江戸の長屋暮らしに学ぶ、深川の「まち」に暮らすということ

今では清澄白河や門前仲町を中心にタワーマンションが建ち並び、おしゃれな店舗が続々とオープンするなど、人気のエリアながらもどこか古き良き江戸の文化の残る、東京・下町「深川」。

生活様式も年代と共に変化していき、今ではファミリー向けマンションなどの室内の広さは3LDK、60㎡台以上が中心で、共用部分も豪華仕様だったり、新築以外にも室内をリノベーションした中古マンションが豊富に流通するなど、住まいのバリエーションも豊富に揃ってきています。

そんな昨今の暮らしぶりと比較すると、江戸時代の庶民の暮らしぶりはどんな感じだったのでしょう…

狭いながらも楽しい我が家(長屋)

その昔、江戸の庶民は「長屋」暮らしが一般的でした。
当時の長屋とは、密集した建物に安い住居費で暮らせるように建てられた集合住宅です。

一般的に9尺×2間(約3坪)のスペースで、今では考えられないくらいに狭い住空間ですが、トイレは共同、お風呂は近くの銭湯へ行き、湯上り後はその2階で集まったり、時には神社の境内などで涼んだりと、家は狭くとも“まち”全体をうまく活用しながら生活をしていました。

寝るときになったら布団を敷き、食べるときは食器などを入れる箱が食卓代わりになったりと、一つの部屋を何通りにも利用する生活です。
しかも、玄関を開けたら部屋の中は丸見えの生活ですから、プライバシーなんてそもそも皆無です。

江戸の人たちはそんな暮らしを楽しみながら、単に長屋に住むというよりも、「まちに住む」、「まちで暮らす」という感覚だったのではないでしょうか。

「三ない主義」という長屋でのライフスタイル

長屋の室内

深川江戸資料館内

長屋でのライフスタイルは「三ない主義」といって、三つがないんだそうです。
これは江戸風俗研究家であった故・杉浦日向子さんが書いていた言葉です。

一つ目は、「ものを出来るだけもたない」
これは、火事の多さとも関係しているようですが、家財道具は最小限で良いということ。
「火事と喧嘩は江戸の華」などと言われていたくらいに、火事の多かった時代だけにわかる気がします。

二つ目は、「出世をしない」
これは、出世をすると余計な付き合いが増えて厄介なことが多くなることから。
特に長屋に住む住人は職人が多かったので、序列を上げることよりも職人としての自分の腕を上げることの方が粋だったのでしょう。

三つ目は、「悩まない」
常に前向きにポジティブに生きるということで、気楽かつ気軽に生きるのが何よりという考え方が主流だったようです。

その他にも『宵越しの銭は持たない』など、その日暮らしの生活のようにも感じますが、決して悲壮感を漂わせながら生活していたわけではありません。

今の時代と比べると真逆のような生き方にも見えてしまいますが、学ぶべき部分でもあり、ある意味羨ましくも感じてしまいます。
その「まち」の密なコミュニティに属し、互いに助け合い、時には励ましあいながら過ごす毎日は、精神的な豊さを失いつつある現代よりも幸せな側面があったのでしょう。

全国各地から人々が集まって住んでいる地域だから生まれたルール

他にも江戸で暮らすルールとして、こんなことがあったようです。

「初対面の人に生国は問わない」
「年齢は聞かない」
「過去と家族などの来歴は聞かない」

これは江戸が全国各地からいろんな人達が集まって住んでいるからと生まれたルールのようですね。

江戸の町では、お互いが助け合って暮らしていました。近所に小さい子供がいれば、大きい子が面倒を見て、身体の不自由なお年寄りがいればみんなで助け、おかずを余分に作ればご近所におすそ分けをし、味噌や醤油などの貸し借りは当たり前のような、それこそ町ぐるみで自分たちの暮らしを良くしていこうという取り組みが行われていたようです。

「向こう三軒両隣」
「遠くの親戚よりも近くの他人」

当時の日本には、近所付き合いを大事にするこんな言葉が残っています。

特に経済的に貧しかった長屋の住人同士は強く結びつき、日常的に相互扶助が行われていたのです。
助け合いの精神は、そもそも誰にでもある感情であるはずなのですが、現代社会ではどうでしょうか。

