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コラム

100円マックの時代はもう戻らない。それでも私が「不動産はまだ間に合う」と考える理由

「不動産価格が高騰していて、今はとても手が出せない」
「もう少し待てば、バブルが弾けて安くなるのではないか」

深川エリアで家探しをされている方から、毎日のように耳にする言葉です。確かに、ニュースで流れる「都心マンション平均1億円超え」といった見出しを見れば、そう感じるのも無理はありません。

しかし、不動産業界の最前線にいる私から見ると、今の状況は「不動産だけが高い」わけではなく、バブルでもないのです。今回は、私たちが直面している「お金の正体」と、深川という街で後悔しないための選択について、正直にお話しします。


1. 100円マックが教えてくれること。 日本の「円」が弱くなっている?

少し視点を変えて、私たちの日常を振り返ってみましょう。 かつて、100円玉一枚で買えたマクドナルドのハンバーガー。あるいは、セットでもワンコインでお釣りが来た牛丼。これらが今、いくらになっているかご存知でしょうか。私たちはレジの前で「高くなったな」とため息をつきます。

しかし、ここで世界に目を向けると、全く別の景色が見えてきます。 「こんなに値上がりしたのに、海外から見れば日本はまだ『激安』である」という現実です。

例えば、ニューヨークやロンドンでランチを食べようとすれば、ハンバーガーやラーメン一杯でも2,000円〜3,000円することは珍しくありません。日本に観光に来る外国人旅行客が、爆買いをしたり、高級な食事を喜んでいるのは、彼らの通貨から見れば日本の物価が「バーゲンセール」のように安いからなのです。

これは単なる「値上げ」ではありません。 世界的な基準に対して私たちの財布に入っている「円」というお金の価値が目減りし、相対的にモノの価値が上がる「インフレ」が、生活の全方位で起きているのです。

消化されるランチと、残り続ける資産

ここで、一つ本質的な問いを立ててみます。

「ランチで食べた1,000円の食事は消化されて消えるが、不動産という現物資産は価値として残り続ける」

今日の食事代は数時間後には形をなくします。しかし、不動産という「箱」は、あなたが眠っている間も、家族と過ごしている間も、確かな価値を持つ資産として手元に残り続けます。 インフレ局面において、最もリスクが高いのは「価値が目減りしていく現金」を抱え続け、消えてなくなる家賃を払い続けること。不動産を持つということは、自分たちの「未来の時間」をインフレから守るシェルターを手に入れることでもあるのです。

「金利待ち」は、向かい風で立ち止まること

「金利が上がるから、今は買い時ではない」という声をよく聞きます。 しかし、歴史を紐解けば、インフレ局面では金利上昇よりも先に「モノ(不動産)」の価格が上がります。

仮に金利が1%上がったとしても、物件価格がそれ以上に上昇してしまえば、結局のところ数年後の支払い総額は増えてしまいます。また、賃貸に住み続ける場合、その「上がるかもしれない金利」を大家さんが肩代わりしてくれるわけではありません。大家さんもまた、コスト増を補うために「家賃」という形で調整を始めます。

つまり、**「金利を待つ」ことは、実は「インフレという向かい風の中で、立ち止まって体力を消耗している」**状態に近いのです。


2. なぜ「待てば下がる」は幻想なのか。 人件費の壁

「景気が悪くなれば、建築費も下がるだろう」と期待する声もあります。しかし、残念ながらその可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

最大の理由は、不動産価格の大きな柱である「人件費(労務費)」の上昇です。建設業界の深刻な職人不足に加え、適切な賃金を確保するための構造的な変化は、社会的に後戻りすることはありません。

さらに、政府の積極的な財政政策や株価の底堅さを見る限り、当面の間、資産価格が大きく崩れる要因は見当たりません。むしろ、資産を持つ者と持たざる者の差が広がる「二極化・三極化」が加速していくでしょう。

その中で、私たちが愛する「深川エリア」はどうでしょうか。 都心への圧倒的な近さを持ちながら、豊かな歴史と新しい文化が共存するこの街は、今後ますます「選ばれる街」になります。人気が集中する街の価格が下がることは、歴史的に見ても稀です。「今のうちなら、まだ手が届くかもしれません」と私がお伝えするのは、この街が一般の共働き世帯にとって、納得感を持って家を持てる「最後のフロンティア」である時間が、そう長くはないと感じているからです。

