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コラム

インフレ時代の新常識:『中古マンション×リノベーション』が主流になる理由

日本は現在、物価や資材価格の高騰・人件費の上昇・物流コストの増加などを背景に、デフレの時代から本格的なインフレ局面に突入しています。この影響により、新築マンションや新築戸建ての供給は激減しており、価格も年々上昇傾向にあります。

特に東京都心部では新築物件の価格がすでに一般層には手が届かない水準に達しており、いわゆる「都心部での買い時=ボーナスステージ」はすでに終了したと見なされています。

今後は、都心、もしくは最寄駅から一歩離れた“二番手・三番手の立地”での購入が現実的かつ合理的な選択肢となっていくでしょう。

そんな中で今後ますます注目を浴びるのが「中古マンション+リノベーション」という選択肢です。


 中古マンションは長く使える? 国交省の資料が示す耐久性

日本では、築30年を超えると「古い」と見なされがちですが、実際には適切な維持管理をすれば、建物の寿命ははるかに長くなります。

国土交通省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会報告書」では、鉄筋コンクリート造(RC造)マンションの物理的耐用年数は117年とされていて、実際には定期的なメンテナンスと大規模修繕工事の実施によって、それ以上の期間使用できる可能性が高いともいわれています。これは単なる法定耐用年数(47年)とは全く別の、構造体としての寿命を示しています。

さらに、50年以上経過したRC部材であっても「構造体としての機能を保持している」とする実地調査の報告もあり、これらは中古マンションの価値を築年数だけで判断すべきではないという、非常に重要なエビデンスです。

実際、東京都内では築50年を超える分譲マンションでも、きちんと管理されている物件は市場で高く評価されていて、いわゆる「ヴィンテージマンション」として一定の人気を誇っています。

また、欧米では築100年以上の住宅が今も現役で使われているケースが珍しくありません。たとえばロンドンやパリ、ニューヨークなどの都市部では、19世紀に建てられた石造・煉瓦造の集合住宅が住宅や賃貸物件として高い価値を保ち続けています。これらの国では、建物の寿命を延ばす前提で修繕・改修・保全が日常的に行われており、「築年数が長い=価値が低い」という日本独特の価値観とは大きく異なります。

私自身もコロナ前にアメリカ・シアトルの不動産市場を視察し、現地の日本人エージェントから直接話を伺いました。その際に印象的だったのは、日本人のように築年数で物件を評価するという価値観がほとんど存在しないことでした。築100年を超える木造住宅であっても、外観からはそれを感じさせないほど丁寧に修繕されており、実際に活発に取引されていたのです

日本でも、こうした長寿命住宅の考え方が今後さらに浸透していくと考えられます。


今が買い時? 日銀が利上げできない理由とは

「インフレだから金利もすぐに上がるのでは?」と不安を感じる方も多いと思いますが、現在の日本銀行(以下、日銀)は、急激な金利引き上げに踏み切れない状況にあります。その理由には以下のような複合的要因があります:

1. 基調的な物価上昇率が安定していない

日銀は「2%の物価安定目標」を掲げていますが、物価上昇はコストプッシュ型(原材料高騰など)に留まっており、賃金の安定的な上昇や内需の強さに裏打ちされた物価上昇とは言えません。そのため、利上げが景気に与える悪影響を懸念し、慎重な姿勢を取っています。

2. 金融機関・日銀自身の逆ざやリスク

金利を引き上げると、日銀が保有する国債などの資産利回りと、支払う金利との間で「逆ざや(損失)」が発生する可能性が高まります。これは日銀自身の財務だけでなく、民間金融機関の収益にもマイナスの影響を与えかねません。

3. 財政への影響が大きすぎる

日本政府は膨大な国債を発行しています。金利が上がると、国債の利払い負担が急増し、財政を圧迫することになります。これは政治的にも極めてセンシティブな問題であり、金利政策を制約する大きな要因となっています。

4. 世界経済の不透明感

米中関係、欧州経済、エネルギー価格など、外部要因による不確実性が非常に高い中で、拙速な利上げは「景気の腰折れ」を引き起こしかねません。

とはいえ、インフレ局面の中では徐々に金利が上がっていくことも念頭においた資金計画も必要となるでしょう。


それでも不動産を買うメリットとは?

