「終の棲家」と言いながらもやっぱり気になるのは、その不動産の資産性です。
将来的な予測を立てるのは難しい時代ですので、一生住み続ける目的で購入したマンションでも、事情があって手放したり、住み替えることになる可能性は十分に考えられます。
そこで大事になってくるのが、購入するマンションの「資産性」。
居住用のマンションは、投資用と違って損得だけで判断をするわけではありませんが、やはり将来的にも資産価値が下がりにくいマンションや売却のしやすいマンションを選ぶべきだと思います。
では、資産価値の下がりにくいマンションとはいったいどのような特徴を持ったマンションなのか。
エリアによっても多少変わってきますので、今回は東東京エリアに絞って考えてみましょう!
目次
1. 街に魅力・勢いがある
住む街のブランド力はやはり重要な要素の一つです。
街の魅力や活気があると若い世代の人々が流入し、少子化の中においても人口減少が抑えられるからです。
西東京で言えば必ず住みたい街ランキングに上がってくるのが、「吉祥寺」「中目黒」「二子玉川」など。
これらの街の特徴は、都心へのアクセスはもちろんのこと、やはり若い人たちを惹きつける魅力的なお店があったり、子育て世代からお年寄りまでもが魅力に感じる公園などの緑や水辺が多い特徴のあるエリアだからです。
東東京エリアで言うと、最近では「北千住」「清澄白河」「豊洲」「錦糸町」なんかが注目されていますね。
これらの場所は、都心へのアクセスはもちろんのこと、若者や子育て世代を惹きつける商業施設やお店。そしてやはり緑(公園)や水辺が多いのが特徴と言えるでしょう。
住みたい街ランキングは毎年多少の変動がありますが、やはり上位に入るにはいくつかの共通点がありますので、自分のライフスタイルにあったお気に入りのエリアを見つけてみてください。
2. 交通の利便性
マンションを購入するにあたって、駅からの距離は特に皆さん気にされる要素の一つです。
ポータルサイトなどで物件選びをするにあたっても、3分~5分間隔で選択できるチェックボックスが付いてるくらいですので、駅から遠いとそもそも選択肢から外されてしまう可能性がありますよね。
一般的には駅から近い場所には、スーパーやさまざまなお店や医院などが揃っているので駅から近いに越したことはありません。
ただし、あとでも述べますが、駅からの距離でそもそもの価格設定が違ってきてるので、そこだけで判断することではないかもしれません。
皆さんは東東京エリアにおいて進行している鉄道延伸計画があるのはご存知ですか?
江東区のホームページにも掲載され、早期実現に向けて力を入れている地下鉄8号線(有楽町線)の延伸計画です。
現在の有楽町線の豊洲駅から東西線の東陽町駅を通り、半蔵門線の住吉駅を結ぶ計画なのですが、その途中にも新駅が出来るとされていますので、実現できれば現在は駅から離れている新駅周辺の価値は確実に上がることになりますよね。
実現までにはまだまだハードルもあって、時間もかかりそうですが、もし計画が決定されればその時点から人気度は高まっていくことでしょう。
3. マンションの住民層に合った周辺環境
駅からの距離も大事ですが、そのマンションに住むターゲットにあった周辺環境も重要な要素です。
そもそもが単身者やDINKS向けのマンションであれば、やはり駅からの距離や遅くまで開いているスーパーやコンビニなどが近くにあるなどが重要になります。
これがファミリー層向けの広さのマンションであれば、学校、スーパー、公園、医院などが近くにあることが重要です。
いくら駅から近くても、ファミリー層が必要とする施設がそのマンションから遠かったり、駅前にありがちな飲み屋街やパチンコ店などが近くにあると、小さなお子様のいるファミリー層には敬遠されてしまうかもしれないですよね。
駅から少し離れていても、近くにランドマーク的な大きな公園や人気のスーパーがあったり、地元で人気の学区内などは、やはりファミリー層には好まれるようです。
4. お部屋の条件
一般的に多くの購入者が気にする部分が、「陽当り」と「眺望」です。
理想を言えば一日中陽が入ってきて明るく、バルコニーを出るとリバービューだったり、目の前が公園だったりと前面がひらけていると気持ちがいいですよね。
そもそも、そのようなお部屋にはなかなか巡り合えないので、絶対に「南向き」とか「高層階」というわけではなく、前面が抜けていて明るいお部屋を選びましょう。
逆を言えば、前面に建物が建っていて視線が気になったり、一日中照明を点けていないと室内が暗いなんてお部屋は、事務所として利用する目的なら良いのですが、やはり居住用としては敬遠されてしまいます。
5. 物件の希少性
希少性のある物件はやはり人気がありますよね。
マンションのお部屋の希少性とは、どのようなお部屋でしょう。
「東南角部屋」「ルーフバルコニー付き」「リバービュー」「最上階」「専用庭」「天井が高い」などなど。
人気があるのに、そもそも絶対数の少ないお部屋は、希少性があるということになりますね。
その他にも、最近増えてきている「免振マンション」なども人気です。
これらの希少性は物件を売却する際に、他の物件と比較して競争力があるため有利となります。
6. マンションの雰囲気とブランド力
皆さんは「メジャーセブン」とういう言葉を聞いたことはありますか?
