「都心最後の一等地」と呼ばれる築地市場跡地。2018年の豊洲移転から6年、ついにその再開発の全貌が明らかになりました。総事業費9,000億円、5万7,000人収容の多目的スタジアムを核とし、東京駅と「空中回廊」で結ばれる予定。
この壮大なプロジェクトは、築地という街だけでなく、東京という都市全体の未来を変えようとしています。
不動産の現場で日々、街の鼓動を感じている私たちが、プロの視点から築地再開発の真実と、江東区・深川エリアを含む東東京への影響を読み解きます。

1. 都心最後の一等地「築地」が動き出す
東京・築地。江戸時代から外国の異文化を取り入れ、進取の精神が育まれてきたこの地が、今まさに大きな転換期を迎えています。
2018年10月、83年の歴史を持つ築地市場が豊洲へ移転。約19万㎡(東京ドーム約4個分)の広大な土地が、東京都心に突如として出現しました。当時から「都心最後の一等地」として注目を集めていたこの場所は、銀座から徒歩圏内、隅田川と浜離宮恩賜庭園に面し、地下鉄複数路線が利用可能という、これ以上ない立地条件を備えています。
【プロの視点】
不動産の現場で40年以上、東京の街を見続けてきた立場から言えば、築地ほど「奇跡的な立地」は二度と現れないのではないでしょうか。都心でこれだけの規模の土地が、しかも水辺に面して開発できる。これは東京という都市の未来にとって、文字通り大きなチャンスなのかもしれません。
また、これまで「都心」といえば千代田・港・中央の3区が中心で、新宿・渋谷・文京を加えた都心6区が注目されていましたが、この再開発により、築地を起点とした「臨海部への流れ」が決定的になります。これは、築地に近い中央区だけでなく、隅田川を挟んだ江東区側(深川エリア)の価値をも底上げする、東東京全体のアップデートとなるでしょう。
2024年4月、6年越しで事業予定者が決定。三井不動産を代表企業とする11社の企業連合による、総事業費約9,000億円の巨大プロジェクトがついに始動しました。
2. 「ONE PARK×ONE TOWN」――扇が描く東京の未来
築地再開発のコンセプトは「ONE PARK×ONE TOWN」。自然と都市の活動が共生・調和・発展し、新たな社会的価値を創出する――そんな壮大なビジョンが掲げられています。
扇が象徴する、調和と発展への願い
特筆すべきは、デザインモチーフとして選ばれた「扇」です。かつての築地市場は、貨物列車を引き込むために扇形をしていました。この歴史的文脈に加え、調和や末広がり、繁栄の願いを込めて、扇のデザインが全体計画に採用されています。
陸・海・空、どの視点から見ても扇形の美しい景観が広がる――。これは単なる建築デザインではなく、東京の新たなアイコンとなることを意識した、象徴的な景観形成なのです。