では、なぜ今、不動産を購入するメリットがあるのでしょうか? それは以下の理由からです:

  • インフレ時には実物資産が強い:不動産、金、株などはインフレによって価値が上がる傾向があります。お金の価値が下がる中、不動産は資産の価値保存手段として機能します。
  • 低金利を活用できるラストチャンス:日銀が大幅な利上げに踏み切れない以上、しばらくは住宅ローン金利も比較的低水準で推移する可能性が高いです。
  • 供給不足=資産価値の維持・上昇余地:新築の供給が減る中、中古住宅市場の希少性が増しており、良質な物件は今後も価値を保ちやすくなります。
  • 自己実現の場としてのリノベーション:リノベーションにより、自分のライフスタイルに最適な住空間を実現できるという魅力も大きいです。

資産価値を守るカギは「管理と修繕」

マンションの価値は、築年数だけで判断するのではなく、「どのように維持・管理されてきたか」によっても大きく左右されます。

たとえば、同じ築40年のマンションでも、大規模修繕などが計画的に行われ、管理組合が活発に運営されている物件と、修繕履歴が不明確で管理が行き届いていない物件とでは、将来の修繕コストや快適性、さらには売却時の価格にまで大きな差が生じます。

近年は、国交省のガイドラインでも「長期修繕計画の策定」「修繕積立金の適正額の確保」などが推奨されており、不動産評価においても修繕履歴や管理状態が明示的にチェックされるようになってきました。欧米のように、「住宅履歴(House History)」の開示が当たり前の時代が、日本にも訪れようとしています。

また、マンション購入を検討する際は、以下のポイントを確認することが重要です:

  • 長期修繕計画書の有無と内容
  • 過去の大規模修繕の実施履歴
  • 管理会社の信頼性と実績
  • 管理組合の運営状況(総会の定期開催、議事録の透明性など)
  • 共用部分の清掃・維持状態(エントランスやポスト、自転車置場などの状況)

これらの情報は、ポータルサイト上や販売図面にはほとんど掲載されていませんが、物件の資産価値を測るうえで非常に重要です。

「目に見えにくい指標」でありながら、実際の居住満足度や将来の維持コストに大きく関わってきます。

購入前に必ず確認し、可能であれば専門家(建築士や住宅診断士など)に相談することで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。欧米ではすでに常識となっている「管理履歴重視」の考え方が、日本でもようやく浸透し始めています。定期的な大規模修繕、長期修繕計画の存在、管理組合の活動状況などが、資産価値に大きく影響します。


不動産購入には知識と信頼が不可欠

一方で、不動産業界に対する不信感は根強く、「うさんくさい」「強引な営業」といったネガティブな印象を持たれることも少なくありません。

中古マンションの購入+リノベーションは、一見魅力的に見えても、実際には不動産と建築の両面にわたる深い知識が必要です。さらに、リノベーション対応型の住宅ローンや補助金制度にも注意すべき点が多く、購入を成功に導くには高い専門性が求められます。

しかし、大手不動産会社であっても、こうした分野に精通した営業担当は必ずしも多くはありません。そのため、信頼できる担当者・専門家と出会うことが、何よりも重要です。物件を見る目、リノベーションの知識、資金計画など、総合的なアドバイスが受けられる体制を整えておくことで、安心・納得の不動産購入が可能になります。


 結論:不確実な時代だからこそ、“価値のある中古”を賢く選ぶ

インフレ・金利・供給不足・社会構造の変化——あらゆる不確実性が交差する今の時代。だからこそ、不動産購入には「知識」「視点」「信頼」が不可欠です。

高騰する新築ではなく、適切に管理された中古マンションをリノベーションして、自分の理想の暮らしをつくる。これが、もっとも賢く、もっとも現実的な選択肢となっています。

とはいえ、どんなに良い物件でも、自分だけで全てを判断するのは難しいのが現実です。リノベーションの可否、管理状態の見極め、住宅ローンの適用条件など、専門的な視点が必要な場面は数多くあります。

だからこそ、地元の事情に詳しく、実績と信頼のある不動産会社や専門家に相談することが、後悔しない購入への近道です。地元に精通したプロフェッショナルであれば、物件の将来性やエリア特性、工事対応の柔軟さなども踏まえた提案が可能です。

「中古×リノベ」を成功させるには、“誰と組むか”が最も重要なファクターと言えるでしょう。


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✍️ 著者プロフィール

柴田 光治
株式会社トラストリー|リフォーム不動産深川studio代表
不動産・建築業界歴40年。大手不動産会社の役員として主に売買事業を統括する。その後複数の会社役員を経て株式会社トラストリーを立ち上げ、江東区を拠点に「中古マンション+リノベーション」のワンストップサービスを提供。豊富な実務経験と地域密着の視点で、住まい選びから資産形成までを幅広くサポートしている。

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