前仲町・越中島エリアは、3つの大規模開発により大きく変貌を遂げるエリアです。
- 野村不動産の667戸マンション(2028年竣工)
- 門前仲町駅前再開発計画(地権者84.6%が参加)
- ヤマタネの3万㎡超大規模開発(2034年度以降)
都心至近という立地、東京駅周辺の再開発との相乗効果、そして400年の歴史が育んだ下町の魅力。これらが融合する門前仲町・越中島周辺は、東京23区でも有数のポテンシャルを持つエリアといえるでしょう。
開発がもたらす「光」の部分
- 駅前の利便性向上(バリアフリー化、商業施設の充実)
- 防災機能の強化(垂直避難場所、防災広場)
- 資産価値の上昇
- 新しいコミュニティの形成
しかし、考えるべき「影」もあります
大規模開発は、街に大きな変化をもたらします。その変化は、必ずしもすべての人にとって歓迎されるものではないかもしれません。
- 地価・家賃の上昇により、長年住んでいた住民が住み続けられなくなるのでは?
- 昔ながらの商店が家賃高騰で廃業してしまうのでは?
- 下町の風情や路地裏の魅力が失われるのでは?
- 新旧住民の間に分断が生まれるのでは?
これらは「ジェントリフィケーション(都市の高級化による地域変容)」と呼ばれる現象で、世界中の開発エリアで起きている課題です。
門前仲町・越中島では、どうすれば「伝統」と「革新」を両立できるのでしょうか。
開発による変化の中で、私たちが大切にすべきことは何か。新しい住民も、昔からの住民も、共に暮らせる街をどう創っていくのか。
次の記事では、この重要なテーマについて、深川くらしとしての想いをお伝えします。
【続きの記事】 👉 門前仲町の開発と下町の未来|変化する街で大切にしたいこと(近日公開)
ジェントリフィケーションへの向き合い方、新旧住民の共存、そして私たちにできることを考えます。
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