イメージパース(三井不動産ホームページより引用)
ONE PARK:水都東京の再生
「ONE PARK」は、隅田川や浜離宮恩賜庭園と一体となった、水と緑豊かな空間の創造を意味します。約10万㎡という広大な緑地広場が整備され、敷地の約4割が緑化される計画です。
江戸期より交易・交流の拠点として発展してきた築地。隅田川は豊かな水辺を生かしたにぎわいと交流の舞台として、江戸の風景を形成してきました。この歴史的変遷と立地特性を踏まえながら、「水都東京の再生」を目指します。
具体的には以下の4つのテーマで展開されます:
- 東京の新たな顔となるシンボリックな景観デザイン
- 多様な活動・にぎわいを創出する水辺のオープンスペース
- 周辺資源と調和するプロムナード・緑化
- 舟運ネットワークの活用
ONE TOWN:国際競争力の強化
「ONE TOWN」は、銀座から続く文化・芸術の流れ、築地場外市場の食文化、新橋・汐留のビジネス拠点、隣接する医療施設との連携により、交流と感動、イノベーションを起こす都市の活動を表現しています。
国際競争力の強化に資する4つのテーマ:
- 大規模集客・交流機能(多目的スタジアム等)
- 迎賓・ホスピタリティ機能(ホテル、MICE施設)
- 築地場外市場と連携した日本の食文化の継承・発展
- 周辺医療施設と連携したライフサイエンス・イノベーション創出
【プロの視点】
「ONE PARK×ONE TOWN」というコンセプトは、単なるキャッチフレーズではありません。水と緑の自然環境と、最先端の都市機能を高度に融合させる――これは世界の主要都市が目指している方向性そのものです。ニューヨークのハイライン、シンガポールのガーデンズ・バイ・ザ・ベイなど、世界の成功事例を見ても、「自然と都市の共生」こそが21世紀の都市づくりの核心だと言えます。
3. 圧巻の施設群:スタジアムから地下鉄新駅まで
築地再開発では、合計9棟の建物が計画されています。それぞれが東京という都市に新たな価値をもたらす、注目の施設群です。
5万7,000人収容の多目的スタジアム
再開発の目玉は、最大5万7,000人を収容できる屋内全天候型の多目的スタジアムです。延床面積約17.9万㎡、最高高さ約40〜110mという圧倒的なスケール。
スポーツ、コンサート、エンターテインメントなど、用途に応じてフィールドや客席の形状を自由に変えることができ、最先端のデジタル技術や音響技術の導入により、これまでにない臨場感と没入感を演出します。
読売グループの参画により、読売ジャイアンツの本拠地移転の可能性も注目されていますが、現時点では「移転を前提にしたものではない」と明言されています。ただ、東京ドームの老朽化も指摘される中、今後の動向から目が離せません。

出所:東京都都市整備局「ONE PARK×ONE TOWN」
ライフサイエンス・商業複合棟
延床面積約40万㎡、最高高さ約190mという超大型複合施設。ラボ、オフィス、インキュベーション施設、商業店舗が一体となった、イノベーション創出の拠点です。
隣接する国立がん研究センターとの連携により、ライフサイエンス分野の研究開発が飛躍的に進むことが期待されています。人材と情報の集積がイノベーションを加速させる。この施設はまさにその理想形なのかもしれません。
MICE・ホテル・レジデンス棟
延床面積約14.6万㎡、最高高さ約210m。ホテル、MICE施設(国際会議や展示会の開催施設)、高層レジデンス、商業店舗が複合する、国際交流の中核施設です。
築地という立地を最大限に生かし、東京ビッグサイトや東京国際フォーラムとの一体運用により、これまでにない規模の国際イベント開催が可能になります。世界中から人々が集まる。そんな東京の新しい顔が、ここから生まれます。
食文化発信エリア
築地が長年育んできた「食」の文化は、再開発後も大切に継承されます。築地場外市場と連携し、江戸前の伝統的な食文化を提供する商店街や、日本の食産業・文化の発展を促す「築地クリナリーセンター」が整備される予定です。
舟運・シアターホール複合棟(延床面積約3.2万㎡)には、フードホールやフードラボも設けられ、新旧の食文化が融合する場となります。

※配棟計画図(三井不動産ホームページより引用
陸・海・空のモビリティハブ
築地再開発のもう一つの目玉が、陸・海・空の多様なモビリティが乗り入れる「モビリティハブ」の形成です。
- 地下鉄新駅:臨海部と東京駅を結ぶ「都心・臨海地下鉄新線」の駅が設置予定
- 舟運:隅田川や東京湾に面した立地を生かした船着き場
- 空飛ぶクルマ:将来の実用化を見据えたヘリポート・発着場
- バス・タクシー・次世代モビリティ:陸上交通の総合ターミナル