マンション分譲会社の中で大手7社と言われる会社です。
住友不動産株式会社、株式会社大京、東急不動産株式会社、東京建物株式会社、野村不動産株式会社、三井不動産レジデンシャル株式会社、三菱地所レジデンス株式会社(順不同)などで、どこも誰もが知るような知名度と実績のある会社ですね。
その他にももちろん立派な実力のある会社はあるので、それだけで判断することではありませんが、やはり大手は信頼と安心感があるのでブランド好きの日本人には人気のマンションです。
それ以外にも人気のマンションの特徴としては、重厚感やデザイン性のある外観、共用施設の充実、エントランスの雰囲気なども重要な要素になっています。
やはりマンション入り口の雰囲気が暗かったり、狭かったりするとイメージがあまりよくないですよね。
やはり見た目の雰囲気って大事なんです。
7. 管理体制・メンテナンス状況
マンションは昔から「管理を買え!」と言われ続けているくらい、資産価値を維持する上で重要な要素となります。
何十年ものスパンでマンションを維持していく上では、適正な管理と定期的な修繕は必要不可欠。
管理を委託する会社の選定も重要ですが、一番大事なのは通常所有者で組織される管理組合が適正に機能しているかどうかです。
管理組合の運営いかんによっては、管理会社の思いのままにされてしまっていたり、定期的な修繕や適正な管理がされていないなど、今後の資産価値を維持するうえでの適正な判断が出来ません。
特に10年~15年ごとに行われる大規模修繕工事は大きな金額が必要になってきますので、修繕積立金の積み立てられている総額や今後の長期修繕計画書なども気になるところです。
自主管理だからダメとか大手管理会社だから安心というわけではなく、これらの部分は管理組合の運営によって大きく左右される部分ですので、総会の議事録や管理会社から発行される重要事項調査報告書などを不動産仲介会社などから取り寄せて、事前に確認するようにしましょう。
8. 居住者の属性
管理状況にも付随する話ですが、マンションの入居者の属性も大事な要素の一つです。
特にワンルームなどが混在しているマンションは、所有者が実際に住むことなく賃貸に出しているケースが多いので、管理組合が思うように機能していなかったり、転貸されているケースもあって、ごみの出し方や駐輪場の利用などで入居者トラブルに発展する可能性が高まります。
トラブルの予測は出来ませんが、例として管理規約などで民泊で利用できないようにするなど、ルールや管理の質を高めることによって、ある程度改善される可能性もありますが、居住者の属性には一貫性のあるマンションが望ましいといえます。
最後に
以上を踏まえて、中古マンション選びの参考にしていただければと思います。
今回は8つの項目をあげてみましたが、すべての項目に当てはまるマンションを選ぶのは至難の業です。
冒頭に述べたように居住用のマンション購入は、損得だけでなくお客様それぞれのライフイベントによって購入を判断されるケースがほとんど。
ある程度の妥協点をもうけておかないと購入の決断はなかなかできません。
もちろん3つも4つも妥協することはありませんが、自分たちなりの優先順位をつけて物件選びをするようにしましょう。
最後になりますが、これらの条件をクリアするにはやはり不動産のプロである仲介担当者のアドバイスや対応が大事な要素です。
そもそも相場より割高な物件をつかまされたり、大切な情報を伝えてもらえずに購入をしてしまっては元も子もありません。
その物件の良い部分だけでなく、マイナス面も正直に伝えてくれるような信頼できる担当者選びもあわせて行ってみてください。
【書いた人】柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio 代表|深川くらし相談所 所長
宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、公認 不動産コンサルティングマスター
一般社団法人不動産エージェント協会 既存住宅流通活性化副委員長
不動産業界歴35年以上。一部上場不動産会社在籍中に執行役員として売買事業を統括し、主に不動産流通に関わる。
50代で今の会社を立ち上げ、地域密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。自らも築20年の自宅マンションをリノベーションした経験を持つ。