前回の記事では、門前仲町・越中島エリアで進行中の3つの大規模開発プロジェクトについて詳しくご紹介しました。
👉 門前仲町・越中島の大規模開発完全ガイド|3つのプロジェクトで変わる街の未来
都心至近の立地、東京駅周辺の再開発との相乗効果、そして資産価値の上昇。開発がもたらす「光」は確かに魅力的です。
しかし、大規模開発には必ず「影」も伴います。
富岡八幡宮の例大祭で担ぐ神輿の重み、深川不動堂の護摩焚きの煙の匂い、商店街で顔なじみの店主と交わす何気ない会話。400年の歴史が育んできた門前仲町・深川の下町情緒は、一度失われたら二度と戻りません。
私たちは、開発による変化とどう向き合うべきなのでしょうか。
この記事では、「リフォーム不動産深川studio」を運営する株式会社トラストリーとして、地域に寄り添ってきた立場から、門前仲町の未来について考えたいと思います。
ジェントリフィケーションという現象
それは世界中で起きている
ジェントリフィケーション(Gentrification)という言葉をご存知でしょうか。
日本語では「高級化」「富裕層化」などと訳されますが、簡単に言えば「開発により地域が高級化し、元々住んでいた人々が住み続けられなくなる現象」のことです。
ニューヨークのブルックリン、サンフランシスコのミッション地区、ロンドンのショーディッチ。世界中の「クールな下町」で、同じような変化が起きてきました。
典型的な流れ:
- アーティストや若者が、家賃の安い下町エリアに集まる
- おしゃれなカフェやギャラリーができて注目される
- 大規模開発が始まり、地価・家賃が上昇
- 昔ながらの商店が家賃高騰で廃業
- 元々住んでいた住民が転居を余儀なくされる
- 富裕層向けの街に変貌し、元の雰囲気が失われる
門前仲町に近い月島や清澄白河は、すでにこの流れの途中にあると言えるかもしれません。ブルーボトルコーヒーの出店をきっかけに注目を集め、おしゃれなカフェが増え、地価が上昇しました。
そして今、門前仲町・越中島でも大規模開発が始まろうとしています。

門前仲町で起こりうる変化
懸念される影響
門前仲町・越中島エリアの開発により、以下のような変化が起こる可能性があります。
1. 家賃・地価の上昇
すでに起きている変化:
- 門前仲町駅周辺の地価:年率6~10%の上昇
- 新築マンションや中古マンション価格の高騰
懸念されること:
- 賃貸マンションの家賃上昇
- テナントの賃料上昇により、老舗の廃業
- 長年住んでいた住民の転居
1,000戸を超える新築マンションが供給されるとともに、周辺の家賃相場も上昇していきます。賃貸で暮らす方や、商店を営む方にとっては、大きな負担になる可能性があります。
2. 街の風景の変化
現在の門前仲町らしさ:
- 富岡八幡宮、深川不動堂への参道
- 昔ながらの個人商店(もんじゃ焼き、天ぷら、居酒屋)
- 辰巳新道のような風情ある路地空間
- 人情味あふれる商店街
懸念されること:
- 資本力のあるチェーン店の増加
- 個性的な個人商店の減少
- 路地裏の雰囲気の喪失
- 「どこにでもある街」への画一化
再開発では「門前仲町らしさの継承」が掲げられていますが、実際にどこまで守られるかは、今後の取り組み次第です。

再開発エリアに隣接する辰巳新道
3. コミュニティの変化
現在の地域コミュニティ:
- 祭りを支える町内会の結束
- 顔の見える商店とのつながり
- 世代を超えた地域の支え合い
懸念されること:
- 新住民と旧住民の分断
- 祭りや地域行事の担い手不足
- 匿名性の高い大規模マンションでのコミュニティ希薄化
- 地域への愛着が薄い「住むだけの街」への変化
深川八幡祭りのお神輿を担ぐのは、多くが地元の若者たちです。彼らが住み続けられる街でなければ、伝統は途絶えてしまいます。

写真提供:フカフォト
4. 経済的な格差の可視化
懸念されること:
- 新築タワーマンション vs 古い木造住宅
- 高級スーパー vs 昔ながらの商店街
- 景観に表れる経済格差
開発エリアと既存エリアの落差が、街を歩いていて目に見える形で現れることがあります。これは、心理的な分断を生む要因にもなります。
私たちが失いたくないもの
深川くらしとして大切にしたい価値
株式会社トラストリーは、「リフォーム不動産深川studio」として、この地域で10年以上、お客様の住まい探しをお手伝いしてきました。
その中で、私たちが何度も感じてきたこと。それは、門前仲町・深川エリアには、お金では買えない価値があるということです。
人と人とのつながり
商店街を歩けば、「今日は寒いね」「お子さん大きくなったね」と声をかけてくれる人がいる。顔を覚えていてくれる店主がいる。
大型スーパーの便利さとは違う、「誰かが見守ってくれている」という安心感。これこそが、下町の最大の魅力です。

