はじめに
「東京で家なんて、もう無理じゃない?」
最近、この言葉を耳にする機会が本当に増えました。
湾岸エリアや都内のタワーマンションは1億円を超えるのは当たり前。賃貸だって、ちょっと広い部屋を借りようとすれば月20万円以上は覚悟。
物価も上がり続け、日々の生活だけで精一杯。
そんな中で“家を買う”という選択肢は、夢物語のように聞こえるかもしれません。
でも、不動産の現場で日々お客様と接していると、こうも感じます。
「諦めてしまうには、まだ早い」し、「賃貸のままでは、何も解決しない」と。
東京で暮らすための現実的な道は、確かに少なくなっています。
けれど、「場所」と「物件の見方」を変えれば、まだチャンスは残っている。
その鍵のひとつが、“下町×中古+リノベーション”という選択です。
東京の現実と、残された選択肢
まずは現実から。
不動産価格はこの10年で右肩上がり。湾岸や都心だけでなく、かつて「庶民的」と言われていたエリアも大きく値上がりしました。
特にこの2年ほどで、中古マンションの価格は3割から5割も上昇しています。
数年前なら5,000万円台で買えた物件が、今では平気で7,000万円台に。
この勢いで値上げが続くと、お客様のご要望も付いていけません。
将来のことを正確に予測するのは難しいですが、今後は物件も家賃もさらに上がっていくという予測さえあるのが現状です。
新築や築浅物件にこだわれば、手が届く予算帯はどんどん狭まり、「広さ」「駅近」「間取りの余裕」など希望条件を削らざるを得なくなります。
こうなると、選択肢は大きく二つに分かれます。
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条件を下げてでも希望エリアで買う
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エリアを広げて条件を叶える
後者を選んだとき、浮かび上がってくるのが江東区・墨田区・葛飾区などの下町エリアです。
都心へのアクセスは良好で、文化や人の温かさも残っている。そして何より、同じ予算でも「暮らし」と「資産価値」のバランスが取りやすいのです。
下町暮らしのリアルな魅力
「下町」というと、人情やお祭り、商店街のイメージを思い浮かべる人も多いでしょう。
実際、この地域に暮らしていると、それはただのイメージではなく日常そのものです。
例えば、門前仲町の富岡八幡宮例大祭。3年に一度の本祭りでは、50基以上の大人神輿が街を練り歩きます。
お神輿を担ぐのはもちろん、見物する人も含め、町全体がひとつになる感覚。
初めてこの雰囲気に触れた人は、「東京でこんな温かい場所があったのか」と驚きます。
また、災害時には顔見知り同士で助け合う文化が根付いているのも下町ならでは。
普段から挨拶を交わす関係性が、いざというときの安心につながります。

写真:フカフォト
資産価値を守るための「中古+リノベ」という選択
もちろん、「下町に住めば全て解決」という単純な話ではありません。
中古マンションを選ぶなら、資産価値を守る目線は欠かせません。
具体的には──
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管理組合がきちんと機能しているか
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修繕積立金の積み立て状況
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耐震性や建物のメンテナンス履歴
そして、リノベーションのかけ方にも注意が必要です。
高額なフルリノベは魅力的に見えますが、費用をかけすぎれば将来の売却時に回収できない可能性も。
必要な部分にしっかり手を入れつつ、家具や照明で空間を豊かにする──このバランス感覚が大切です。
大手仲介では得られないもの
大手不動産仲介会社は実績も情報量も豊富です。
しかし一方で、「通り一遍の説明だけで、こちらの生活や想いまでは踏み込んでくれなかった」という声も多く聞きます。
契約までは丁寧でも、その後は担当も入れ替わり、連絡が途絶える…というのも珍しくありません。
家は買って終わりではなく、暮らしてからが本番です。
住み心地の変化や将来の資産価値、ライフステージに応じた住み替え。
そうした節目に、顔を見ながら相談できる関係が続くかどうか。
この「暮らした後もお付き合いできるか」は、購入時の価格や条件と同じくらい大事なポイントです。
実例:下町で叶えた「心地よさ」と「資産価値」の両立
ある30代ご夫婦は、最初は湾岸エリアの新築を検討していました。
しかし予算オーバーが続き、方向転換。
最終的に選んだのは、清澄白河駅徒歩8分の築30年超の中古マンションでした。
購入時点で管理状態は良好、修繕積立金も健全。
室内は水回りと床を中心にコンパクトにリノベし、余った予算で北欧家具とペンダントライトを揃えました。
結果、購入価格+リノベ費用は当初の新築予算より1,500万円も抑えられ、将来の売却時にも十分に資産価値を保てる見込みが立っています。
何より「街の空気感が好きになった」と、今は日々の暮らしを楽しんでいるそうです。
まとめ:最後のチャンスをつかむのは「視点を変えた人」
東京で家を買うのは、確かに難しくなっています。
でも、難しいからこそ、柔軟な発想と少しの勇気が価値を生む時代です。
「場所」と「物件の見方」を変えれば、
資産価値も暮らしの豊かさも、両方手に入れることができる。
そして何より、暮らし始めてからも寄り添ってくれる存在を選ぶこと。
家は、買った瞬間よりも、その後の毎日のほうがずっと長いのです。
もし今、少しでも「買うべきか迷っている」なら──その迷いごと持ってきてください。
一緒に、納得のいく答えを見つけましょう。

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【著者プロフィール】
柴田 光治
株式会社トラストリー 代表取締役/リフォーム不動産深川studio 主宰
東京都江東区深川を拠点に、不動産仲介とリノベーション提案をワンストップで行う。
不動産・建築業界歴は40年以上。上場不動産会社で営業統括役員やを務めた後、複数の会社の取締役を経て独立。
「家は買って終わりではなく、暮らし始めてからが本番」を信条に、資産価値を守りつつ、その人らしい暮らし方を共に考える伴走型の提案を続けている。地域の祭りやイベントにも参加し、住んだ後も顔を合わせられる“下町の不動産屋”として、顧客との長いお付き合いを大切にしている。
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