モビリティハブ(イメージパース) ※三井不動産ホームページより引用
【プロの視点】
陸・海・空すべてのモビリティが一箇所に集まる。これほど画期的な交通結節点は、日本では他に例がありません。2025年の大阪・関西万博で空飛ぶクルマが実用に向けて一歩を踏み出し、現実味が帯びてきました。築地では、この最新技術を都心で本格的に導入する計画が進んでおり、文字通り東京の「未来の玄関口」となることが期待されています。
4. 東京駅と築地を結ぶ「空中回廊」構想
築地再開発を語る上で欠かせないのが、東京駅周辺と築地を結ぶ「空中回廊」構想です。この壮大なプロジェクトは、東京という都市の骨格そのものを変える可能性を秘めています。
KK線廃止後の空間活用
2025年に廃止された東京高速道路(KK線)。この高架道路の跡地を活用し、東京駅周辺から築地へと続く歩行者空間を創出する計画が進んでいます。
単なる歩行者デッキではありません。緑化された空中庭園、カフェやレストラン、展望スペースなどが配置され、新たな都市体験を提供する「空中の街」として整備される構想です。
首都高への「蓋かけ」による歩行者デッキ
さらに画期的なのが、半地下の首都高速道路に「蓋」を設け、その上に歩行者デッキを新設する計画です。これにより、東京駅周辺から築地まで、車を気にせず歩いて行き来できる環境が実現します。
首都高速道路の地下化は2035年度開通、高架橋の完全撤去は2040年度を予定。幅約100m、長さ約1,200mという広大な親水空間が誕生することになります。
日本橋の上空を覆っていた首都高が地下に潜り、日本橋川の空が開ける。この歴史的プロジェクトと連動する形で、築地への空中回廊が実現するのです。

Tokyo Sky Corridor ※東京都市整備局HPより引用
都心・臨海地下鉄新線(2040年開業予定)
空中だけではありません。地下でも、東京駅と築地、さらに臨海部を結ぶ新たな動線が生まれます。
「都心・臨海地下鉄新線」は、東京駅から築地、勝どき、晴海、有明を経由して国際展示場駅(東京ビッグサイト)に至る約6kmの新路線です。2040年の開業を目指し、事業化に向けた検討が進められています。
この新線が開通すれば、築地は東京駅から地下鉄でわずか数分という、究極の利便性を手に入れることになります。さらに、臨海部全体のアクセスが飛躍的に向上し、湾岸エリアの価値が一段と高まることは間違いありません。

【プロの視点】
空中回廊と地下鉄新線――この「立体的な都市構造」こそが、築地再開発の真骨頂です。地上・地下・空中の3層で東京駅と築地がつながる。これは単なる交通利便性の向上ではなく、人の流れ、経済活動、都市生活そのものを根本から変える革命的な構想だと言えます。不動産の世界では「駅から徒歩○分」が価値を決める最大の要因ですが、築地はその概念すら超越した「次元の違う立地」になろうとしています。
5. 築地再開発が変える、東京という都市
総事業費9,000億円、2030年代前半から後半にかけての開業を目指す築地再開発。このプロジェクトは、築地という街だけでなく、東京という都市全体に大きな影響を及ぼします。
国際的な交流拠点としての進化
5万7,000人収容のスタジアム、国際会議や展示会に対応するMICE施設、最高級ホテル――これらの施設群が一体となって機能することで、築地は世界中から人々が集まる国際交流の拠点へと生まれ変わります。
東京ビッグサイトや東京国際フォーラムとの連携により、これまで分散していた大規模イベントを一体的に開催できる環境が整います。スポーツの国際大会、音楽フェスティバル、ビジネスカンファレンス――東京は「世界が注目するイベント都市」としての地位を確立していくでしょう。
湾岸エリア全体の価値向上
築地再開発の影響は、築地だけにとどまりません。隅田川を挟んだ、月島、勝どき、晴海、豊洲、有明といった湾岸エリア全体の価値が、大きく押し上げられることになります。
都心・臨海地下鉄新線が開通すれば、これらのエリアは東京駅から10分圏内というプレミアム立地に変貌します。タワーマンションが建ち並ぶ湾岸エリアは、すでに高い人気を集めていますが、築地再開発により「都心の利便性」と「水辺の開放感」を両立させた、世界でも稀有な住環境として、その地位をさらに確固たるものにするでしょう。

