最近は特に新築マンションにこだわらず、中古マンションを購入してリノベーションを検討される方は、ますます増えてきています。
さまざまなメディア等でリノベーションの施工例などが紹介されているので、「あんなお部屋に住んでみたい」「自分もこだわりのリノベーションをしたい」と思う方が増えているのは当然のことかと思います。
中古マンションを購入してリノベーションすることによって、納得度の高い暮らしを手に入れる。
そんなワクワクするようなことが出来るのもリノベーションの人気の理由のひとつと言えるでしょう。
中古マンションを購入するメリットは「中古マンションの購入をおすすめする4つの理由」で書いてある通りですが、購入とあわせてリノベーションを検討している方へ、いくつかの注意点をお伝えしておきます。
目次
1. リノベーションのこだわりを整理しよう
メディアに掲載されるリノベーションされた室内の写真は、どれもこだわりがあってデザインも素晴らしいお部屋ばかりです。
もちろん費用をかければ誰もが羨むような室内に出来るのがリノベーションの魅力でもありますが、値上がりの続く中古マンションの購入金額と併せると大変高額なお買い物になりますので、冷静な判断が必要です。
一昔前までは、リノベーション費用は住宅ローンに組み入れることが出来ず、金利の高いリフォームローンを別に組む必要があったのですが、現在ではリフォーム(リノベーション)費用も住宅ローンに組み入れることができるようになりました。
住宅ローンの現在の金利は安いこともあって、ついつい背伸びをした判断をしがちです。
そこは今後の金利推移やライフプランを踏まえて、しっかりとした返済計画を立てたうえで冷静に判断をする必要があります。
特にリノベーションの費用は、水回り商品のグレードをアップしたり、材質やデザインにこだわりだすとあっという間に金額が嵩んでしまいます。
物件探しと同様に、リノベーションのこだわる部分の優先順位をきちんと整理をして取捨選択していかないと、物件価格との総予算が当初よりオーバーしてしまい、振り出しに戻ってしまう事も。
そんなことの繰り返しで結論が先延ばしになってしまい、なかなか購入に踏み切れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現在所有しているご自宅をリノベーションするのと違って、物件購入とリノベーションをセットで考える場合には、購入する物件の状況によってリノベーションの費用も変わってきますので、専門家の意見も聞きながら前もって優先順位を整理していきましょう。
2. 購入からリノベーションまでをワンストップで提案できる会社を選ぶ
中古マンションの購入からリノベーションまでは、さまざまなハードルをクリアしていかなければいけませんので、会社選びも重要となってきます。
昨今では空前のリノベーションブームによって、中古物件の購入からリノベーションまでをワンストップで提案する会社も増えてきました。
物件探しは不動産仲介会社、リノベーションは工務店やリフォーム会社、などと分けて考えると、人気のエリアではスピード感に欠けてしまい、せっかく買いたいと思った物件が見つかっても、買い逃してしまう可能性もあります。
その点、物件探しからリノベーションまでをワンストップで提案できる会社ですと、物件ご案内時にリノベーションのおおまかな予算を提示して住宅ローンの事前審査用の見積書の提示までもがスムーズに進めることが可能となります。
これにより優良物件が見つかった時に、申し込むまでのスピードが速まるため、買い逃しのリスクが軽減されます。
もちろん、それぞれを専門の会社に頼むメリットもあるので一概には言えないのですが、これを機にワンストップで提案できる会社も検討の範囲に加えて相談してみると良いでしょう。
3. ワンストップ会社の特徴を見極めよう
物件選びやリノベーションに関するこだわりが整理出来たら、物件の購入からリノベーションまでをワンストップで提案できる会社にいくつか相談してみましょう。
ワンストップで対応できる会社もそれぞれに特徴があります。
大きく3つに分けるとすると、
① 不動産仲介事業がメインでリノベーションも行っている
② リノベーション工事がメインで不動産仲介を行っている
③ どちらもメインとして行っている
最初のうちはいろんな会社に行ってみて、それぞれの会社の特徴や担当者の話を聞いてみるのが良いでしょう。