写真提供:フカフォト
歴史と文化
富岡八幡宮の例大祭、深川不動堂の護摩焚き、縁日の賑わい。江戸時代から続く伝統行事は、この街のアイデンティティそのものです。
また、各町内会では夏は盆踊り、冬はお餅つきなど季節ごとの行事が開催され、下町らしい温かい人情とコミュニティが息づいてます。
お祭りは、世代を超えて地域をつなぐ装置です。新しい住民も、古くからの住民も、一緒にお神輿を担ぎ、一緒に水をかけ合う。そこに垣根はありません。
生活に根ざした商店街や魅力的な飲食店
チェーン店にはない、店主のこだわりが詰まった商品。「これ、美味しいよ」とおすすめしてくれる会話。少し高くても、そこに通いたくなる理由があります。
商店街は、単なる買い物の場所ではなく、地域のコミュニケーションの場です。
ゆるやかな空気
高層ビルが立ち並ぶ都心とは違う、少しゆったりとした時間の流れ。路地裏を歩く楽しさ。下町の空気は、心の余裕を生み出します。
海外の事例から学ぶ
成功例:コペンハーゲン(デンマーク)
コペンハーゲンのノアブロ地区は、再開発とコミュニティ保全を両立させた好例です。
取り組み:
- 既存の建物を活かしたリノベーション中心の開発
- 家賃規制により、多様な所得層が住み続けられる環境
- 住民参加型の開発計画づくり
- 地元商店を優先的に支援する制度
結果: 下町の雰囲気を残しながら、若い世代も流入。多様性のある活気あるエリアに成長しました。
失敗例:サンフランシスコ・ミッション地区
一方、サンフランシスコのミッション地区は、ジェントリフィケーションの典型的な失敗例です。
何が起きたか:
- IT企業の進出により地価・家賃が急騰
- ラテン系移民のコミュニティが崩壊
- 個性的なアートシーンが消失
- 富裕層向けの画一的な街に変貌
結果: 元の住民の多くが転居を余儀なくされ、地域の文化的アイデンティティが失われました。
新旧住民が共存するために
私たちにできること
ジェントリフィケーションを完全に防ぐことは難しいかもしれません。しかし、その影響を緩和し、新旧住民が共に暮らせる街をつくることは可能です。
1. 地元商店を意識的に利用する
新しい商業施設も便利ですが、週に一度は地元の商店街で買い物をする。顔なじみの店主と会話をする。
小さな選択が、街を守ります。
大型チェーン店は、利益が出なければすぐに撤退します。しかし、地元の商店は、この街と共に生きています。
2. 祭りや地域イベントに参加する
深川八幡祭り、縁日、町内会のイベント。「昔からの住民じゃないから」と遠慮する必要はありません。
新しい住民が参加することで、祭りは次の世代につながります。
門前仲町駅前の再開発計画では、エリアマネジメント組織による地域イベントの開催が予定されています。こうした場に積極的に参加することが、新旧住民の橋渡しになります。
3. 地域の歴史を学び、語り継ぐ
なぜこの街が「門前仲町」と呼ばれるのか。深川の歴史、芭蕉や伊能忠敬との関わり、江戸時代の文化。
歴史を知ることで、街への愛着が深まります。
深川江戸資料館、深川東京モダン館など、地域の歴史を学べる施設を訪れてみることも大切です。
4. 「よそ者」と「地元民」の垣根を越える
「新しい住民」と「昔からの住民」という二項対立ではなく、**「この街を愛する人」**という共通点に目を向ける。
門前仲町を選んで住む人は、この街の何かに魅力を感じたはずです。その想いは、世代や居住年数を超えて共有できるものです。
5. 開発に関心を持ち、声を上げる
再開発の計画は、まだ確定していません。住民の声が反映される余地は、十分にあります。
江東区のパブリックコメント、準備組合への意見提出など、自分たちの街の未来を、自分たちで考える機会を活かすことが大切です。