不動産の「三極化」とは、
①価値が上がる街
②維持される街
③限りなくゼロになる街に分かれることを指します。

深川エリアがなぜ「①」あるいは「②」に属すると確信しているのか。それは、単に都心に近いからだけではありません。清澄白河や門前仲町、森下といったエリアには、古い倉庫や家屋を改装したカフェやギャラリーなどが点在し、「古いものに新しい価値を吹き込む文化」が根付いているからです。

建物が古くなっても、街のブランドが陳腐化しない。むしろ熟成していく。この「街の底力」こそが、インフレ時代における最強の防衛策になります。リノベーションによって、建物の価値を自分たちの手で「再生」できる余白がこの街にはまだ残されています。


3. 私たち、トラストリーが「今は買うな」とはっきり進言する理由

ここまで「不動産を持つべき理由」を説いてきましたが、ここで一つ、強いブレーキをかけさせてください。私は、すべての方にとって「購入」が正解だとは思っていません。お客様のライフプランに合致しなければ、それは「良い買い物」にはならないからです。

実際に、私たちが「今は買わない方がいい」とアドバイスさせていただくケースをご紹介します。

① 数年後に「環境が変わる」ことが確定している方

例えば先日、「数年後に実家に戻る予定があるが、それまでの家賃がもったいないから買いたい」というご相談がありました。私は「今は、買わない方がいいかもしれません」とはっきりお伝えしました。 不動産購入・売却には諸経費もかかります。数年という短いスパンでは、市場の波によって、売却時にコストを回収しきれないリスクがあるからです。

② ライフスタイルが「流動的」すぎる方

「近いうちに転職するかも」「海外赴任の可能性がある」など、生活基盤が固まっていない場合、家という「箱」が人生の選択肢を奪う足かせになってはいけません。「持たない自由」が正解の時期も確かにあります。

③ 手元資金を「ゼロ」にしてしまう方

インフレ対策には現物資産が必要ですが、同時に「急な支出」に対応できる現金の予備も不可欠です。諸経費を削り、手元の現金をすべて頭金に突っ込んでしまうような無理な購入は、トラストリーとしてはお勧めしません。

私たちの仕事は、物件を右から左へ流すことではありません。徹底したヒアリングを通じて、「買うべきか、借り続けるべきか」というスタートラインから一緒に悩み、あなたの人生にとっての「正直な最適解」を提示することです。

私は「無理に買うな」と言いますが、一方で「あの時、決断していればよかった」という後悔の言葉も、数多く聞いてきました。

3年前に相談に来られたあるお客様は、「もう少し頭金が溜まってから」と購入を見送られました。しかし、3年後の今、同じ条件の物件は当時の価格から1,000万円以上値上がりしています。溜まった頭金以上に、物件価格の背中が遠のいてしまったのです。

「決断」とは、リスクを取ることではありません。現状を維持することに潜む「見えないリスク」を排除することです。だからこそ、私たちはヒアリングに時間をかけます。その決断が、お客様にとっての「守り」になるのか、それとも「無理」になるのか。その境界線を、プロの目で見極めるためです。


4. 物件サイトを見る前に、「パートナー」を探してほしい

不動産市場のスピード感は年々増しています。深川のような人気エリアでは、良い物件は表に出た瞬間に消えてしまいます。しかし、焦って物件情報に飛びつくのは得策ではありません。

大事なのは、物件を探す前に、「今の自分にとって、この価格で、この街で買うことが本当に幸せに繋がるのか?」を客観的に判断してくれるパートナーを持つことです。

「不動産屋に相談すると、買わされるのではないか」 そんな不安があるかもしれません。だからこそ、私たちは「深川くらし」というメディアを通じ、この街の日常を伝え、顔の見える関係を築きたいと考えています。

インフレの波、上がる人件費、そして深川という街の可能性。 まずは物件を内見する前に、私たちにあなたの不安をぶつけてみませんか? 買うのが正解か、借り続けるべきか。この街でお茶でも飲みながら、正直な話をしましょう。


著者紹介

柴田 光治(Koji Shibata) 株式会社トラストリー 代表取締役。「深川くらし」運営責任者。
「不動産取引に透明性を」をミッションに、江東区・深川エリアを中心にエージェント型不動産仲介を展開。物件のメリットだけでなく、リスクも正直に伝えるスタイルで、初めて家探しをする若い世代から厚い信頼を得ている。


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