意外と③の会社は少ないはずなのですが、担当の方に「どちらも得意です!」なんて言われると判断に迷ってしまいますよね。
それぞれの会社には必ず得意分野があるはずですので、しっかりとヒアリングしてみてください。
それでも迷ってしまう方にとっては簡単に言ってしまうと、リノベーションのデザインなどにこだわりを持っている方は②の会社を、そんなにこだわりが無ければ①の会社を選んでみるのが良いかもしれません。
特にリノベーションのデザインを重視する方にとっては、その会社の施工例などからデザインの特徴を見極めるのは重要な要素となってきます。
デザインは設計士やデザイナーそれぞれのセンスの部分もあるので、自分たちにあったテイストを実現できそうなリノベーション施工会社選びは大事になってくるのだと思います。
デメリットとしては、デザインを重視していくと金額が高くなりがちということ。
リノベーション工事がメインの会社の場合、不動産の価格よりもリノベーション工事金額を重視したいので、案外過剰な提案をしがちです。
会社によっては、金額の安い工事は請け負わないこともありますし、そもそもの工事単価が一般的に高いこともあるので注意が必要です。
4. これだけはやってはいけない最大の注意点とは
一番やってはいけないことは何か。
それは総予算のうち、リノベーション工事金額の割合が嵩んでしまい、大事な資産であるはずの購入物件(不動産)を妥協し過ぎてしまうことです。
もちろん資金的に余裕のある方は、とことんリノベーションにこだわるのも良いのですが、一番の優先順位であるはずの総予算金額の中で、リノベーションの方にウェイトをおいてしまうと、物件選びのハードルを下げざるを得なくなります。
駅からの距離であったり、築年数や広さであったり。
それでなくても都心に近い物件は高額になっているので、住みたいエリアを変更せざるを得ないことも。
もちろん少しは妥協していかないとなかなか購入自体もできないものなのですが、これでは本末転倒ですよね。
無理をし過ぎて住宅ローンに縛られてしまったり、通勤時間が長くなって体力的にきつくなることだって考えられます。
購入後に何が起こるかなんて誰も予測出来ないものですよね。
将来的な売却のしやすさも重要な要素ですので、リノベーションの素晴らしい施工事例の写真などに目を奪われて、予算オーバーになってしまったり、リノベーション会社にのせられて、大事な資産の部分である購入物件を妥協し過ぎないように注意することが大事です。
特にこだわったデザインリノベーションは、将来的に逆に売りづらくなってしまう事も考えられるので注意が必要です。
そもそもリノベーションの内容にそこまでこだわりのない方は、①の不動産事業をメインとしているワンストップ会社の方がスムーズです。
大事な資産である購入物件について、不動産のプロとしての意見を交えながらアドバイスをしてくれるので安心です。
そもそもがリノベーションの請負金額にウェイトをおいていないので、コストダウンの提案や考え方の整理など、購入に向けたアドバイスをしてくれることでしょう。
特に購入したい希望エリアが決まっている方は、やはり地元に精通したワンストップ会社がベストではないでしょうか。
あとがき
購入物件が見つかって住宅ローンが絡んでくると、リノベーションの商談もとんとん拍子で進めていかなくてなりません。
リノベーションは依頼する会社によっても工事金額や対応にも違いが出てくるので、前もっていろんな会社の話を聞いてみることも大事です。
会社によっては、さまざまな分野のセミナーや個別相談会などを行っていて、もちろんメールや電話でも気軽に相談に乗ってくれます。
その会社の特徴はもちろんのこと、担当者との相性もあると思いますので、物件探しの前にまずは何社かのお話を聞いてみることからトライしてみてください。
【書いた人】柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役
リフォーム不動産深川studio 代表|深川くらし相談所 所長
宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、公認 不動産コンサルティングマスター
不動産業界歴35年以上。一部上場不動産会社在籍中に執行役員として売買事業を統括し、主に不動産流通に関わる。
50代で今の会社を立ち上げ、地域密着型の不動産会社としてお客様に寄り添ったわかりやすい提案を身上とする。自らも築20年の自宅マンションをリノベーションした経験を持つ。