イメージパース(門前仲町駅前地区市街地再開発準備組合の資料より)
リフォーム不動産深川studioの取り組み
地域に寄り添う住まい相談所として
私たち株式会社トラストリーは、単なる不動産会社ではありません。「くらしかた創造企業」として、お客様の豊かな暮らしをデザインする存在でありたいと考えています。
1. 物件探しを超えた「暮らし」の提案
中古マンションを探している方には、物件情報だけでなく、その街での暮らし方をお伝えします。
- どの商店街が便利か
- どの公園で子どもが遊べるか
- どの祭りが盛り上がるか
- 地域のコミュニティにどう入っていけるか
ただ単に家を買うのではなく、暮らしを買う。そんな視点でのサポートを心がけています。
2. リフォーム・リノベーションで地域の資産を活かす
新築マンションだけが選択肢ではありません。築古物件をリノベーションすることで、価格を抑えながら理想の住まいを実現できます。
既存の建物を活かすことは、街の風景を守ることでもあります。
私たちは、建築士や工務店と連携しながら、お客様の「こんな暮らしがしたい」を形にするお手伝いをしています。
3. セミナー・ワークショップで地域交流
定期的に開催しているセミナーやワークショップは、単なる不動産の勉強会ではありません。
地域の方々が気軽に集まり、交流できる場として運営しています。
新しく門前仲町に住む方と、昔から住んでいる方が自然に出会える。そんな場を増やしていきたいと考えています。
4. 既存住民の住み替え・リフォーム相談
開発により、「今の家をどうしよう」と悩む方もいらっしゃいます。
- 親の家をリフォームして住み続ける
- 売却して新しいマンションに住み替える
- 賃貸に出して資産活用する
地域に住み続けられる選択肢を、一緒に考えます。
ファイナンシャルプランナー、司法書士とも連携しながら、相続・資金計画を含めたトータルサポートを提供しています。
5. 地域の声を発信し続ける
「深川くらし」というメディアを通じて、この街の魅力を発信し続けることも、私たちの使命です。
開発の情報だけでなく、地域の歴史、文化、人々の営み。お金では測れない価値を伝えることで、この街を愛する人を増やしたい。
そして、開発による変化の中で、何を守り、何を進化させるべきか。一緒に考える材料を提供したいと思っています。

リフォーム不動産深川studioの外観
「伝統」と「革新」の共存を目指して
私たちが目指す門前仲町の未来
開発を止めることはできません。そして、止める必要もないかもしれません。
老朽化したインフラの更新、防災機能の強化、バリアフリー化。これらは、すべての世代にとって必要なことです。
大切なのは、「どう開発するか」です。
門前仲町駅前の再開発計画では、「門前仲町らしさの継承」が明確に掲げられています。低層部に商店街や路地の雰囲気を取り入れ、伝統イベントとの連携を図る。
これは、単なる理想ではなく、実現可能な目標です。
変えてはいけないもの
- 富岡八幡宮、深川不動堂という歴史的建造物
- 深川八幡祭りなどの伝統文化
- 人と人とのつながり、顔の見える関係性
- 「誰かが見守ってくれている」という安心感
進化すべきもの
- 老朽化したインフラの更新
- 防災機能の強化
- バリアフリーな街づくり
- 若い世代が住みやすい環境
- 多様な人々が集まる開かれたコミュニティ
古き良き伝統を守りながら、新しい価値を創造する。
それが、私たちが目指す門前仲町・深川の未来です。
まとめ|一緒に街をつくっていく
大規模開発は、確かに街を変えます。しかし、街をつくるのは建物ではなく、そこに住む人々です。
新しく門前仲町に住む方も、昔から住んでいる方も、この街を愛する気持ちは同じはずです。
- 朝、富岡八幡宮の境内を散歩する心地よさ
- 商店街で買った惣菜を、家で温めて食べる幸せ
- 祭りの日、街中に響く掛け声と太鼓の音
- 永代橋から眺める夕暮れの隅田川
これらの日常が、10年後、20年後も続いていますように。
そのために、私たち一人ひとりができることがあります。
地元商店で買い物をする。祭りに参加する。隣人に挨拶をする。地域の歴史を学ぶ。開発に関心を持つ。
小さな行動の積み重ねが、街の未来を創ります。
リフォーム不動産深川studio(株式会社トラストリー)は、これからも地域に寄り添い、皆さんと一緒に門前仲町・深川の未来を考えていきます。
住まい探しのこと、リノベーションのこと、この街での暮らしのこと。何でもお気軽にご相談ください。
私たちは、あなたの人生の物語(STORY)をつくる一員でありたい。
そして、門前仲町・深川という街の物語も、一緒に紡いでいきたいと思っています。
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3つの開発プロジェクトの詳細情報はこちらの記事をご覧ください。
【お問い合わせ】 門前仲町・深川エリアでの住まい探し、リノベーション、ライフプラン相談は、お気軽にご相談ください。
📍 リフォーム不動産深川studio(株式会社トラストリー)
🌐 https://reform.trustory.jp/
📧 お問い合わせフォームはウェブサイトから
セミナー・イベント情報も随時更新中です。地域の方々との交流の場として、ぜひお気軽にご参加ください。
この記事を書いた人
株式会社トラストリー 代表取締役|リフォーム不動産深川studio代表
不動産・建築業界歴40年。深川エリアに特化した地域密着営業で、建築士、ファイナンシャルプランナーと連携した住まい提案を行う。
深川くらし編集部では、地域密着10年以上の経験から、門前仲町・深川エリアの最新情報をお届けしています。



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