SNSやYouTubeを見ていると、
「20代でマイホームを買って、いまは資産が倍に」 「住宅ローンは最強の資産形成ツール」 「買わない人は情報弱者」
…といった、キラキラした言葉があふれています。
でも、ここで大事なのは、
その人の成功パターンが、自分にも当てはまるとは限らないということです。
今回は、経済評論家・山崎元さんが提唱した「労働者タイプA/B」という考え方をヒントに、 “自分に合った判断軸”の見つけ方を掘り下げてみましょう。
タイプA/Bとは?
経済評論家の山崎元(やまざき・はじめ)さんは、資産運用や人生設計の分野で多くの人に影響を与えてきた論客です。
数々の金融機関を渡り歩いた経験と、多くの著書に裏打ちされた実践的なアドバイスで知られ、2024年に惜しまれつつ他界されました。
その山崎さんが提唱していたのが、「労働者タイプA/B」という働き方と価値観の分け方です(※出典:『経済評論家の父から息子への手紙』(学研プラス, 2023年)など)。
山崎元さんの著書では、労働者(=働く人)を以下の2タイプに分けています:
● タイプA:会社に忠誠を尽くして生きる人
- 正社員として働き続け、昇進・昇給を目指す
- 転職や独立より、社内の安定を重視
- 長く勤め上げることが前提なので、ライフプランも立てやすい
● タイプB:自立して生きる人
- キャリアの選択肢が多く、転職や独立にも柔軟
- 自分の専門性や人脈を武器に、働き方を変えられる
- 将来の収入や住まいの形も、流動的になる可能性がある
この理論を住まい選びにあてはめると、どうなるのでしょうか?
【応用】タイプ別・住まいの考え方
✅ タイプAの人に向いている住まい
- 勤務地が長く変わらない(ただし、大手企業などでは転勤の可能性もあるため、将来の異動リスクを考慮した柔軟な選択が必要)
- 将来の収入や生活の見通しが立てやすい
- 家族構成もある程度決まっている or 想定しやすい
→ ローンを組んで「自分の資産として持つ」ことの合理性が高い。
✅ タイプBの人に向いている住まい
- 転職や移住の可能性がある
- 賃貸の自由度や、資産を持たない軽やかさが重要
- 「今の生活に合った空間」を、その都度選びたい
→ 無理に購入せず、「選択肢を持ち続けること」が価値になる。
ただし、タイプBの人は自立心が強く、自分でリスクを引き受ける覚悟があるケースも多いため、 将来的に売却や賃貸の出口戦略を見込んだうえで、購入という選択をすることも現実的です。
“購入=固定化”ではなく、“選択肢としての所有”という柔軟な考え方もあり得ます。
「自分はどっち寄りか?」を知ることが大切
この分類は、白黒ではなくグラデーションです。
タイプA寄りだけど、ちょっとBもある──そんな人がほとんどでしょう。
大切なのは、
「自分は今どっち寄りか?」を知り、家の買い方にその視点を反映させること。
「将来は地元に戻るかもしれない」なら、それも前提にしたエリア選びを。
「今は流動的だけど、子どもができたら落ち着きたい」なら、その“いつか”を無理に早める必要はありません。
成功者のマネではなく、“自分に合った判断”を
成功者の事例は、たしかに学びになります。
でも、経済評論家・山崎元さんはこんな言葉を遺しています:
「正しい答えは、他人の中ではなく、自分の中にある。」
住まい選びもまさにそうです。情報やSNSの声に左右されるのではなく、
自分の価値観や人生のステージに即した判断こそが、後悔しない選択につながります。
でもそれは、「その人にとっての正解」であって、あなたにとっての正解とは限りません。
住まいは「暮らす場所」であり、「人生の土台」です。
だからこそ、資産性や流行よりも、
「いまの自分と、これからの自分」に合った選択肢を選ぶことが、なによりも大切なのです。
次回予告
次回は、🔗【第5話】誰の言葉を信じる?──「家を買う前に、まず考えてほしいこと」
様々な情報が飛び交う中、どんな人に相談するのが良いのかを考えていきます。
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著者プロフィール
柴田 光治
株式会社トラストリー代表。不動産・建築業界歴40年。
20代で自身も中古マンションを購入し、損得を超えた“自分らしい暮らし”の大切さを実感。
「持ち家は月額いくらの暮らしに投資するか」という視点を持ち、日々の暮らしの質と将来の資産価値の両立を目指した提案を続けている。
現在は東東京エリアを中心に、中古マンション購入+リノベーションを一貫してサポート。
“地に足のついた家選び”を信条に、個別相談やコラム発信を行っている。
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