豊洲から見た都心方面
周辺エリアへの波及効果
築地再開発の波及効果は、湾岸エリアだけにとどまりません。東京駅周辺の八重洲・日本橋では、すでに1兆円規模の大規模再開発が進行中です。これらのプロジェクトと築地再開発が相互に連携し、シナジー効果を生み出すことで、東京という都市全体の競争力が飛躍的に向上します。
隅田川を挟んだ対岸――江東区の深川エリアも、この恩恵を受けることになるでしょう。門前仲町、清澄白河、木場といったエリアは、築地や東京駅へのアクセスが格段に向上し、職住近接を求める層からの需要がさらに高まることが予想されます。
日本橋・八重洲の再開発や深川エリアについて詳しくは、前回の記事
「🔗日本橋・八重洲の大規模再開発が波及。不動産のプロが「深川」の資産価値を確信する根拠とは」
もぜひご覧ください。
【プロの視点】
不動産の価値を決めるのは「立地」「将来性」「希少性」の3つです。築地再開発は、この3つすべてを兼ね備えた、まさに奇跡のようなプロジェクト。そして重要なのは、築地だけでなく、周辺エリア全体の価値を押し上げる「面的な効果」があるということです。日本橋・八重洲で数万人規模の新たな就業人口が生まれ、築地が国際交流の拠点となります。
この巨大な人の流れが、東京東部「イーストトーキョー」全体を「選ばれるエリア」へと変えていくのです。
まとめ:東京の新時代を告げる築地再開発
総事業費9,000億円規模、早ければ第一期工事の2030年代前半に開業を目指す築地再開発「ONE PARK×ONE TOWN」。扇をモチーフにした象徴的な景観、5万7,000人収容の多目的スタジアム、陸・海・空のモビリティハブ、そして東京駅と結ぶ空中回廊など。
このプロジェクトは、単なる再開発ではありません。東京という都市が、次の時代へと飛躍するための、壮大な挑戦です。
水と緑豊かな自然環境と、最先端の都市機能が共生する「ONE PARK×ONE TOWN」。国際的な交流拠点として生まれ変わる築地は、東京に新たなアイデンティティをもたらすでしょう。
そして、この巨大プロジェクトの影響は、築地だけにとどまりません。湾岸エリア全体の価値向上、東京駅周辺との連携、さらには隅田川を越えた深川エリアへの波及効果。東京という都市全体が、新しい次元へと進化しようとしています。
2030年代、東京駅周辺の地図は大きく塗り替わろうとしています。その隣接地に位置する築地。そして、その恩恵を受ける東東京エリア。今この瞬間こそが、東京の未来を見据えた住まい選びの、最良のタイミングなのかもしれません。
「自分のマンションの価値はどう変わる?」「今のうちに東東京で家を買うべき?」といった具体的なご相談は、ぜひ私たちにお問い合わせください。
【著者】
株式会社トラストリー 代表取締役 柴田 光治
不動産の現場で40年以上、お客様の人生の大きな決断に立ち会ってきました。その中で今、最も自信を持ってお勧めできるのが、東京東部にある江東区・深川エリアです。
築地再開発、日本橋・八重洲の大規模開発、そして深川エリアの価値向上。これらは決して別々の出来事ではなく、東京という都市が次のステージへと進化する、一つの大きな物語です。
私たちは、江東区・深川に根ざし、日々変わっていく温度感を肌で感じています。どのエリアが伸び、どの物件が10年後も輝き続けるのか。ネットの数字だけでは見えない「街の正解」を、これからもプロの眼差しで提供し続けてまいります。
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【参考資料】
- 三井不動産「築地地区まちづくり事業 基本計画」(2025年8月22日)
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2025/0822/ - 三井のリハウス「築地市場跡地の再開発で東京がさらに魅力的に」
https://www.rehouse.co.jp/special/wangan/article/0033/ - 東京都都市整備局「築地まちづくり方針」



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