現代の都会においては、このような暮らし方とは無縁のような気もしますが、少なくともここ深川にはそういったコミュニティの文化が受け継がれているような気がします。

現代における都会での暮らし方

現代の都会暮らしは、家賃も高く、不動産を購入するにも手の届きにくい価格になってきました。

生活スタイルも昔とは様変わりし、家にトイレやお風呂があるのは当たり前。リビングには立派なソファとダイニングテーブルが常時置かれ、子供たちにも個室が与えられて、ベッドでの生活が普通となってきました。
一つの部屋で何通りもの部屋の使い方をしていた、江戸の狭い長屋での暮らし方とは違って、現代では部屋ごとにそれぞれの利用の仕方が決まっています。

お子様のいる3~4人家族ですと、最低でも2LDK~3LDKで60㎡~70㎡程の広さで物件を探される方が一般的なようです。
当時の長屋暮らしの方たちが、現代の生活スタイルを見たら腰を抜かしてしまうかも知れませんね。

現代のリノベーションされた機能的で明るい部屋

現在、深川のエリアでこのサイズの中古マンションを探そうとすると、築年数にもよりますが4000万円台から6000万円台くらいが主流です。

予算に余裕があれば広さや新しさを追求することも出来ますが、築年数や駅からの距離、物件のグレードなど、すべてを考慮しようとすると予算が合わなくなってしまい、なかなか思うような物件に巡り合えずに迷走してしまうことも。

「皆さんは、生活の豊かさに何を求めますか?」

そんな時、江戸の長屋暮らしのスタイルから学べることがあるかもしれませんね。

深川の歴史を知ることができる「江東区深川江戸資料館」

深川江戸資料館内:江戸の街並みジオラマ

深川江戸資料館内

清澄白河駅の近くにある「江東区深川江戸資料館」では、江戸の当時の長屋が実物大で再現出来ていて、ボランティアスタッフから当時の暮らしをレクチャーしていただけます。
深川の歴史や江戸時代の暮らしを知る上で、大変勉強になるのでおすすめです。

【江東区深川江戸資料館】
住所:江東区白河1-3-28
アクセス:東京メトロ半蔵門線及び都営地下鉄大江戸線「清澄白河」駅下車徒歩3分
入館料:大人(高校生以上)400円、こども(小・中学生)50円、※その他、団体、障碍者割引あり
開館時間:AM9:30~PM17:00(入館は16:30まで)
休館日:年末年始(1月2日から開館)、第2・第4月曜日(祝日の場合は開館)、その他臨時休館あり
ホームページ:https://www.kcf.or.jp/fukagawa/

最後に

東京・下町「深川」の街には、今では数少なくなってしまった銭湯もあれば、夕涼みが出来るような川辺や公園などが数多くあります。

こだわりの美味しいお店やおしゃれなお店などもたくさんあって、楽しいイベントごとも多いです。
そして何よりも、代々受け継がれた助け合いの風土たくさんのコミュニティがあるのです。

深川の物件に住むということは、この”まち”に暮らすということ。
きっとここで暮らすと、深川のことが「住むほどにまた、好きになる。」ことでしょう。

深川での暮らしに興味を持った方は、「深川くらし」のホームページをご参照ください。

こちらの記事もあわせてお読みください。↓ ↓

深川でシェアスペースをお探しの方はこちら ↓ ↓

お問い合わせ

関連記事

  1. 事業化に向けて一歩前進!地下鉄8号線(住吉〜豊洲間)を解説します

  2. 地域密着型の新たな価値提案「リフォーム不動産」が提供する三つの「不」を取り除くストーリー

  3. 江東エリアで不動産購入を検討する際、リフォーム不動産に相談するのがいい6つの理由とは

  4. 中古マンションの売却は「大手仲介会社」と「地場不動産業者」、どちらにお願いすべきか?

  5. ホテリエだった20代女子が不動産会社に転職して初めて知った、不動産に関するあれこれ。 file.14

  6. 不動産売却における「囲い込み」対策と予防法